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選択の時偏

第3話

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当主になるならないはさておいても、祖父が危篤なので見舞いには行きたい。
行ったことのない父の実家に行くわけだが、その前に、このことを母と姉に話しておかなければならないだろう。
後、学校に今日休むことを話しておかなければならない。
身勝手な父たちのせいで今日は学校に行けなくなる。
父の実家は日本ではなく、イギリスにあるようで、父は日本人とイギリス人のハーフだそうだ。
実家は古くから存在する騎士の家系で、イギリスに多大な貢献をしているらしく、城のようにでかい家を持っているらしい。
そして父はその一族の長男で、次期当主間違いなしと言われていたが、本人が拒絶したので、その娘の私が継承権を得たようだ。
全くもって迷惑な話だ。
そういった文句を父に直接吐きながらも、実家に行くためにパスポートを作り、そのままイギリス行の便に乗ると思った。
パスポートを作るまでは予想通りだったが、イギリス行の公共の飛行機でなく、一族が所有する自家用ジェットに乗って、イギリスに行くようだ。
思った以上に父の実家は金持ちのようだ。
自家用ジェットでイギリスに着き、空港から車で5時間ほど移動しようやく父の実家に着いた。
私が思っていた以上に父の実家はでかく、その大きさに私はあっけにとられ、口をぽかーんとあけるという醜態をさらしてしまうほどだ。
まず父の言っていた、城のようにが誤りだった。
なぜなら父の実家はまさしく城だったのだ。
私の間抜け顔がおもしろかったのか、父は素晴らしい爆笑をしていました。
成人男性であるのに地面でごろごろ転がりながら笑ってやがる。笑いすぎだ。
父の爆笑に腹は立つが、そのおかげか私は冷静になれた。むかつくことに。
冷静になったので改めて城・・ではなく父の実家に目を移すと、外観はイギリスの歴史に則った城というよりは、ドイツよりのつくりをした城に見える。
赤銅色が印象に残る素晴らしい景観だが、成人男性が地面を転がっていては感動も無くなるというものだ。
父のことはどうでもいいかと思ったとき、城の敷地を囲う城壁の扉が開き、中から茶髪の、30代後半の男が出てきた。
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