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王の過ち
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王が茫然としていると、隣から泣き声が聞こえてきた。
その声にはっと正気に戻り、声のするほうに目を向けた。
そこには案の定泣き崩れる公爵令嬢シェリアの姿が。
王は気まずい雰囲気に包まれた。
この縁談話は自分が発案したものだ。
息子に事前に知らせずに令嬢と会わせた王にも非があるが、息子があんなにきっぱりと断ると王は予想していなかった。
息子は今まで王である父の言うことを、文句も言わずに従ってきたから油断していたのかもしれない。
天才とは勝手なものだと、失念していた。
しかし自分が発案したのに、息子に拒否されるのは王の面子がたたない。
どうしたものか。
相手の令嬢にも失礼になってしまう。
こんなことならば先に聞いておけば良かった。
だが、後戻りはできない。
こうなったら令嬢に謝るしかないな。
「すまない。こちらから提案したのに、こんなことになってしまって」
「いえ、陛下のせいではございません。すべては殿下をふりむかせる魅力のないわたくしのせいですわ。わたくしも失礼いたします」
令嬢はそう言って、目を腫らして王の執務室から出ていった。
王の執務室から出ていったシエルリードは、王宮から出て馬を駆り、ある場所に向かっていた。
その場所は王都にある、とある貴族の屋敷だった。
その屋敷の主は、リバスル辺境子爵でした。
何故王子はこの屋敷に向かっているのか。
答えは簡単、王子はこの屋敷にいるはずの一人の女性に会いに行くのだ。
王子が王の用意した、婚約話をすげなく断ったのは、王子が一人の女性を愛していたからだ。
その女性がリバスル辺境子爵の一人娘、シルフェイル・レイ・リバスルだ。
彼女は貴婦人の中の貴婦人と言われるほど、社交界で有名である。
しかし、彼女の裏の顔は領主である父の手伝いをしている、外交の要だ。
他国から、その輝く銀色の髪の見た目から銀狐と呼ばれている。
だが、彼女の裏の顔を知っているものは多くない。
自国では、当代の王とその側近たちに辺境の領主。
他国は隣接する領主と王だけ。
彼女はその仕事柄、王族主催の催しもの以外はほとんど欠席している。
しかし、今年の初めにあった1年の恵みを祈る王族主催のパーティーに出席し、第3王子であるシエルリード・ドルド・カーラと会ってしまった。
当初はシエルリードも彼女にそんなに興味を示してはいなかった。(あまり関わらず、興味の対象に入らなかったから)
だが、ある時を境に彼女に興味を持ったようで、関わってきた。
そのある時とは、これまた王族主催で行われた、貴族子女たちの社交デビューを行うパーティーだ。
この国では、12歳から14歳で社交デビューをし、大人として扱われる。
シルフェイルは、13歳になった従妹シルヴィアの、社交デビューに付き合う形でパーティーに参加した。
シルヴィアは、社交デビュー事態は問題なく終えた。
だが、まだ若い侯爵子息がシルヴィアに迫るという事件が起こった。
この侯爵子息、かなり悪い噂があった。
シルヴィアは子息の誘いをしどろもどろになりながら断ろうとしていたが、立場的な問題で強く拒絶できない。
そこに現れたのが、シルフェイルだ。
彼女は侯爵子息が犯した不正を次々と暴露し、社交的に抹殺してしまった。
子息と懇意だったものも芋づる式に抹殺された。
シエルリードはその時のシルフェイルの顔にとても魅力を感じたようだ。
シエルリードはそれからシルフェイルに近づくために、彼女の屋敷に足繁く通った。
しかし、シルフェイルはシエルリードのことを、なんとも思っていないようで、事務的な会話しかされていない。
彼女のその対応にシエルリードはさらに興味を示した。
シルフェイルにとっては心の底からありがたくない、愛が生まれた瞬間だった。
その声にはっと正気に戻り、声のするほうに目を向けた。
そこには案の定泣き崩れる公爵令嬢シェリアの姿が。
王は気まずい雰囲気に包まれた。
この縁談話は自分が発案したものだ。
息子に事前に知らせずに令嬢と会わせた王にも非があるが、息子があんなにきっぱりと断ると王は予想していなかった。
息子は今まで王である父の言うことを、文句も言わずに従ってきたから油断していたのかもしれない。
天才とは勝手なものだと、失念していた。
しかし自分が発案したのに、息子に拒否されるのは王の面子がたたない。
どうしたものか。
相手の令嬢にも失礼になってしまう。
こんなことならば先に聞いておけば良かった。
だが、後戻りはできない。
こうなったら令嬢に謝るしかないな。
「すまない。こちらから提案したのに、こんなことになってしまって」
「いえ、陛下のせいではございません。すべては殿下をふりむかせる魅力のないわたくしのせいですわ。わたくしも失礼いたします」
令嬢はそう言って、目を腫らして王の執務室から出ていった。
王の執務室から出ていったシエルリードは、王宮から出て馬を駆り、ある場所に向かっていた。
その場所は王都にある、とある貴族の屋敷だった。
その屋敷の主は、リバスル辺境子爵でした。
何故王子はこの屋敷に向かっているのか。
答えは簡単、王子はこの屋敷にいるはずの一人の女性に会いに行くのだ。
王子が王の用意した、婚約話をすげなく断ったのは、王子が一人の女性を愛していたからだ。
その女性がリバスル辺境子爵の一人娘、シルフェイル・レイ・リバスルだ。
彼女は貴婦人の中の貴婦人と言われるほど、社交界で有名である。
しかし、彼女の裏の顔は領主である父の手伝いをしている、外交の要だ。
他国から、その輝く銀色の髪の見た目から銀狐と呼ばれている。
だが、彼女の裏の顔を知っているものは多くない。
自国では、当代の王とその側近たちに辺境の領主。
他国は隣接する領主と王だけ。
彼女はその仕事柄、王族主催の催しもの以外はほとんど欠席している。
しかし、今年の初めにあった1年の恵みを祈る王族主催のパーティーに出席し、第3王子であるシエルリード・ドルド・カーラと会ってしまった。
当初はシエルリードも彼女にそんなに興味を示してはいなかった。(あまり関わらず、興味の対象に入らなかったから)
だが、ある時を境に彼女に興味を持ったようで、関わってきた。
そのある時とは、これまた王族主催で行われた、貴族子女たちの社交デビューを行うパーティーだ。
この国では、12歳から14歳で社交デビューをし、大人として扱われる。
シルフェイルは、13歳になった従妹シルヴィアの、社交デビューに付き合う形でパーティーに参加した。
シルヴィアは、社交デビュー事態は問題なく終えた。
だが、まだ若い侯爵子息がシルヴィアに迫るという事件が起こった。
この侯爵子息、かなり悪い噂があった。
シルヴィアは子息の誘いをしどろもどろになりながら断ろうとしていたが、立場的な問題で強く拒絶できない。
そこに現れたのが、シルフェイルだ。
彼女は侯爵子息が犯した不正を次々と暴露し、社交的に抹殺してしまった。
子息と懇意だったものも芋づる式に抹殺された。
シエルリードはその時のシルフェイルの顔にとても魅力を感じたようだ。
シエルリードはそれからシルフェイルに近づくために、彼女の屋敷に足繁く通った。
しかし、シルフェイルはシエルリードのことを、なんとも思っていないようで、事務的な会話しかされていない。
彼女のその対応にシエルリードはさらに興味を示した。
シルフェイルにとっては心の底からありがたくない、愛が生まれた瞬間だった。
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