19 / 26
本編
母に訊ねる
しおりを挟む
令嬢達は兄に連れられて各家に用意された馬車で帰る事になったが、連れて帰る前に母親と軽食とお茶を楽しむ時間を貰えた。楽しむどころではなかったが。各家の兄達は母親たちとは別に食堂で軽食というには重い食事で腹を満たしていた。
「フレデリクはこの王都まで3時間の道通ってるんだもんなぁ」
ジェラールは少し変な顔をしたが黙る。ここから王都までは大きな森林に添った街道を通って橋を越えなぇればいけない。が、実は王都と領地の間の森のど真ん中を直線で突っ切って45分で王宮に着く道を母親の先祖は作っていた。もちろん王族とフーシェ一族の間の秘密事でこれを通勤に使っているのだ。
数日後。
結局エレーヌはカウンセリングとしてジリオーラが話を聞く事になった。マルグリット曰く。どうしても男性がいないと生きていけない女性はいるのよ、そういう意味でと言っている。じつは昔からエレーヌの母親に相談されていたらしい。7つくらいからそういう欲が目につきだして10歳になる前に庭男たちと戯れるようになった、と。
フレデリクは母の言葉を聞きジェルマンの呆れようを思い出した。
『あいつは棒状のものならなんでもいいのか』
と憤ってもいた。
「ならサ・レ男爵に嫁いでもらうのはどうでしょう」
「塩漬け男爵、ですか」
この国の貴族の一人で、王都から少し離れた領地をもつ31歳の男だった。既に妻が3人変わっており、離縁の理由はそちら方面が強すぎて体がもたないという事だった。最初の妻は1年、次の妻は半年、その次は3か月とスパンは段々短くなっていた。
「ジリオーラもそう言ってるの。相手の包容力は十分だしエレーヌの欲求は満たされるんじゃないかって。まだ若いから体力もあるっていうのも推薦の理由。あと、あの男爵を満足させられる相手っていないのよね……」
フレデリクは頭の中だけで言う。
『ようは好き者って事だよな』
と。
「ま、ジリオーラに任せる。あの子、アラン陛下の側室狙いもしてたみたいだからなぁ。王宮にはおきたくないのよ」
マルグリットは書類を手に取ったがフレデリクは話をつづけた。
「ジャクリーン、ララ、ノエラはどうなりました?」
「……ジャクリーンはまだ決まってません。娘に甘い父親を他家の父親が諫めてる最中です。婚約『破棄』となってるのでこの騒動が終わったら条件を提示、ということらしいです。ララは1年間、王宮の下働きをして反省度合いによって家に復帰できるか決まるようです。ノエラはランバート公爵の元でカフェ本の作り直し。売り上げが目標数値まで上がったら家に戻れます。上がらなかったら上がるまで本を書かされるのじゃないかな?そのあたりはランバート公爵に任せてます」
フレデリクはふふんと笑う。
「ノエラは元本の続き書いてもらえば?元本は本当に甘々な少女小説だったからな。偽聖女様の性格知ってたら書きにくいとは思うけどね」
「それもいいですね。お手紙に書いておきましょう」
日に一度魔術的な手段をもってやり取りされる手紙にさらさらと書きつける。
「そういえば、エティエンヌ殿下に釣り合いそうな……まともに話の出来そうな令嬢はいらっしゃる?私相手だと女性向けの顔しか見れないからね」
フレデリクは額に手をおく。
「容姿は地味ですし、目立たなくしてる令嬢がいらっしゃって。図書館司書をしてるようですが。教養、マナーは申し分ないですが侯爵家の鬼子って言われてるのでなにかあるかもです」
「ああ、ラリック侯爵家の子ね。調べます。というか……噂レベルではその子が本妻の子なのに同じ年に生まれた妾の子を本妻の子だと登録して元本妻のメイベル様の籍を妾につかわせて。亡くなったメイベル様を妾として葬ったのではって疑惑がずっとある人だわ」
マルグリットは自分の手帳を見ながら話している。
「メイベル様は元々遠い国の方でそちらの子爵令嬢らしいの」
「フレデリクはこの王都まで3時間の道通ってるんだもんなぁ」
ジェラールは少し変な顔をしたが黙る。ここから王都までは大きな森林に添った街道を通って橋を越えなぇればいけない。が、実は王都と領地の間の森のど真ん中を直線で突っ切って45分で王宮に着く道を母親の先祖は作っていた。もちろん王族とフーシェ一族の間の秘密事でこれを通勤に使っているのだ。
数日後。
結局エレーヌはカウンセリングとしてジリオーラが話を聞く事になった。マルグリット曰く。どうしても男性がいないと生きていけない女性はいるのよ、そういう意味でと言っている。じつは昔からエレーヌの母親に相談されていたらしい。7つくらいからそういう欲が目につきだして10歳になる前に庭男たちと戯れるようになった、と。
フレデリクは母の言葉を聞きジェルマンの呆れようを思い出した。
『あいつは棒状のものならなんでもいいのか』
と憤ってもいた。
「ならサ・レ男爵に嫁いでもらうのはどうでしょう」
「塩漬け男爵、ですか」
この国の貴族の一人で、王都から少し離れた領地をもつ31歳の男だった。既に妻が3人変わっており、離縁の理由はそちら方面が強すぎて体がもたないという事だった。最初の妻は1年、次の妻は半年、その次は3か月とスパンは段々短くなっていた。
「ジリオーラもそう言ってるの。相手の包容力は十分だしエレーヌの欲求は満たされるんじゃないかって。まだ若いから体力もあるっていうのも推薦の理由。あと、あの男爵を満足させられる相手っていないのよね……」
フレデリクは頭の中だけで言う。
『ようは好き者って事だよな』
と。
「ま、ジリオーラに任せる。あの子、アラン陛下の側室狙いもしてたみたいだからなぁ。王宮にはおきたくないのよ」
マルグリットは書類を手に取ったがフレデリクは話をつづけた。
「ジャクリーン、ララ、ノエラはどうなりました?」
「……ジャクリーンはまだ決まってません。娘に甘い父親を他家の父親が諫めてる最中です。婚約『破棄』となってるのでこの騒動が終わったら条件を提示、ということらしいです。ララは1年間、王宮の下働きをして反省度合いによって家に復帰できるか決まるようです。ノエラはランバート公爵の元でカフェ本の作り直し。売り上げが目標数値まで上がったら家に戻れます。上がらなかったら上がるまで本を書かされるのじゃないかな?そのあたりはランバート公爵に任せてます」
フレデリクはふふんと笑う。
「ノエラは元本の続き書いてもらえば?元本は本当に甘々な少女小説だったからな。偽聖女様の性格知ってたら書きにくいとは思うけどね」
「それもいいですね。お手紙に書いておきましょう」
日に一度魔術的な手段をもってやり取りされる手紙にさらさらと書きつける。
「そういえば、エティエンヌ殿下に釣り合いそうな……まともに話の出来そうな令嬢はいらっしゃる?私相手だと女性向けの顔しか見れないからね」
フレデリクは額に手をおく。
「容姿は地味ですし、目立たなくしてる令嬢がいらっしゃって。図書館司書をしてるようですが。教養、マナーは申し分ないですが侯爵家の鬼子って言われてるのでなにかあるかもです」
「ああ、ラリック侯爵家の子ね。調べます。というか……噂レベルではその子が本妻の子なのに同じ年に生まれた妾の子を本妻の子だと登録して元本妻のメイベル様の籍を妾につかわせて。亡くなったメイベル様を妾として葬ったのではって疑惑がずっとある人だわ」
マルグリットは自分の手帳を見ながら話している。
「メイベル様は元々遠い国の方でそちらの子爵令嬢らしいの」
18
あなたにおすすめの小説
【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
冷遇された没落姫は、風に乗せて真実を詠う ─残り香の檻─
あとりえむ
恋愛
「お前の練る香など、埃と同じだ」
没落した名家の姫・瑠璃は、冷酷な夫・道隆に蔑まれ、極寒の離れに追いやられていた。夫の隣には、贅を尽くした香料を纏う愛人の明子。
しかし道隆は知らなかった。瑠璃が魂を削って練り上げた香は、焚く者の心根を映し出す「真実の鏡」であることを。
瑠璃が最後に残した香の種を、明子が盗み出し、手柄を偽って帝の前で焚き上げた瞬間。美しき夢は、獣の死臭が漂う地獄へと変貌する。
「この香りの主を探せ。これほど澄み切った魂が、この都に在るはずだ」
絶望の淵で放たれた一筋の香りに導かれ、孤独な東宮が泥の中に咲く白蓮を見つけ出す。
嘘と虚飾にまみれた貴族社会を、ひとりの調香師が浄化する、雅やかな逆転劇。
遺産は一円も渡さない 〜強欲な夫と義実家に捨てられた私、真の相続人と手を組み全てを奪い返す~ (全10話)
スカッと文庫
恋愛
「お前の価値なんて、その遺産くらいしかないんだよ」
唯一の肉親だった祖父を亡くした夜、夫の健一と義母から放たれたのは、あまりにも無慈悲な言葉だった。
四十九日も待たず、祖父が遺した1億2000万円の遺産をアテに贅沢三昧を目論む夫。だが、彼には隠し通している「裏切り」があった――。
絶望の淵に立たされた由美の前に現れたのは、亡き祖父が差し向けた若き凄腕弁護士・蓮。
「おじい様は、すべてお見通しでしたよ」
明かされる衝撃の遺言内容。そして、強欲な夫たちを地獄へ叩き落とすための「相続条件」とは?
虐げられてきた妻による、一発逆転の遺産争奪&復讐劇がいま幕を開ける!
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
真実の愛は水晶の中に
立木
恋愛
学園の卒業を祝うパーティーの最中、レイシア・マレーニ侯爵令嬢は第三王子とピンク髪の女、その取り巻きたちによって断罪されようとしていた。
しかし断罪劇は思わぬ方向へ進んでいく。
※「なろう」にも重複投稿しています。
捨てられた令嬢と、選ばれなかった未来
鍛高譚
恋愛
「君とは釣り合わない。だから、僕は王女殿下を選ぶ」
婚約者アルバート・ロンズデールに冷たく告げられた瞬間、エミリア・ウィンスレットの人生は暗転した。
王都一の名門公爵令嬢として慎ましくも誠実に彼を支えてきたというのに、待っていたのは無慈悲な婚約破棄――しかも相手は王女クラリッサ。
アルバートと王女の華やかな婚約発表の裏で、エミリアは社交界から冷遇され、"捨てられた哀れな令嬢"と嘲笑される日々が始まる。
だが、彼女は決して屈しない。
「ならば、貴方たちが後悔するような未来を作るわ」
そう決意したエミリアは、ある人物から手を差し伸べられる。
――それは、冷静沈着にして王国の正統な後継者、皇太子アレクシス・フォルベルト。
彼は告げる。「私と共に来い。……君の聡明さと誇りが、この国には必要だ」
「君は有能すぎて可愛げがない」と婚約破棄されたので、一晩で全ての魔法結界を撤去して隣国へ行きます。あ、維持マニュアルは燃やしました。
しょくぱん
恋愛
「君の完璧主義には反吐が出る」――婚約者の第一王子にそう告げられ、国外追放を命じられた聖女エルゼ。彼女は微笑み、一晩で国中の魔法結界を撤去。さらに「素人でも直せる」と嘘を吐かれた維持マニュアルを全て焼却処分した。守護を失いパニックに陥る母国を背に、彼女は隣国の軍事帝国へ。そこでは、彼女の「可愛くない」技術を渇望する皇帝が待っていた。
夫に君も愛人を作ればいいと言われましたので
麻麻(あさあさ)
恋愛
「君も愛人を作ればいい」と夫に言われたので売り言葉に買い言葉で出会った愛人候補は自分が魔法使い伯爵と言いました。
全15話。プロローグから4話まで一挙公開。
翌日からは20時に2話ずつ公開。11日は最終話まで3話一挙公開。
登場人物
マーリン・ダグラス
結婚2年目にして夫の不倫を問い詰めたら黒だった令嬢。母に聞かされた結婚は夫となる人を大事にという言葉を守ってるが夫のギルバートにブチギレてこの度愛人を探すと決める。
デミトリアス・ドラモンドまたはアロン
マーリンが仮面舞踏会で知り合った自称魔法使い伯爵。次の日にマーリン好みの執事アロンに姿を変えて彼女の屋敷に来る。
ギルバート・ダグラス
マーリンの夫で伯爵。ギルと呼ばれている。愛人を作れば発言をした。
シェリー・モーヴ
ギルバートの愛人
エミリー
マーリンの親友で既婚者。
ララとリリー
マーリンの屋敷のメイド達。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる