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本編
王弟エティエンヌとランバート公爵
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「アレンはエリカ様の事好きなの?」
レミが訊ねるのでアレンは首を横に振った。ここはランバート家の客室で本人たちの希望でツインベッドに部屋であった。レミは既に湯あみを終えている。
「殺したりするには普通過ぎて……気が抜ける」
「にいさんが出来ないなら私があるけど?お茶を飲んでる時に後ろから針でやったら証拠も残らないよ?」
アレンは首を横に振る。
「レミに汚れ仕事はさせないよ」
「そういうけど……アレン、女殺せる?殴れる?ソフィー様の時だって」
「……」
レミはアレンに言う。
「そろそろ潮時でしょ?王宮の仕事から外してもらったら?どうせ陛下は我々の事認知してないんだし」
「っ……」
レミな冷静にアレンに告げる。
「あの二人に元のクラスメイトを殺させるのは忍びないな」
「学園で同級生でしたっけ、エリカと陛下と現側近たちと」
エティエンヌは蒸留酒の香りを楽しんでいる。
「元クラスメイトを手にかけたり罠にかけたりは……あんまり後味は良くないからね」
ランバート公爵の言葉にエティエンヌはくくくっと笑った。
「甥を落そうとしてる私にそれをいいますか」
「まぁ。そうだな。……従弟殿、積もった埃は払わないとな」
ランバート公爵の父親、前ランバート公爵の妹を母に持つエティエンヌは美しい……、セシルと似た男だった。銀の髪に青い瞳の母親に似た顔立ちだったのでどことなくランバート公爵とも似ている。
エティエンヌの母親は側妃であった。公爵令嬢を側妃にしたのは前の前の陛下だった。学園で平民の女子生徒に手をだし彼女を正妃にしないと王にならないと言い出したのだ。これが王太后、現在の後宮の主であった。前の前の陛下は幾人かの側妃を持ち、その側妃の取りまとめ役としてエティエンヌの母が呼ばれた。元婚約者であり、陛下の事は嫌いではなかったし、幼馴染の情でそのまま輿入れし、亡くなるまでは後宮のトップであった。割合と若くして亡くなったのでその後は正妃が後宮の主として振舞いだしたのだ。
エティエンヌは幼いころは公爵の家で公爵を兄と慕って育ち、成人後は海の離宮、本来はランバート家の持ち物だがエティエンヌの為に王家に献上した建物だ。離宮に『蟄居』という名目で王太后の勢力範囲から逃げていた。
今回の騒動に乗じて離宮から離れ、ローランの味方のような顔をしてランバート公爵と王弟エティエンヌは王宮の文官と文書を掌握したのだ。騎士達は前騎士団長に心酔しており、これは今回取りつぶしになった伯爵家出身の前騎士団長が掌握している。
新しい側近たちやローランはそう言うことに頭が回っていない。以前のソフィーのいた位置にランバート公爵はまんまと収まろうとしているところであった。
エティエンヌはローランに
「私は裏でこの国を支えましょう。仕事は振ってください。民の前に出るのも陛下の仕事の一つですから」
とこちらもローランを丸め込んだ。ローランは自分より大人の公爵やエティエンヌが自分に従うのがとても嬉しく誇らしかった。自分が王であると実感させてくれた。それに二人に仕事を任せればジリオーラの店に通う時間が出来るので喜ばしい事だと思っていた。
ランバート公爵もエティエンヌも何も言わなかった。エティエンヌに至っては
「そうですね、偶には気分転換もよろしいかと思いますよ」
とまで言った。
レミが訊ねるのでアレンは首を横に振った。ここはランバート家の客室で本人たちの希望でツインベッドに部屋であった。レミは既に湯あみを終えている。
「殺したりするには普通過ぎて……気が抜ける」
「にいさんが出来ないなら私があるけど?お茶を飲んでる時に後ろから針でやったら証拠も残らないよ?」
アレンは首を横に振る。
「レミに汚れ仕事はさせないよ」
「そういうけど……アレン、女殺せる?殴れる?ソフィー様の時だって」
「……」
レミはアレンに言う。
「そろそろ潮時でしょ?王宮の仕事から外してもらったら?どうせ陛下は我々の事認知してないんだし」
「っ……」
レミな冷静にアレンに告げる。
「あの二人に元のクラスメイトを殺させるのは忍びないな」
「学園で同級生でしたっけ、エリカと陛下と現側近たちと」
エティエンヌは蒸留酒の香りを楽しんでいる。
「元クラスメイトを手にかけたり罠にかけたりは……あんまり後味は良くないからね」
ランバート公爵の言葉にエティエンヌはくくくっと笑った。
「甥を落そうとしてる私にそれをいいますか」
「まぁ。そうだな。……従弟殿、積もった埃は払わないとな」
ランバート公爵の父親、前ランバート公爵の妹を母に持つエティエンヌは美しい……、セシルと似た男だった。銀の髪に青い瞳の母親に似た顔立ちだったのでどことなくランバート公爵とも似ている。
エティエンヌの母親は側妃であった。公爵令嬢を側妃にしたのは前の前の陛下だった。学園で平民の女子生徒に手をだし彼女を正妃にしないと王にならないと言い出したのだ。これが王太后、現在の後宮の主であった。前の前の陛下は幾人かの側妃を持ち、その側妃の取りまとめ役としてエティエンヌの母が呼ばれた。元婚約者であり、陛下の事は嫌いではなかったし、幼馴染の情でそのまま輿入れし、亡くなるまでは後宮のトップであった。割合と若くして亡くなったのでその後は正妃が後宮の主として振舞いだしたのだ。
エティエンヌは幼いころは公爵の家で公爵を兄と慕って育ち、成人後は海の離宮、本来はランバート家の持ち物だがエティエンヌの為に王家に献上した建物だ。離宮に『蟄居』という名目で王太后の勢力範囲から逃げていた。
今回の騒動に乗じて離宮から離れ、ローランの味方のような顔をしてランバート公爵と王弟エティエンヌは王宮の文官と文書を掌握したのだ。騎士達は前騎士団長に心酔しており、これは今回取りつぶしになった伯爵家出身の前騎士団長が掌握している。
新しい側近たちやローランはそう言うことに頭が回っていない。以前のソフィーのいた位置にランバート公爵はまんまと収まろうとしているところであった。
エティエンヌはローランに
「私は裏でこの国を支えましょう。仕事は振ってください。民の前に出るのも陛下の仕事の一つですから」
とこちらもローランを丸め込んだ。ローランは自分より大人の公爵やエティエンヌが自分に従うのがとても嬉しく誇らしかった。自分が王であると実感させてくれた。それに二人に仕事を任せればジリオーラの店に通う時間が出来るので喜ばしい事だと思っていた。
ランバート公爵もエティエンヌも何も言わなかった。エティエンヌに至っては
「そうですね、偶には気分転換もよろしいかと思いますよ」
とまで言った。
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