「史上まれにみる美少女の日常」

綾羽 ミカ

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第10話 莉菜子 最近のインフルエンサーの馬鹿ぶりについて怒る の巻

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莉菜子 最近のインフルエンサーの馬鹿ぶりについて怒る の巻

 「ちょっと、マジで最近のインフルエンサーってバカすぎない?」

 鹿取莉菜子は、スマホを片手に団地の小さなリビングで憤慨していた。

 部屋は狭いけれど、最低限のインテリアは整えてある。母親が仕事でいない間、莉菜子は一人でくつろぎながら、TikTokやInstagramをチェックするのが日課だった。しかし、最近はただの娯楽ではなく、怒りの材料に変わっている。

 「ほら見て! こんなのがバズってるのよ!」

 スマホの画面には、明らかに無知なインフルエンサーがとんでもないデマを流している動画が映っていた。

 「最近の子供たちには水を飲ませすぎちゃダメって……はあ!? 人間、水がないと死ぬのよ? 何を根拠に言ってるのよ、この人!?」

 彼女は床に投げ出したクッションを思わず拳で叩いた。莉菜子は容姿端麗、まるでおとぎ話のヒロインのような美貌を持ちながら、その内面は決して清らかとは言いがたい。いや、むしろ根っこは相当ひねくれている。

 「バカが影響力を持つのが一番タチ悪いのよね……」

 彼女の言葉は誰にも届かないが、その不満は確実に積み重なっていた。

 「こないだもさ、エネルギードリンクは毎日3本飲めば痩せるって言ってる女がいて、コメント欄見たら『試してみます!』とか言ってる子がわんさかいるのよ!? もう馬鹿ばっかり!」

 莉菜子はため息をついた。彼女は生まれながらに美貌を授かっていたが、そのせいで世間の目が彼女の内面ではなく顔ばかりに向かうことを理解していた。誰も彼女がどんなことを考えているのか気にしない。

 「……はぁ、私が本気で発信すれば、世の中のバカを正せるのかしらね」

 自分の顔が武器になることは重々承知していた。SNSで顔を出せば、一瞬でバズるのも目に見えている。だが、それをするとどうなるかも分かっている。

 「結局、美人だからって理由で持ち上げられて、まともなことを言っても誰も聞いちゃくれないのよね」

 彼女は唇を噛んだ。今までにも試しにちょっとした投稿をしたことがある。顔だけで「いいね」が何万もつく。しかし、少しでも辛辣な意見を言おうものなら、「可愛い子がこんなこと言っちゃダメ」「ブスの嫉妬かと思ったら美人だったww」と、まともに相手にされなかった。

 「結局、顔がいいってだけでバカなこと言ってもチヤホヤされるし、賢いこと言っても誰もまともに受け取らない……だったら、バカなことを言ったもん勝ちじゃない?」

 莉菜子は自嘲気味に笑った。

 スマホをスクロールすると、また別のインフルエンサーがくだらないチャレンジをしている動画が流れてきた。

 『この飲み物、一気飲みしたらお金がもらえます! やってみよー!』

 「いやいやいや、これ、普通に危ないでしょ!」

 彼女はスマホを机に置き、頭を抱えた。

 「世の中、どんどんバカが増えていくわね……」

 莉菜子はふと思った。

 「もしかして、バカを演じたほうが、世の中は上手く渡れるのかしら?」

 彼女が本気を出せば、一瞬でトップインフルエンサーになれる自信はある。でも、それは自分が憎む「バカなインフルエンサー」たちと同じ穴のムジナになるということ。

 「はぁ……やっぱり、バカが世界を支配するのね」

 彼女はそう呟くと、冷蔵庫から炭酸水を取り出し、一口飲んだ。

 外では、莉菜子を見た少年たちが「あの子、めっちゃ可愛い!」とざわついている。

 しかし彼女の美しい顔に浮かぶのは、不機嫌な表情だった。

 「せめて私がバカに巻き込まれないようにしないとね……」

 そうして彼女はまた、スマホをスクロールしながら、世の中の愚かさに小さくため息をついた

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