10 / 21
第10話 莉菜子 最近のインフルエンサーの馬鹿ぶりについて怒る の巻
しおりを挟む
莉菜子 最近のインフルエンサーの馬鹿ぶりについて怒る の巻
「ちょっと、マジで最近のインフルエンサーってバカすぎない?」
鹿取莉菜子は、スマホを片手に団地の小さなリビングで憤慨していた。
部屋は狭いけれど、最低限のインテリアは整えてある。母親が仕事でいない間、莉菜子は一人でくつろぎながら、TikTokやInstagramをチェックするのが日課だった。しかし、最近はただの娯楽ではなく、怒りの材料に変わっている。
「ほら見て! こんなのがバズってるのよ!」
スマホの画面には、明らかに無知なインフルエンサーがとんでもないデマを流している動画が映っていた。
「最近の子供たちには水を飲ませすぎちゃダメって……はあ!? 人間、水がないと死ぬのよ? 何を根拠に言ってるのよ、この人!?」
彼女は床に投げ出したクッションを思わず拳で叩いた。莉菜子は容姿端麗、まるでおとぎ話のヒロインのような美貌を持ちながら、その内面は決して清らかとは言いがたい。いや、むしろ根っこは相当ひねくれている。
「バカが影響力を持つのが一番タチ悪いのよね……」
彼女の言葉は誰にも届かないが、その不満は確実に積み重なっていた。
「こないだもさ、エネルギードリンクは毎日3本飲めば痩せるって言ってる女がいて、コメント欄見たら『試してみます!』とか言ってる子がわんさかいるのよ!? もう馬鹿ばっかり!」
莉菜子はため息をついた。彼女は生まれながらに美貌を授かっていたが、そのせいで世間の目が彼女の内面ではなく顔ばかりに向かうことを理解していた。誰も彼女がどんなことを考えているのか気にしない。
「……はぁ、私が本気で発信すれば、世の中のバカを正せるのかしらね」
自分の顔が武器になることは重々承知していた。SNSで顔を出せば、一瞬でバズるのも目に見えている。だが、それをするとどうなるかも分かっている。
「結局、美人だからって理由で持ち上げられて、まともなことを言っても誰も聞いちゃくれないのよね」
彼女は唇を噛んだ。今までにも試しにちょっとした投稿をしたことがある。顔だけで「いいね」が何万もつく。しかし、少しでも辛辣な意見を言おうものなら、「可愛い子がこんなこと言っちゃダメ」「ブスの嫉妬かと思ったら美人だったww」と、まともに相手にされなかった。
「結局、顔がいいってだけでバカなこと言ってもチヤホヤされるし、賢いこと言っても誰もまともに受け取らない……だったら、バカなことを言ったもん勝ちじゃない?」
莉菜子は自嘲気味に笑った。
スマホをスクロールすると、また別のインフルエンサーがくだらないチャレンジをしている動画が流れてきた。
『この飲み物、一気飲みしたらお金がもらえます! やってみよー!』
「いやいやいや、これ、普通に危ないでしょ!」
彼女はスマホを机に置き、頭を抱えた。
「世の中、どんどんバカが増えていくわね……」
莉菜子はふと思った。
「もしかして、バカを演じたほうが、世の中は上手く渡れるのかしら?」
彼女が本気を出せば、一瞬でトップインフルエンサーになれる自信はある。でも、それは自分が憎む「バカなインフルエンサー」たちと同じ穴のムジナになるということ。
「はぁ……やっぱり、バカが世界を支配するのね」
彼女はそう呟くと、冷蔵庫から炭酸水を取り出し、一口飲んだ。
外では、莉菜子を見た少年たちが「あの子、めっちゃ可愛い!」とざわついている。
しかし彼女の美しい顔に浮かぶのは、不機嫌な表情だった。
「せめて私がバカに巻き込まれないようにしないとね……」
そうして彼女はまた、スマホをスクロールしながら、世の中の愚かさに小さくため息をついた
「ちょっと、マジで最近のインフルエンサーってバカすぎない?」
鹿取莉菜子は、スマホを片手に団地の小さなリビングで憤慨していた。
部屋は狭いけれど、最低限のインテリアは整えてある。母親が仕事でいない間、莉菜子は一人でくつろぎながら、TikTokやInstagramをチェックするのが日課だった。しかし、最近はただの娯楽ではなく、怒りの材料に変わっている。
「ほら見て! こんなのがバズってるのよ!」
スマホの画面には、明らかに無知なインフルエンサーがとんでもないデマを流している動画が映っていた。
「最近の子供たちには水を飲ませすぎちゃダメって……はあ!? 人間、水がないと死ぬのよ? 何を根拠に言ってるのよ、この人!?」
彼女は床に投げ出したクッションを思わず拳で叩いた。莉菜子は容姿端麗、まるでおとぎ話のヒロインのような美貌を持ちながら、その内面は決して清らかとは言いがたい。いや、むしろ根っこは相当ひねくれている。
「バカが影響力を持つのが一番タチ悪いのよね……」
彼女の言葉は誰にも届かないが、その不満は確実に積み重なっていた。
「こないだもさ、エネルギードリンクは毎日3本飲めば痩せるって言ってる女がいて、コメント欄見たら『試してみます!』とか言ってる子がわんさかいるのよ!? もう馬鹿ばっかり!」
莉菜子はため息をついた。彼女は生まれながらに美貌を授かっていたが、そのせいで世間の目が彼女の内面ではなく顔ばかりに向かうことを理解していた。誰も彼女がどんなことを考えているのか気にしない。
「……はぁ、私が本気で発信すれば、世の中のバカを正せるのかしらね」
自分の顔が武器になることは重々承知していた。SNSで顔を出せば、一瞬でバズるのも目に見えている。だが、それをするとどうなるかも分かっている。
「結局、美人だからって理由で持ち上げられて、まともなことを言っても誰も聞いちゃくれないのよね」
彼女は唇を噛んだ。今までにも試しにちょっとした投稿をしたことがある。顔だけで「いいね」が何万もつく。しかし、少しでも辛辣な意見を言おうものなら、「可愛い子がこんなこと言っちゃダメ」「ブスの嫉妬かと思ったら美人だったww」と、まともに相手にされなかった。
「結局、顔がいいってだけでバカなこと言ってもチヤホヤされるし、賢いこと言っても誰もまともに受け取らない……だったら、バカなことを言ったもん勝ちじゃない?」
莉菜子は自嘲気味に笑った。
スマホをスクロールすると、また別のインフルエンサーがくだらないチャレンジをしている動画が流れてきた。
『この飲み物、一気飲みしたらお金がもらえます! やってみよー!』
「いやいやいや、これ、普通に危ないでしょ!」
彼女はスマホを机に置き、頭を抱えた。
「世の中、どんどんバカが増えていくわね……」
莉菜子はふと思った。
「もしかして、バカを演じたほうが、世の中は上手く渡れるのかしら?」
彼女が本気を出せば、一瞬でトップインフルエンサーになれる自信はある。でも、それは自分が憎む「バカなインフルエンサー」たちと同じ穴のムジナになるということ。
「はぁ……やっぱり、バカが世界を支配するのね」
彼女はそう呟くと、冷蔵庫から炭酸水を取り出し、一口飲んだ。
外では、莉菜子を見た少年たちが「あの子、めっちゃ可愛い!」とざわついている。
しかし彼女の美しい顔に浮かぶのは、不機嫌な表情だった。
「せめて私がバカに巻き込まれないようにしないとね……」
そうして彼女はまた、スマホをスクロールしながら、世の中の愚かさに小さくため息をついた
0
あなたにおすすめの小説
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
黒に染まった華を摘む
馬場 蓮実
青春
夏の終わりに転校してきたのは、忘れられない初恋の相手だった——。
高須明希は、人生で“二番目”に好きになった相手——河西栞に密かに想いを寄せている。
「夏休み明けの初日。この席替えで、彼女との距離を縮めたい。話すきっかけがほしい——」
そんな願いを胸に登校したその朝、クラスに一人の転校生がやってくる。
彼女の名は、立石麻美。
昔の面影を残しながらも、まるで別人のような気配をまとう彼女は——明希にとって、忘れられない“初恋の人”だった。
この再会が、静かだった日常に波紋を広げていく。
その日の放課後。
明希は、"性の衝動"に溺れる自身の姿を、麻美に見られてしまう——。
塞がっていた何かが、ゆっくりと崩れはじめる。
そして鬱屈した青春は、想像もしていなかった熱と痛みを帯びて動き出す。
すべてに触れたとき、
明希は何を守り、何を選ぶのか。
光と影が交錯する、“遅れてきた”ひと夏の物語。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
美味しいコーヒーの愉しみ方 Acidity and Bitterness
碧井夢夏
ライト文芸
<第五回ライト文芸大賞 最終選考・奨励賞>
住宅街とオフィスビルが共存するとある下町にある定食屋「まなべ」。
看板娘の利津(りつ)は毎日忙しくお店を手伝っている。
最近隣にできたコーヒーショップ「The Coffee Stand Natsu」。
どうやら、店長は有名なクリエイティブ・ディレクターで、脱サラして始めたお店らしく……?
神の舌を持つ定食屋の娘×クリエイティブ界の神と呼ばれた男 2人の出会いはやがて下町を変えていく――?
定食屋とコーヒーショップ、時々美容室、を中心に繰り広げられる出会いと挫折の物語。
過激表現はありませんが、重めの過去が出ることがあります。
フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件
遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。
一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた!
宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!?
※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。
怪我でサッカーを辞めた天才は、高校で熱狂的なファンから勧誘責めに遭う
もぐのすけ
青春
神童と言われた天才サッカー少年は中学時代、日本クラブユースサッカー選手権、高円宮杯においてクラブを二連覇させる大活躍を見せた。
将来はプロ確実と言われていた彼だったが中学3年のクラブユース選手権の予選において、選手生命が絶たれる程の大怪我を負ってしまう。
サッカーが出来なくなることで激しく落ち込む彼だったが、幼馴染の手助けを得て立ち上がり、高校生活という新しい未来に向かって歩き出す。
そんな中、高校で中学時代の高坂修斗を知る人達がここぞとばかりに部活や生徒会へ勧誘し始める。
サッカーを辞めても一部の人からは依然として評価の高い彼と、人気な彼の姿にヤキモキする幼馴染、それを取り巻く友人達との刺激的な高校生活が始まる。
クラスで1番の美少女のことが好きなのに、なぜかクラスで3番目に可愛い子に絡まれる
グミ食べたい
青春
高校一年生の高居宙は、クラスで一番の美少女・一ノ瀬雫に一目惚れし、片想い中。
彼女と仲良くなりたい一心で高校生活を送っていた……はずだった。
だが、なぜか隣の席の女子、三間坂雪が頻繁に絡んでくる。
容姿は良いが、距離感が近く、からかってくる厄介な存在――のはずだった。
「一ノ瀬さんのこと、好きなんでしょ? 手伝ってあげる」
そう言って始まったのは、恋の応援か、それとも別の何かか。
これは、一ノ瀬雫への恋をきっかけに始まる、
高居宙と三間坂雪の、少し騒がしくて少し甘い学園ラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる