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それから

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 「エイドリア、キャスリーン、動きが激化したら君たちはエルシーと隣国の別荘へ逃げてもらう。エレインと王太子も連れて行ってもらうことになる。これは最悪の時のシナリオ。隣国に行けばエイドリアン自身の伝もあるだろう?」

「それは、ええ、まぁ」

王弟殿下の話は続く。

「最悪の手前なら、神殿に逃げ込め。そしたらなんとかしてやれる」

王弟殿下がエイドリアンを見る。

「エイドリアン、皆をたのむ。俺たち大人はケリをつけないといけないから、エルシーたちを守れない。あ、王妃殿下達と側妃様達をここに送るので彼らがこの家に来たら本番だと思ってくれ。武力行使もできないくらい速やかに片付ける予定ではあるけどな。…これも陛下のマザコンが大きな原因なんだよ」

 陛下のお父上、前の陛下は王家の色の方でした。現陛下のお母様、前王妃様は前陛下にくびったけで。政略結婚のはずが、目も当てられないおしどり夫婦で。王弟殿下は前陛下の側妃様から生まれましたが、彼の母親は政治的理由の輿入れだったので王弟殿下をお生みになられたら殆どすぐに外遊に出て…帰国されておりません。
 陛下は母の愛をもとめ、母親は自分の夫が最優先で。陛下はマザコンを拗らせて王家の色の女性をもとめている、と。

「前陛下夫妻が海難事故で早くに亡くなったのも拗らせる一因だったんだろうな。宰相は…不思議なことに前陛下によく似ていてな。陛下のコンプレックス刺激した訳だ」

もー、この大人達なんなの?!マザコンだったりファザコンだったり。王弟殿下は

「俺は性格悪いからね。陛下ほど純粋に前陛下を慕ったりは出来なくてな。兄貴がここまで拗らせてるたぁ思わなかった。でな。俺の知ってる兄貴と違いすぎる」

私は考えるより先に言葉にしてしまってた。

「陛下の秘密の小部屋に、『あの』マリアさんと宰相夫人が入って行ったらしいけど…。もしかして、信仰上の問題?」

エイドリアンが受けてくれる。

「陛下の小部屋覗いたらわかるかも?」

「それだ!」

王弟殿下が大声を出し…外からセバスチャンさんと似た空気の男性が入ってきた。

「ラルフ、陛下の秘密の小部屋をチェックしてきてくれ」

それだけの指示でその男性は頷いて外に行ってしまった。

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