【完結】秘める華が暴かれる時

七咲陸

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番外編

抱きしめて、キスをして③

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  次の日、お昼過ぎにやってきたフレイ兄さまはカッツェの言っていた通り世界の終わりのような絶望を感じている顔つきで姿を見せた。

「フレイ兄さま……」

  そっと身体に触れると、途端に瞳を潤ませてぼくをぎゅうぎゅうに抱きしめてきた。久しぶりの抱擁が嬉しくて、フレイ兄さまの服にシワが寄るのも気にせずに掴んだ。

「……フレイはこのまま一週間の休暇です。お兄様、構いませんね」

「うん、カッツェの好きなように。セティは別にこのまま居てくれて良いけれど?」

「セティのお休みも頂きたく存じます!」

「……だってさ、カッツェ?」

  フレイ兄さまの懇願に、カッツェがため息をついて了解した。

「但し、必ず戻ってくるように。僕だって寂しいんですからね?」

「……うん…っ!」

  友人の言葉に泣きたくなるほど嬉しくてぼくは胸がいっぱいだった。

  帰りの道中、ずっとフレイ兄さまは手を繋いでくれた。そして沢山反省したと教えてくれた。
  ぼくのことを恋人とは思いつつも、幼いままぼくが抜けきらず、触れるのに戸惑ってしまっていたせいであんな態度をとってしまったと話す。
  レーヴェさまにも相当呆れられたと話す。思いが通じあっているのにどうしてこじらせるような事をするのか、と言われたらしい。

  レーヴェさまもカッツェに言わなかったことをたくさん後悔された。そのせいでミラー伯爵に危うく餌食になる所だった、と時折思い出しては苦しそうにしている。

  みんな、沢山後悔して、それでも前を向いてるんだなぁ。と思う。

  フレイ兄さまはいっぱい謝ってくれた。でもこれは、ぼくも本当は手を繋いでとか、抱きしめて、とかそういうことを言わなかったのが良くなかったと思ったのでぼくも一緒に謝った。

  謝り合い過ぎてよく分からなくなって、昨日のカッツェの時のように二人で笑顔になった。

  「昨日ね、カッツェと一緒にベッドで話したんです」

「え。本当に一緒に寝たのか。嘘だろう。本当か」

「フレイ兄、さま?目が怖いです…?」

「いや、いやなんでもない。続けてくれ」

  なんだかいつも綺麗な瞳が一瞬濁って、瞬きもしなかったけど大丈夫だろうか。

「それで、あの…ワガママを言った方が良いって教えてくれたんです」

「ああ。なんでも言ってくれ」

「あぅ……あの、あの……じゃあ……」

  まだ帰りの道中だ。けれど人通りはなく、2人だけなので勇気を振り絞って言うことに決めた。

  大丈夫。フレイ兄さまはこんなことで怒ったりなんかしない。だってぼくのことを好きって、抱きしめてくれる。だから大丈夫。

  すぅ、と息を吸って、吐いて、呼吸を整えた所で胸につっかえたものを吐き出すように力強く。

「ぼくとっ! セックスしてください!!」

  フレイ兄さまは目を開いたままぶっ倒れてしまった。


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