ぶつかった相手はオオカミ!?

ライ

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第二章

まずは親交を深めましょう

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彼が甘い誘惑と戦っている時。
彼女は先ほどから微動だにしないウィリアムを、下から仰ぎ見ました。
これは彼からすれば、とてつもない追加の誘惑です。
しかし友達から始めようと自分から言ったばかりで、襲うのもいかがなものか。
彼はとても甘美な誘惑を、現実逃避しながら何とか振り切ることに成功したようだ。
少し早口で、
「きょっ今日はとりあえず城の中を案内しよう。時間があれば城下町の案内もする」
そう言って彼は少女の顔を見ないように、上を向きながら「こっちだ」と廊下を示した。
少女は彼の行動に疑問を持つこともなく、黙って彼の後についていった。
最初に案内されたのが中庭だこの城には4つの庭があって、一つ目が今案内された中庭で二つ目が、薬草などを育てるための薬の庭、三つ目が賓客をもてなすために作られた、薔薇庭ここは主に薔薇が植えられているからそう言われているらしい。最後に王族の居住区にある離宮の庭があってこれは当代の王が、王妃のために作らせた庭。
それぞれの庭にはたくさんの植物が植えられている。
今いるこの中庭には自然に近い花々が植えられ、その時の季節をよく感じられる。
少女もとても心地よい気持ちになっているようだ。
少女の隣にいるウィリアム今も、少女の知らず知らずのうちに出ている魅力に耐えている。
しかし彼の努力は彼女には伝わらないようだ。
次に案内されたのが、ウィリアムがよく顔を出す練兵場だ。
ここには毎日100人近い兵が訓練をしている。
ウィリアムは練兵場に顔を出すだけでなく、兵と剣を合わせることも多々あるようだ。
何でも、ウィリアムは当代随一の剣の使い手で、騎士団の団長を務めているとか。
兵からも慕われているので、守護の要として顔を出すことも多いのだろう。
次に案内されたのは、食堂だった。
この城には、3つの食堂があり、それぞれ貴人用、使用人用、兵士用とありこれから少女が、
食事をするところは、一応貴人用の食堂になる予定だ。
次は図書館、この国で最も多くの本を所蔵している場所で、決められた時間だけだが、ここだけが
一般にも公開されている城の中なので、勉強をしたい民はここをよく利用する。
次に風呂場は初日に見たので飛ばし、兵の詰め所、医療塔、などに案内され、その日はもう夕暮れになったので城下町は明日になった。
帰り際
「なんかこう言うのって、デートみたいで楽しかった」
とウィリアムが言い
「そうか?私は場所や道を覚えるので精一杯だったからそうは思わなかったが」
という少女の言葉に少しショックを受けた顔をして、とぼとぼと言う、効果音が聞こえるような足取りでその日は終わった。
頑張れウィリアム!恋の勝負はまだ始まったばかりだ。
気落ちすることは無い。
彼の哀愁漂う背中に、様々な人間がエールを送っていた。
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