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後編 ワトー子爵領の人
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「あなた、おかえりなさいませ」
ミレーヌは淡々とあいさつをする。アルセーヌは既にドギマギしてる。
「ああ…」
「貴方にお客様ですよ。愛人のアンさん。この方は王都の愛人らしいですわね。ワトー子爵領のエマ様の件と合わせて、子爵に報告いたしますわね。外でラヴィエール伯爵と名乗っての好き勝手、エマ様の件は既に王宮と子爵にお伝えしてます。さ、そろそろ子爵家からの迎えが来ます。荷物をまとめて家を出てください。いま、この瞬間を持って、私と貴方の縁は切れました。この後始末、子爵の元で決められた事をお話しされると思うので、受け入れてもらえることを希望します」
ミレーヌはこれまでのぼんやりした様子ではなくキリッとした様子であった。
「セディ、アルセーヌ・ワトー様の支度を手伝って下さい。もうすぐ子爵自らお迎えに来るそうですから」
アルセーヌは『愛してるのは君だけだ』『ちょっとした遊びにめくじらを立てなくても』などと騒いでいるので館の私兵が縛り上げた。隙をついて逃げようとしたアンも同じ目にあう。
セディがアルセーヌがここに来た時に持っていたものだけをまとめる。伯爵家のお金で買った最新流行の服やアクセサリーは含まない。
アルセーヌはそんなことは気が付いていない。
「なあ、ミレーヌ、そんなに怒るなよ、俺たち上手くやってたよな」
「怒ってませんが、上手くもやってません。遊ぶなら私に全く漏らすなと父に言われたのを忘れましたか?領地の囲ってる女性の費用をうちに回したら私にバレるのは時間の問題です」
「お前が帳簿つけてるなんて知らなかった」
アルセーヌの言葉にミレーヌの目がスッと細くなった。
「バカですか?馬鹿だから配偶者としての仕事は何一つできてないし私にあそびの足を掴まれるんです」
ミレーヌはスゥッと息を吸った。
「アルセーヌ・ワトーさんに『お前』呼ばわりされる意味がわかりませんわ。私と貴方は綺麗に他人になりました。本日付で離婚の書類は全て受理されてますの。我々の婚姻は私が望めばすぐに解消できるという条件のもと結ばれてますから。あら、迎えの馬車がついたようですね」
ワトー子爵が部屋に入るなり土下座をする。
「うちのくそ馬鹿が申し訳ありません」
美しい土下座だった。
「兄さん…」
アルセーヌが呆然としている。ミレーヌははっきりという。
「その馬鹿を早急に持ち帰りください。それとその隣の女性も。アルセーヌの奥さんになるそうです。後のことは、その二人を持ち帰ってから、ゆっくり話しましょう。…今年は豊作で良かったですわね」
二人を伴って子爵が部屋を離れ、ミレーヌはため息をつき目を瞑った。その顔は一仕事終えた晴れやかさに包まれていた。
ミレーヌは淡々とあいさつをする。アルセーヌは既にドギマギしてる。
「ああ…」
「貴方にお客様ですよ。愛人のアンさん。この方は王都の愛人らしいですわね。ワトー子爵領のエマ様の件と合わせて、子爵に報告いたしますわね。外でラヴィエール伯爵と名乗っての好き勝手、エマ様の件は既に王宮と子爵にお伝えしてます。さ、そろそろ子爵家からの迎えが来ます。荷物をまとめて家を出てください。いま、この瞬間を持って、私と貴方の縁は切れました。この後始末、子爵の元で決められた事をお話しされると思うので、受け入れてもらえることを希望します」
ミレーヌはこれまでのぼんやりした様子ではなくキリッとした様子であった。
「セディ、アルセーヌ・ワトー様の支度を手伝って下さい。もうすぐ子爵自らお迎えに来るそうですから」
アルセーヌは『愛してるのは君だけだ』『ちょっとした遊びにめくじらを立てなくても』などと騒いでいるので館の私兵が縛り上げた。隙をついて逃げようとしたアンも同じ目にあう。
セディがアルセーヌがここに来た時に持っていたものだけをまとめる。伯爵家のお金で買った最新流行の服やアクセサリーは含まない。
アルセーヌはそんなことは気が付いていない。
「なあ、ミレーヌ、そんなに怒るなよ、俺たち上手くやってたよな」
「怒ってませんが、上手くもやってません。遊ぶなら私に全く漏らすなと父に言われたのを忘れましたか?領地の囲ってる女性の費用をうちに回したら私にバレるのは時間の問題です」
「お前が帳簿つけてるなんて知らなかった」
アルセーヌの言葉にミレーヌの目がスッと細くなった。
「バカですか?馬鹿だから配偶者としての仕事は何一つできてないし私にあそびの足を掴まれるんです」
ミレーヌはスゥッと息を吸った。
「アルセーヌ・ワトーさんに『お前』呼ばわりされる意味がわかりませんわ。私と貴方は綺麗に他人になりました。本日付で離婚の書類は全て受理されてますの。我々の婚姻は私が望めばすぐに解消できるという条件のもと結ばれてますから。あら、迎えの馬車がついたようですね」
ワトー子爵が部屋に入るなり土下座をする。
「うちのくそ馬鹿が申し訳ありません」
美しい土下座だった。
「兄さん…」
アルセーヌが呆然としている。ミレーヌははっきりという。
「その馬鹿を早急に持ち帰りください。それとその隣の女性も。アルセーヌの奥さんになるそうです。後のことは、その二人を持ち帰ってから、ゆっくり話しましょう。…今年は豊作で良かったですわね」
二人を伴って子爵が部屋を離れ、ミレーヌはため息をつき目を瞑った。その顔は一仕事終えた晴れやかさに包まれていた。
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今年は豊作で良かったねーって書いたら、他の方の感想も同じだった。
うんうん。良かった。
おもしろかったです!