縁は縁でも腐ってる

長澤直流

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◆貳拾肆 ※背後注意め

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 戸がひしゃげ飛んで意識を覚醒させた美慶が最初に感じたのは、ここ数年自分の体に纏わり付く香りと同じに匂いだった。もう自分の匂いなのか他人の匂いなのかわからないくらい纏わり付いているそれだが、判別の方法はある。それを纏う熱源だ。
(あ、熱い――)
「美慶ぃ、こんなところに居ったのか。ここは人が入る場所では無い故、まったく気が付かなかったわい」
「総満様、お早いお帰りですね」
「……これから其方を探すときは常識に囚われて考えない事に致す」
「……何故気づかれましたか? 気配はそれなりに消せていたと思ったのですが――」
「確かに気配は驚くほど綺麗に消せていたな」
「では、何故――」
「……聞いてどうする?」
「言って下されば、善処致します」
「…………匂いだ」
「は?」
に散々抱かれた後のからは雌の匂いが酷く香る。実にそそられる匂いじゃ」
「なっ――!」
 そう言って総満は片方の口端を上げて黒い笑みを浮かべる。まるで消せるもなら消してみせろとでも言うかのように――
 美慶は予期せぬ答えに羞恥で全身を真っ赤に染め総満から顔を逸らした。それを見て総満は気を良くしたのか、にんまりと笑うと、美慶の頬に手を添えて囁くように言った。
「まぁ、安心せよ。その匂いを嗅ぎ分けられるのは余ぐらいだろうて…………だからそう、煽るな」
 固まる美慶に、総満は面白半分に押し入れへと詰め寄ると、美慶の膝を両肩に掛けて互いの下半身を密着させた。下帯など締めていない美慶は、恥部が剥き出しになるが、今はそれどころじゃなかった。いや、総満には散々見られ弄られている故に今更だったのかもしれない。そんなことよりも膝を持ち上げられたことにより体勢が崩れ、押し入れの壁に不自然な体勢で圧迫される背中に美慶は少し苦しそうに眉を顰めた。
「たまにはこういった趣向も有りやもしれぬな」
 そろっと手を着流しの合わせ目から侵入させ、太股へと這わせた総満は、びくっと反応する美慶に喉を鳴らし、さわさわと滑らすように臀部まで手を忍ばせて柔らかく手に吸い付く肉を力強く揉みしだく。すると引き伸ばされた美慶の菊花にピリッと痛みが走った。
「――っ……」
「ふむ、痛むか……昨夜はちと、がっついてしまったかのう」
 総満はそう言ってただ笑うだけで手を緩めようとはしない。美慶は仕方なしに両腕を総満の首に回して、上体を起こした。総満はすかさず下から支え、美慶を己の膝の上へと誘う。
「先刻は何処におったのだ? この部屋ではなかろう? もぬけの殻じゃった」
「何のことやらわかりませぬ」
「早々と勤めを終え、来てみれば愛しの其方が部屋に居らぬ。余は随分寂しい思いをした」
「大層なことを申されますな――」
「寂しい思いをして……腹が立った」
「たったのは本当に腹でございますか?」
「もちろん腹じゃ。だがしかし、其方にこうやって触れていると……ほれ、この様に――」
 総満の魔羅が袴越しに美慶の菊花を押し上げる。布越しで無ければすぐにでも美慶の中に納まっていただろう。
「本に元気で何よりでございます。野神家の将来は盤石にございましょうや。されど、こう私との色事ばかりに呆けていては政に支障をきたしましょう」
「案ずるな、余には優秀な家臣がおるでのう。多少のことは融通が利く、まあ、其方が心配するようなことでは無い」
 そう言いながら総満は己の袴の紐をほどき、下帯を寛げさせると、先程まで美慶の菊花を布越しに突いていた魔羅を取り出した。
 大きくそそり立つ総満の魔羅に美慶は引きつった喉を鳴らす。
「――――ぁ……ぅ」
 無意識に反応してしまう下半身が落ち着かず美慶が顔を伏せると、総満は嗜虐的な笑みを浮かべて色気漂う低い声音で美慶の耳元に囁いた。
「美慶、腰が揺れておるぞ」
「……気のせいでございましょう」
 美慶が尻すぼみにそう言うと、総満はくつくつと笑って言った。
「そう急かさずともすぐによがらしてやる。でな――」
「やめっ……あっ…ひぃっ――」
 一気に貫かれ、全身が痺れる快感に襲われる。
 力の抜ける感覚にこのまま自分はどうなってしまうのかとぞっとするも、捕らえられてしまった以上もはや無駄な抵抗はしない。
 こうなってしまっては自分では抗いきれないことを美慶はここ数年で嫌というほど学んでいる。

 美慶は激流に抗わず身を委ねるようにして、総満から与えられる快楽に呑み込まれ、ここのところよく訪れる白い闇へと誘われていった。
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