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22,お父様は賢い脳筋
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私たちは、養蜂場の帰りに立ち寄ったアレックス叔父様の応接室で、完全に固まったローズマリーのハンドクリームを試していた。
「やはり配分もこのくらいがちょうど良さそうですね。」
「こういうのは全部エリィが考えているの?」
「えぇ、まぁ。ちなみにオイルはこちらで作っている向日葵オイルを使っています。まだ試作品なので色々な割合で試してみようと思っています。ルークお兄様、お父様、叔父様、私はこれを商品化したいのです。
向日葵畑で作った向日葵オイル、養蜂場で作ったミツロウ、そして精油でハンドクリームを作るのです。」
満を持して相談する。
騎士団長をしているお父様だが、領地経営にも余念がなく領民からの支持も厚い。領主は代理人に任せているようだが賢い脳筋なのだ。
今はルークお兄様が領地管理をサポートをしている。ここマガン領を代理運営しているアレックス叔父様も領民の支持は厚い。
「なるほど。うん、これは売れるとは思うけどけっこう手間がかかっているよね?価格はどうするつもりなのかな?」
「今回作ったような精油を入れて付加価値をつけたハンドクリームと、精油を入れずに保湿のみのハンドクリームのニ種類を展開するつもりです。
植物の種類によっても採れる精油の量は違うので、あまり採れない精油で作ったものは希少価値を上げた価格設定にします。
貴族だけではなく、庶民の方でも使えるような価格が理想です。
あと、貴族向けには容器に拘って、庶民にも購入できるギフト用にもなるような、そんな価格設定にしたいと考えています。」
私の話を静かに聞いてくれたお父様は、
「エリィはもう子供ではないのだな。こんなにしっかり考えているなんて。」
と少し寂しそうに言った。
「私はもう11歳ですわよ。お父様。」
「そうとは思えないから不思議だ。本当にエリィは我が家の奇跡であり宝物だよ。」
「お父様、オーバーですわ。
それで、最初はイーサンのお店で試験的に販売したいと考えています。今度イーサンに話したいのですが、お父様達も同席していただきたいのですが、ご都合はいかがですか?」
イーサンは私が子供だからと足元を見るようなセコい商人ではないと思っているが、こういう商談は大人がいた良いと思っている。
「次の休日はちょっと難しいが、その次なら大丈夫だよ。ルークも同席させるのだろう?アレックスもいいだろう?」
「叔父様、ルークお兄様、お願いできますか?」
「エリィの頼みにダメという選択肢はないよ。」
「うん、私もだ。問題ないよ。」
「ありがとうございます!では翌々週の土曜日ということでよろしいですか?」
「うん。いいよ。」
よかった。少し軽い気もするけれど、うまく約束を取り付けられたわ。
◆
屋敷に戻ってきた私は効率的にイーサン達にプレゼンをすべく、準備に勤しんだ。
イーサンはとても優秀な商人だ。半端なものは作れない。しっかりと準備が必要なのだ。
ミツロウとオイルの配合を変えて何種類か試作品を作成した。オイルも向日葵オイルと市場で良く出回っているオリーブオイルの両方で試してみよう。
また、養蜂場で貰った蜂蜜でも試してみる。
作ったのは、
無香料のハンドクリーム
蜂蜜のハンドクリーム
ラベンダーのハンドクリーム
ローズマリーのハンドクリーム
カモミールのハンドクリーム
の5種類。
配合は1:5と1:3の2種類
合計で20種類のハンドクリームを作った。
これを分かりやすいようにまとめて、資料も作成する。資料といっても全て手書きだ。イラストなども入れて見やすく工夫をしてみる。
ただ私の絵心は残念なものなので、絵が得意なメイドに頼んで書いてもらった。
そうだ、いろんな人に試してもらいたいから、使用人の皆にも試してもらおう。
投票してもらって、気に入ったものがあればプレゼントしよう。いつもお世話になっているから、このくらいしてあげたいな。というかそれが最初の目的だし。
そう思い、ハンドクリームを沢山作る。
何せこの公爵邸の中には使用人が大勢いるのだ。
材料は揃っていて、あとは混ぜるだけなので簡単に作る事ができる。
オイルは他にもあると嬉しいな。
そういえば、以前本で読んだが、確かココナッツオイルはこの世界にもあったはず。
市場に出回っているのかな?
手伝ってくれているマリーに聞いてみる。
「ねぇマリー、ココナッツオイルって街に行けば手に入るかしら?」
「ココナッツオイルですか、うーん、あんまり売ってるのは見たことありませんね。」
「そうなの?もしかして高価なのかな。
しょうがない、イーサンが今度来たときに聞いてみましょう。」
そんなこんなで着々と準備を進め、遂にプレゼンの日を迎えたのだった。
「やはり配分もこのくらいがちょうど良さそうですね。」
「こういうのは全部エリィが考えているの?」
「えぇ、まぁ。ちなみにオイルはこちらで作っている向日葵オイルを使っています。まだ試作品なので色々な割合で試してみようと思っています。ルークお兄様、お父様、叔父様、私はこれを商品化したいのです。
向日葵畑で作った向日葵オイル、養蜂場で作ったミツロウ、そして精油でハンドクリームを作るのです。」
満を持して相談する。
騎士団長をしているお父様だが、領地経営にも余念がなく領民からの支持も厚い。領主は代理人に任せているようだが賢い脳筋なのだ。
今はルークお兄様が領地管理をサポートをしている。ここマガン領を代理運営しているアレックス叔父様も領民の支持は厚い。
「なるほど。うん、これは売れるとは思うけどけっこう手間がかかっているよね?価格はどうするつもりなのかな?」
「今回作ったような精油を入れて付加価値をつけたハンドクリームと、精油を入れずに保湿のみのハンドクリームのニ種類を展開するつもりです。
植物の種類によっても採れる精油の量は違うので、あまり採れない精油で作ったものは希少価値を上げた価格設定にします。
貴族だけではなく、庶民の方でも使えるような価格が理想です。
あと、貴族向けには容器に拘って、庶民にも購入できるギフト用にもなるような、そんな価格設定にしたいと考えています。」
私の話を静かに聞いてくれたお父様は、
「エリィはもう子供ではないのだな。こんなにしっかり考えているなんて。」
と少し寂しそうに言った。
「私はもう11歳ですわよ。お父様。」
「そうとは思えないから不思議だ。本当にエリィは我が家の奇跡であり宝物だよ。」
「お父様、オーバーですわ。
それで、最初はイーサンのお店で試験的に販売したいと考えています。今度イーサンに話したいのですが、お父様達も同席していただきたいのですが、ご都合はいかがですか?」
イーサンは私が子供だからと足元を見るようなセコい商人ではないと思っているが、こういう商談は大人がいた良いと思っている。
「次の休日はちょっと難しいが、その次なら大丈夫だよ。ルークも同席させるのだろう?アレックスもいいだろう?」
「叔父様、ルークお兄様、お願いできますか?」
「エリィの頼みにダメという選択肢はないよ。」
「うん、私もだ。問題ないよ。」
「ありがとうございます!では翌々週の土曜日ということでよろしいですか?」
「うん。いいよ。」
よかった。少し軽い気もするけれど、うまく約束を取り付けられたわ。
◆
屋敷に戻ってきた私は効率的にイーサン達にプレゼンをすべく、準備に勤しんだ。
イーサンはとても優秀な商人だ。半端なものは作れない。しっかりと準備が必要なのだ。
ミツロウとオイルの配合を変えて何種類か試作品を作成した。オイルも向日葵オイルと市場で良く出回っているオリーブオイルの両方で試してみよう。
また、養蜂場で貰った蜂蜜でも試してみる。
作ったのは、
無香料のハンドクリーム
蜂蜜のハンドクリーム
ラベンダーのハンドクリーム
ローズマリーのハンドクリーム
カモミールのハンドクリーム
の5種類。
配合は1:5と1:3の2種類
合計で20種類のハンドクリームを作った。
これを分かりやすいようにまとめて、資料も作成する。資料といっても全て手書きだ。イラストなども入れて見やすく工夫をしてみる。
ただ私の絵心は残念なものなので、絵が得意なメイドに頼んで書いてもらった。
そうだ、いろんな人に試してもらいたいから、使用人の皆にも試してもらおう。
投票してもらって、気に入ったものがあればプレゼントしよう。いつもお世話になっているから、このくらいしてあげたいな。というかそれが最初の目的だし。
そう思い、ハンドクリームを沢山作る。
何せこの公爵邸の中には使用人が大勢いるのだ。
材料は揃っていて、あとは混ぜるだけなので簡単に作る事ができる。
オイルは他にもあると嬉しいな。
そういえば、以前本で読んだが、確かココナッツオイルはこの世界にもあったはず。
市場に出回っているのかな?
手伝ってくれているマリーに聞いてみる。
「ねぇマリー、ココナッツオイルって街に行けば手に入るかしら?」
「ココナッツオイルですか、うーん、あんまり売ってるのは見たことありませんね。」
「そうなの?もしかして高価なのかな。
しょうがない、イーサンが今度来たときに聞いてみましょう。」
そんなこんなで着々と準備を進め、遂にプレゼンの日を迎えたのだった。
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