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ビーズ細工・6
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「ずいぶん増えましたねえ」
「まだまだ足りないんだけど」
ヴィオラの作業台にはそれぞれ小皿に入れたビーズが並んでいる。その数およそ十幾つ。
保護者代わりのマリサにとっては「ずいぶん増えた」のだろうが、ヴィオラ自身にはまだまだ物足りない。大きさもまだ望むサイズより二回りは大きいし、まず色数が絶対的に少ないのだ。
ガラスに微量の素材を加え、スキルで錬成することで作り出したビーズは、しかし素材が限られることガラスも入手できる量が限られることもあってなかなか質量共に増えない。もちろん、天然石を削って作るものもその手の職人に依頼している。しかしこちらはやはり材料が希少なこともあって、どうしても数は少ない。
「私にゃこんな細かいものはどうにもねえ」
マリサには老いで眼が見えにくいせいもあって、小さなビーズは評判が良くない。もっとも僅かに出来上がった細工は好評ではあるのだが。
「綺麗だとは思うんですが、手間を考えるとちょっと……」
「マリサに作ってもらうわけじゃないのに」
実はテグスもまだあまりできていない。透明で細い糸、まではあったので(ただし最高級のレース用)それを転用しているがやはり生産量が少ないのだ。ただ、そのほぼ透明な糸で色とりどりのビーズを連ねた装身具は可愛らしく華やかで、見本として見せた令嬢たちにも絶賛された。ある程度量が作れるようになったら是非取引を、アンリエッタが鼻息を荒くしていた(比喩表現)。
「ただ、私一人じゃあスキルにも限界があるよなあ……」
「ヴィオラお嬢様、その言葉遣いはちょっと」
「ごめんなさい、マリサ。……でももういいんじゃないかしら、今更令嬢に戻るわけでもないし」
子爵家の籍は抜いてある、それはマリサと夫のグレンから説明されたことだ。正直、今生での実の両親がそれをどう思っているか、そもそも認識しているのかさえヴィオラは知らないしおそらくマリサたちも測りかねている。
そしてヴィオラ自身はと言えば、『魔女』としての暮らしは充実していてやりがいもあるし固定客もついている、何の不満もない。
まれに、その固定客である令嬢たちの愚痴の中に、明らかに実妹と思われる少女のやらかしを聞くが、そうするとなおのこと実家への未練がなくなる。
「それに今更、フィールズ家にも戻れないわ。……その方がまずいでしょう、リリィはだいぶやらかしてるようだし」
「……旦那様……子爵閣下も奥様も、リリィ様には異常に甘いですから」
幼い頃に双子がスキル検査を受けなかったのも、リリィがそのスキルを隠すために親を操作したのではないか、とヴィオラは考えている。
能力は高いリリィだが、考えが浅く短絡的で先を見る目がない。好き放題に甘ったれているだけだったら、子爵家が財政的に行き詰まってどうにもならなくなるくらいわかりそうなものなのだが。
その結果として、どうやら現在のフィールズ子爵家は、他国の商会に乗っ取られかけている状況らしい。
だからといって今更家を出たヴィオラが、実家のために出来ることがあるわけでもないけれど。
「まだまだ足りないんだけど」
ヴィオラの作業台にはそれぞれ小皿に入れたビーズが並んでいる。その数およそ十幾つ。
保護者代わりのマリサにとっては「ずいぶん増えた」のだろうが、ヴィオラ自身にはまだまだ物足りない。大きさもまだ望むサイズより二回りは大きいし、まず色数が絶対的に少ないのだ。
ガラスに微量の素材を加え、スキルで錬成することで作り出したビーズは、しかし素材が限られることガラスも入手できる量が限られることもあってなかなか質量共に増えない。もちろん、天然石を削って作るものもその手の職人に依頼している。しかしこちらはやはり材料が希少なこともあって、どうしても数は少ない。
「私にゃこんな細かいものはどうにもねえ」
マリサには老いで眼が見えにくいせいもあって、小さなビーズは評判が良くない。もっとも僅かに出来上がった細工は好評ではあるのだが。
「綺麗だとは思うんですが、手間を考えるとちょっと……」
「マリサに作ってもらうわけじゃないのに」
実はテグスもまだあまりできていない。透明で細い糸、まではあったので(ただし最高級のレース用)それを転用しているがやはり生産量が少ないのだ。ただ、そのほぼ透明な糸で色とりどりのビーズを連ねた装身具は可愛らしく華やかで、見本として見せた令嬢たちにも絶賛された。ある程度量が作れるようになったら是非取引を、アンリエッタが鼻息を荒くしていた(比喩表現)。
「ただ、私一人じゃあスキルにも限界があるよなあ……」
「ヴィオラお嬢様、その言葉遣いはちょっと」
「ごめんなさい、マリサ。……でももういいんじゃないかしら、今更令嬢に戻るわけでもないし」
子爵家の籍は抜いてある、それはマリサと夫のグレンから説明されたことだ。正直、今生での実の両親がそれをどう思っているか、そもそも認識しているのかさえヴィオラは知らないしおそらくマリサたちも測りかねている。
そしてヴィオラ自身はと言えば、『魔女』としての暮らしは充実していてやりがいもあるし固定客もついている、何の不満もない。
まれに、その固定客である令嬢たちの愚痴の中に、明らかに実妹と思われる少女のやらかしを聞くが、そうするとなおのこと実家への未練がなくなる。
「それに今更、フィールズ家にも戻れないわ。……その方がまずいでしょう、リリィはだいぶやらかしてるようだし」
「……旦那様……子爵閣下も奥様も、リリィ様には異常に甘いですから」
幼い頃に双子がスキル検査を受けなかったのも、リリィがそのスキルを隠すために親を操作したのではないか、とヴィオラは考えている。
能力は高いリリィだが、考えが浅く短絡的で先を見る目がない。好き放題に甘ったれているだけだったら、子爵家が財政的に行き詰まってどうにもならなくなるくらいわかりそうなものなのだが。
その結果として、どうやら現在のフィールズ子爵家は、他国の商会に乗っ取られかけている状況らしい。
だからといって今更家を出たヴィオラが、実家のために出来ることがあるわけでもないけれど。
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