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本編
母に訊ねる
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令嬢達は兄に連れられて各家に用意された馬車で帰る事になったが、連れて帰る前に母親と軽食とお茶を楽しむ時間を貰えた。楽しむどころではなかったが。各家の兄達は母親たちとは別に食堂で軽食というには重い食事で腹を満たしていた。
「フレデリクはこの王都まで3時間の道通ってるんだもんなぁ」
ジェラールは少し変な顔をしたが黙る。ここから王都までは大きな森林に添った街道を通って橋を越えなぇればいけない。が、実は王都と領地の間の森のど真ん中を直線で突っ切って45分で王宮に着く道を母親の先祖は作っていた。もちろん王族とフーシェ一族の間の秘密事でこれを通勤に使っているのだ。
数日後。
結局エレーヌはカウンセリングとしてジリオーラが話を聞く事になった。マルグリット曰く。どうしても男性がいないと生きていけない女性はいるのよ、そういう意味でと言っている。じつは昔からエレーヌの母親に相談されていたらしい。7つくらいからそういう欲が目につきだして10歳になる前に庭男たちと戯れるようになった、と。
フレデリクは母の言葉を聞きジェルマンの呆れようを思い出した。
『あいつは棒状のものならなんでもいいのか』
と憤ってもいた。
「ならサ・レ男爵に嫁いでもらうのはどうでしょう」
「塩漬け男爵、ですか」
この国の貴族の一人で、王都から少し離れた領地をもつ31歳の男だった。既に妻が3人変わっており、離縁の理由はそちら方面が強すぎて体がもたないという事だった。最初の妻は1年、次の妻は半年、その次は3か月とスパンは段々短くなっていた。
「ジリオーラもそう言ってるの。相手の包容力は十分だしエレーヌの欲求は満たされるんじゃないかって。まだ若いから体力もあるっていうのも推薦の理由。あと、あの男爵を満足させられる相手っていないのよね……」
フレデリクは頭の中だけで言う。
『ようは好き者って事だよな』
と。
「ま、ジリオーラに任せる。あの子、アラン陛下の側室狙いもしてたみたいだからなぁ。王宮にはおきたくないのよ」
マルグリットは書類を手に取ったがフレデリクは話をつづけた。
「ジャクリーン、ララ、ノエラはどうなりました?」
「……ジャクリーンはまだ決まってません。娘に甘い父親を他家の父親が諫めてる最中です。婚約『破棄』となってるのでこの騒動が終わったら条件を提示、ということらしいです。ララは1年間、王宮の下働きをして反省度合いによって家に復帰できるか決まるようです。ノエラはランバート公爵の元でカフェ本の作り直し。売り上げが目標数値まで上がったら家に戻れます。上がらなかったら上がるまで本を書かされるのじゃないかな?そのあたりはランバート公爵に任せてます」
フレデリクはふふんと笑う。
「ノエラは元本の続き書いてもらえば?元本は本当に甘々な少女小説だったからな。偽聖女様の性格知ってたら書きにくいとは思うけどね」
「それもいいですね。お手紙に書いておきましょう」
日に一度魔術的な手段をもってやり取りされる手紙にさらさらと書きつける。
「そういえば、エティエンヌ殿下に釣り合いそうな……まともに話の出来そうな令嬢はいらっしゃる?私相手だと女性向けの顔しか見れないからね」
フレデリクは額に手をおく。
「容姿は地味ですし、目立たなくしてる令嬢がいらっしゃって。図書館司書をしてるようですが。教養、マナーは申し分ないですが侯爵家の鬼子って言われてるのでなにかあるかもです」
「ああ、ラリック侯爵家の子ね。調べます。というか……噂レベルではその子が本妻の子なのに同じ年に生まれた妾の子を本妻の子だと登録して元本妻のメイベル様の籍を妾につかわせて。亡くなったメイベル様を妾として葬ったのではって疑惑がずっとある人だわ」
マルグリットは自分の手帳を見ながら話している。
「メイベル様は元々遠い国の方でそちらの子爵令嬢らしいの」
「フレデリクはこの王都まで3時間の道通ってるんだもんなぁ」
ジェラールは少し変な顔をしたが黙る。ここから王都までは大きな森林に添った街道を通って橋を越えなぇればいけない。が、実は王都と領地の間の森のど真ん中を直線で突っ切って45分で王宮に着く道を母親の先祖は作っていた。もちろん王族とフーシェ一族の間の秘密事でこれを通勤に使っているのだ。
数日後。
結局エレーヌはカウンセリングとしてジリオーラが話を聞く事になった。マルグリット曰く。どうしても男性がいないと生きていけない女性はいるのよ、そういう意味でと言っている。じつは昔からエレーヌの母親に相談されていたらしい。7つくらいからそういう欲が目につきだして10歳になる前に庭男たちと戯れるようになった、と。
フレデリクは母の言葉を聞きジェルマンの呆れようを思い出した。
『あいつは棒状のものならなんでもいいのか』
と憤ってもいた。
「ならサ・レ男爵に嫁いでもらうのはどうでしょう」
「塩漬け男爵、ですか」
この国の貴族の一人で、王都から少し離れた領地をもつ31歳の男だった。既に妻が3人変わっており、離縁の理由はそちら方面が強すぎて体がもたないという事だった。最初の妻は1年、次の妻は半年、その次は3か月とスパンは段々短くなっていた。
「ジリオーラもそう言ってるの。相手の包容力は十分だしエレーヌの欲求は満たされるんじゃないかって。まだ若いから体力もあるっていうのも推薦の理由。あと、あの男爵を満足させられる相手っていないのよね……」
フレデリクは頭の中だけで言う。
『ようは好き者って事だよな』
と。
「ま、ジリオーラに任せる。あの子、アラン陛下の側室狙いもしてたみたいだからなぁ。王宮にはおきたくないのよ」
マルグリットは書類を手に取ったがフレデリクは話をつづけた。
「ジャクリーン、ララ、ノエラはどうなりました?」
「……ジャクリーンはまだ決まってません。娘に甘い父親を他家の父親が諫めてる最中です。婚約『破棄』となってるのでこの騒動が終わったら条件を提示、ということらしいです。ララは1年間、王宮の下働きをして反省度合いによって家に復帰できるか決まるようです。ノエラはランバート公爵の元でカフェ本の作り直し。売り上げが目標数値まで上がったら家に戻れます。上がらなかったら上がるまで本を書かされるのじゃないかな?そのあたりはランバート公爵に任せてます」
フレデリクはふふんと笑う。
「ノエラは元本の続き書いてもらえば?元本は本当に甘々な少女小説だったからな。偽聖女様の性格知ってたら書きにくいとは思うけどね」
「それもいいですね。お手紙に書いておきましょう」
日に一度魔術的な手段をもってやり取りされる手紙にさらさらと書きつける。
「そういえば、エティエンヌ殿下に釣り合いそうな……まともに話の出来そうな令嬢はいらっしゃる?私相手だと女性向けの顔しか見れないからね」
フレデリクは額に手をおく。
「容姿は地味ですし、目立たなくしてる令嬢がいらっしゃって。図書館司書をしてるようですが。教養、マナーは申し分ないですが侯爵家の鬼子って言われてるのでなにかあるかもです」
「ああ、ラリック侯爵家の子ね。調べます。というか……噂レベルではその子が本妻の子なのに同じ年に生まれた妾の子を本妻の子だと登録して元本妻のメイベル様の籍を妾につかわせて。亡くなったメイベル様を妾として葬ったのではって疑惑がずっとある人だわ」
マルグリットは自分の手帳を見ながら話している。
「メイベル様は元々遠い国の方でそちらの子爵令嬢らしいの」
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