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第12話 莉菜子 戦争なんて大嫌いの巻
しおりを挟む莉菜子 戦争をするやつも悪いけどその戦争で儲けているやつも悪い と思う の巻
「ねえ、戦争ってなんでなくならないと思う?」
鹿取莉菜子は団地の小さな部屋でスマホをいじりながら、ふと呟いた。
彼女の目の前には、世界情勢を報じるニュースが流れている。爆撃された町の映像、涙を流す子供たち、軍服を着た兵士たちの姿。その裏で、戦争特需に沸く企業の株価が急上昇しているという記事もあった。
「まあ、戦争をするやつらが悪いのは当然として……それを利用して儲けてるやつらも相当タチ悪いわよね」
莉菜子はため息をつきながら、クッションを抱えた。
「学校でさ、戦争の歴史とか平和の大切さとかは教えるくせに、なんで戦争が続く仕組みまでは教えないのかしら?」
彼女はSNSで「戦争ビジネス」について検索し、軍需産業の利益構造を解説する記事をいくつか読んだ。
「武器を作ってる企業が儲かるから、戦争が終わらない。で、その企業から献金をもらってる政治家が、戦争を終わらせるどころか、むしろ煽ってる……ってことよね?」
莉菜子は無意識のうちにスマホの画面を強く押していた。
「結局、戦争をなくそうって言ってる政治家も、裏では軍需企業とつながってるんじゃないの? だから何も変わらないのよ」
彼女はニュースのコメント欄を眺めた。「戦争反対!」という声と、「軍需産業がないと経済が回らない」という意見がぶつかり合っている。
「いや、経済が回るとかいう問題じゃないでしょ。戦争で死ぬのは一般人なのよ? 兵器を売って儲けるやつらは安全なオフィスに座って、のうのうと株価をチェックしてるくせに」
莉菜子は大きく息を吐いた。
「戦争をするやつらも悪いけど、その戦争を利用して儲けてるやつらはもっと悪いわよ」
彼女はスマホを机に置き、ぼんやりと天井を見上げた。
「結局、力があるやつらは、自分たちの利益しか考えてないのよね」
莉菜子は自分の美しい顔がSNSでバズるのと同じくらい簡単に、情報操作が行われることを知っていた。政治家がテレビで言うことも、企業が出す声明も、結局は誰かの利益のため。
「……なんか、ばかばかしくなってきた」
彼女はスマホを閉じて、ため息をついた。外では、近所の子供たちが楽しそうに遊んでいる声が聞こえる。
「この子たちが大人になっても、戦争はなくならないのかな……」
莉菜子は静かに目を閉じた。
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