幻のスロー

道端之小石

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高校球児の夢

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高校球児たちの夢、それは甲子園であると言っても過言ではないのではないなのだろうか。
その日のために日夜努力し勉強をする。しかしその中からプロを本気で目指しているのはどれくらいいるのだろうか、そしてその中からプロになりうる才覚を持った人はどれだけいるのか。
純のいる高校、雪月高校野球部には幸いなことにも才気あふれる人物ばかりが集まっていた。

高校1年生の純が普段投げる投球スピードは105キロほどであるがマックスは大体120キロだ。
だが今の3年のエースは145キロ程度を普通に投げる。

純は覚えていた。この投手が将来大成していたこと、そしてケガに悩まされていたことを覚えていた。

「池上ナイスピッチ!」

3回の裏、未だに両チーム得点出来ず0対0。
一年の選抜チームと一軍の実力はなぜか拮抗していた。

スパンッとミットから音がする。最速152キロの超高校級ピッチャー、池上明彦。
MAX152キロのサウスポーなんて打ちづらいことこの上ない。今はどうやら力をセーブしているようだがそれでも140キロは速度が出ている。

「アウトっ!チェンジ!」

残念ながら誰も得点を取れない。
ただヒットは出ているのだ。
ちなみに今空振り三振したのは純である。
そんな中ベンチで意気込んでいる人物がいた。

「次は絶対どうにかしてやる!」
「具体的には?」
「盗塁する!」
「またか?!やめとけ、山本先輩の剛腕をさっき知っただろ」

1回の裏、先頭打者だった秋山隼人は第1球目の150キロ前後のストレートを三塁線ギリギリへ打ち返しツーベースヒットを記録していた。
そして次の第1球目で盗塁を開始して山本キャッチャーに刺されたのだ。
秋山は気が早いのである。

そして3回の裏。
1アウトの場面で秋山がバッターボックスに入る。
1球目150キロ近いストレートがアウトローギリギリのボール球。
秋山はバットを振らない。
2球目インハイへのストレート。
秋山はバットを振らない。
3球目イン側に切れ込んでくる変化球。
秋山はバットを振らずボール。

そして4球目。
アウトローギリギリに来る変化量の大きいカーブを秋山が一塁線ギリギリに流した。
芸術的なアーチを描くボールは一塁手の頭上を越えてフェア。
コロコロと一塁線上を転がっていく。
右翼手が必死にボールを追いかける。
その間にも秋山は一塁ベースを外側へ膨らむように走りながら踏み、速度を落とすことなく二塁ベースへ駆け込みそしてそのまま三塁を目指す。
右翼手が3塁へ送球。
秋山が足からベースに飛び込む。
三塁手がボールをキャッチするが結果はセーフ。
スリーベースヒットの好記録だ。

「スッゲー!」
「あれは凄いな」

ちなみに秋山が普段守るのはライトである。秋山は機動力と観察眼でどんな球でもしっかり捕球して素早い送球をする選手だ。

そして第2バッター。センターの澄田だ。
スミダトライアングルの一角である澄田は守備もそうであるが盗塁も上手い。
そして何よりバントが異常に上手いのだ。

そして左バッターボックスに立った澄田は第1球目のストレートをキッチリ三塁線ギリギリへセーフティバント。
バットにボールが吸い付くようなバントに三塁手が対応するが一塁に送球しなかったためセーフ。
秋山より三塁手が先に動き出していたため秋山はじっとしていた。

そして第3打者。
一年のファーストを守る鎌瀬 健太。
一年のクリーンナップである。

その第1球目はアウトローいっぱいのストレート。少しそれてボール。
澄田は盗塁するのを見せつけるかのようにギリギリまでリードを取っている。

そして第2球目はカーブ。
池上がクイックモーションで右足を上げたその瞬間、澄田が走り始める。
少しコントロールが狂った球はイン側ギリギリに入りそれを鎌瀬が思いっきり引っ張る。
結果としてファールになったため澄田は渋々一塁に戻ることになった。
鎌瀬が申し訳なさそうにしている。

そして第3球。依然ら澄田は大きくリードを取っている。山本がサインを出し、池上が頷く。投げた投げたボールはウエスト。
澄田は盗塁しようとすることも出来なかった。

そして第4球目。池上は澄田がそろそろうざくなったのか牽制球を一塁に送る。澄田は反射的に一塁に飛びつきセーフ。

そして山本がもう一度先ほどと同じサインを出す。山本が頷きクイックモーションで投球する。山本の右足が浮くその前にフライング気味に秋山が走り出していた。
それと同時に澄田も盗塁を始める。

投げられた球はもちろんウエスト。山本の顔が歪む。
校内戦だからと言ってサインを簡略化したのを後悔しているようだ。
秋山が頭からホームに飛び込む。
山本が中腰で捕球した時には秋山とベースの距離が1メートルと離れていなかった。

『こっちは間に合わないな……』

タッチが間に合わないと判断した山本はすぐに二塁に送球する。
鋭い送球が二塁手に飛ぶが二塁手は秋山に山本がタッチしに行くと思っていたようで対応が遅れてしまった。
結果、グラブでボールを弾いてしまい、澄田はそのまま二塁に残りセーフ。
一年のチームからは歓声が上がり一軍からは何も声が出なかった。
山本コーチが額に手を当て空を見上げる。

初得点はホームスチール。これで1対0になった。

しかし、エースの名は伊達ではない。その後は澄田がどれほどリードしようと乱されることがなく完璧なピッチングを行い三連続で三振を取りチェンジ。

そしてマウンドに上がるのは純。
この試合が未だにコールドゲームになっていない原因の一つである。

高校一年生の純が普段投げる球速はおよそ100キロ程度。
本気で投げる時は115キロ程度である。
光希が120キロ以上を投げているのと比べると大分遅い。
しかし純は好打されなかった。

4回表、一軍の打順は第3打者から始まる。

1球目に投げた球は真っ直ぐ。
合わせて振りに行くがボールが急に減速しバットがカスリもしない。
2球目に投げた球も真っ直ぐ。
ギリギリまで見極めようと待っていたがボールが全く減速しないために振り遅れる。
3球目に投げた球はアウトローのボール球。しかしバッターが見送った時に聞こえてきたのは「ストライク!」の声。
ボールがホームベースの手前ギリギリで内側に変化したのだ。

これであっさりと1アウト。

そして2人目。
一軍の4番でクリーンナップ。
この野球部で一番のスラッガーだ。

1球目に投げたのはカーブ。
しかし4番はバットを振らない。
球は下方向に大きく変化しながらギリギリストライクゾーンの中に入る。

そして2球目に投げたのもカーブ。
ここで4番はバットを振るがカーブが横方向に大きく変化したためファールに終わる。

そして3球目に投げたのが真っ直ぐ。
ここぞとばかりにフルスイングされたバットがボールの真芯を捉えたかに思われたが手元で僅かに変化した球はスタンドに叩き込まれることはなく三遊間を抜けるような強烈なライナーになった。
純の右側をボールが凄まじい勢いで飛んでいくと審判からはアウトの声が飛ぶ。

グラブを見せつける頼もしいショートの姿。

これが未だに無失点である理由のもう一つの理由。
鉄壁のスミダトライアングルである。

どんなに強烈なライナーだろうと内野で終わってしまう。
かと言ってセンター方向は別のスミダの守備範囲内だ。しかも左にもそれなりに守備範囲の広い選手が待っている。

だから打撃陣としてはレフト、又はファーストかサードの裏を狙うのだが純の手元で変化する球をそこへ運ぶことは容易では無かった。

特に角田と隅田の動きは人外で、バットがボールに当たる少し前から動き始めており守備範囲が異常に広い。
ただ積極的に取りに行くため他人と比べると少々エラー数が多い、がエラー率は同じくらいである。

そして今も純が打たれたボールはショートの隅田が飛びついてアウトにしている。生まれないはずのアウトが量産されているのだ。

「あー今年の一年は豊作だなぁ……」

山本コーチが苦笑いしながら見ている。そして一軍の5番は初球から思いっきり振っていった。
バットにボールは当たりはしたもののとてもクリーンヒットとは言えないものだった。フラフラと打ち上がったボールがファーストとライト間に落ちていく。
いわゆるテキサスヒットだ。
そしてライトは深めに守っているため届かずファーストの鎌田は一塁ベースを踏んでいる。
そこへ駆け込んだのはセカンドの角田。
一軍の選手たちが嘘だろ、といった表情で見つめていた。

落ちていくボールに角田は飛びつく。
グラブに吸い込まれていくボール……しかしグラブがボールを勢いよく奥へ弾いてしまいエラー。

5番打者は一塁を踏んで二塁を目指そうとする。

しかし角田のグラブに弾かれた球をライトの秋山が拾って二塁に送球したため不可能だった。

そして打順は第6打者。1アウト、2ストライク、2ボールの時にそれは起きた。純が一塁を1回牽制した後、純が投げたボールが打たれたのだ。
しかし球は高く打ち上げられたので簡単な球だ。

「インフィールドフライ!」

と審判が大きな声で言う。この時点でバッターはアウト。
一塁にいた走者は一塁から3歩ほど離れた場所で次のバッターとベンチからの指示を見始めていた。
そしてそれを見たショートの隅田はボールをわざとさせてからキャッチし、何食わぬ顔で一塁の鎌瀬にゆるい送球をした。

ワンバウンドさせた事に意味はないはずだった、しかしそれが走者を戸惑わせることになった。

インフィールドフライはバッターはアウトになるがボールデッドではなくボールインプレイである。
つまりショートの隅田がボールを一回落としているのでまだプレイは続いているのだ。またこの時、走者に強制的な走塁の義務はなくなる為、隅田が二塁を踏んでもアウトにはならない。

しかしタッチされればアウトだ。この場合ランナーは一塁ベースを踏んでいれば良いのだが……ランナーは走るべきなのか迷った。セカンドを誰もカバーしていない。チャンスかもしれない。

4番はゆるいボールを見て咄嗟に動くことができずセカンドに高速でカバーに入ったスミダと挟み撃ちにされ鎌瀬にタッチされた。

「チェ、チェンジ!」
「お前っ?!何やってんだ!」

まさかのダブルプレー。タッチされた四番は何が起こっていたのかさっぱりわかっていないようだった。これには監督も唖然としていた。
完璧にルールへの理解の差であった。本来はこのようなアウトが取られない為のインフィールドフライなのだが、彼はルールブックの読み込みが甘かったようだ。

そして一年の攻撃は三者凡退。

監督からの指示で一年のピッチャーが交代することになった。

ピッチャーは松野 光希。
一年かつ現在身長157センチという低身長ながら平均122キロの速球を投げる投手だ。
指先に豆や水ぶくれができるほどしっかり投げていて、体全体のしなりを生かした投げ方をする。2年になって体つきがしっかりすれば球速はもっと早くなるだろうと思われる。

その第1球目。光希渾身のストレートはガッツリ捕らえられて一塁線上のフェンスギリギリまで飛ぶ。秋山が二塁へ送球するが第7打者が鈍足の為進塁せずシングルヒット。

第7打者が一塁に進塁した場面で第8打者が変化球を捉える。
ボールはサードの頭上を越えるものだった。
スミダトライアングルが確実に避けられていることがはっきりわかる。

ノーアウト1、2塁の場面でバッターは池上。
2ストライク2ボールで放ったシュートを池上がセンター手前に浅くはじき返した。その途端ベンチと塁に出ていた一軍全員の顔色が悪くなった。
普通に考えれば走っても良さそうな球だったのだが澄田は普通に取れそうである。

普通ならゲッツーにはならない。直接とってアウトにすることさえ難しい場面であるが……ボールが打ち上がり始める瞬間から直ぐに澄田が落下地点へ走る。角田はすで二塁で待機している。
そして澄田は勢いそのままにボールをわざとワンバウンドさせてから2塁へ送球する。握り替えが早くそれなりに肩もあるようで二塁に走るランナーよりも先にボールが到達しそうだ。

二塁の角田がボールを受け取りながら3塁へとボールを送球する。
鈍足の第7打者は間に合わずアウト。
すぐさま一塁に送球するがこれは流石にセーフ。

ボッコボコに打たれつつもスミダトライアングルに助けられている松野光希。しかし上位打線にさらにボコボコにされることになった。

結果はヒットが2回からのスリーランホームラン。そして駄目押しのソロホームラン2連続。その後は第6打者がライトへヒットを打ったものの一周回って第7打者の鈍足がライト前のヒットにもかかわらず刺されアウト。

そして五回の裏、一年選抜チームの攻撃。第6打者からの下位打線は全く振るうことがなく、レフトの一年がヒットを放ったが角田と隅田と光希が空振り三振。下位打線がとことん弱い。無援護である。
だがスミダ達には何もいうまい。自分がアウトになった数よりアウトにした数の方が圧倒的に多いのだから。

「チェンジ!」

そして先ほど自信を打ち砕かれた光希がゆらゆらとマウンドに向かう。

「お、おい。光希大丈夫か」
「うん、大丈夫だよ……ちょっとヘコんでるだけ」
「しょうがねぇよ、仮にも先輩なんだぞ」

将也がそうやって褒めるが光希は心が折れてしまっている。

「でも純は打たれなかったぞ」
「それは……」

そうやって将也が答えあぐねていると純がおもむろに顔を出す。そもそも純が打たれないのは球が遅いこととジャイロボールであることが重なって想像以上に球が落ちるからである。

「先輩達は3年生だから光希よりもっと早い球を投げれるし、そういう球を打つ練習もしてるからしょうがないって」
「でも純は打たれてないじゃないか」
「俺はわざと打たせる球を使ってるからバットに当たっても当たりが打ち損じになるんだよ。なんなら光希も使ってみる?ツーシームって変化球」

なお純の投げるその球はツーシームではなくシンカーであると周りに認識されている。

「え?そんなに簡単な変化球あるの?」

純は光希にツーシームの握りを教えてマウンドに送った。もちろんツーシームの握りである。

そうして迎えた6回表、結果はヒットを2回打たれたはしたもののツーシームに引っかかったバッターが二遊間にゴロを送ってしまいゲッツーが確定。
そしてフルカウントで外から中に入るように投げられたツーシームを打者が見送って三振になった。

「チェンジ!」
「あーなるほど……」
「打たせてとるのもありだろ?」
「そういう変化球が欲しくなってきたんだけど他にあったりしない?」
「あるよ、あとホームランにならなきゃ大体アウトだから安心しろって」

なんせスタンドに直接叩き込まれない限り大体アウトになる。
スミダトライアングルが異常なのだ。
純は前世?でこの野手達の名前を知らない。おそらく3人揃って仲良くケガでもしたのだろう。

「あー、ストレッチ始めてから体が軽いわ!体が柔らかくなった気もするし」
「なんか飛びついてもエラーが少なくなった気がするし送球も早くなった気がする!」
「この試合終わったら伊藤に絡みに行こうぜ」

そんなスミダトライアングルだが、ストレッチを始めてから進化していたらしい。
ただそんなに早く柔軟性にストレッチの効果は出ないはずなのだが……プラシーボ効果って凄いと純は思った。

そして六回裏、打順は一周して一番の秋山。
ここまでの成績は二打席二安打、一盗塁。
いずれもツーベース以上を記録している。

一軍のキャッチャー山本と池上のバッテリーから気迫が溢れる。
これ以上打たせては先輩としての面目が立たない。秋山からも気迫が溢れる。ボッコボコに打ってやると意志が溢れる。

純がスピードガンを何気なく持ち出して球速を測っているのを見た周りの人たちがギョッとしていた。持ち込みは推奨されていない。

第1球目。池上渾身のストレートがインローに決まる。
スピードガンには155キロの表示。

「うわっ……155キロってマジか」
「ガチガチのガチだよ……」

そして第2球目。100キロのカーブがアウトローギリギリに決まる。

カウントは2ストライク。池上は3球勝負を挑んだ。

そして第3球目。
今までストレートとカーブとチェンジアップだけで戦っていた池上の切り札であるスライダーを投げた。
ストレートのように早いその球は秋山の手元で若干落ちるようにスライドする変化をし……秋山はイン側に若干甘く入ったその変化球を思いっきり引っ張りジャストミートした。

金属音と共にボールがアーチを描き飛んでいく。

数々の選手を輩出してきた野球の名門、私立雪月高校には小さな球場と言えるような設備がある。今はそこで純達は試合をしている。

一年生の体でそこまで飛ばすのは難しいと思われた。
しかし、ボールは若干低めではあるものの勢いよくアーチを描いていく。
その先にはファールポールがあり、ボールはそこへと直撃する。

誰もが唖然としていた。秋山はニコニコしながら各ベースを踏んで回る。
しかし1人だけ燃え上がっている男がいた。池上である。
そしてそれからの全力ピッチングを見た監督が池上を強制的に交代させた。

そして試合はそのまま流れていき5対8で一軍チームの勝利になった。
ちなみに5点中3点は秋山が自らベースを踏んでおり打率1.00の好成績である。

また、澄田のスクイズで一点。
なお澄田のスクイズは秋山がホームスチールに味をしめてスライダーに対してフライング気味に走り始めた為、変化球を無理やり一塁側に転がすセーフティバントであった。
ピッチャーはバントの構えを見てスクイズと判断し、慌てて三塁方向に一歩踏み出す。

だがボールは一塁方向。誰も転がっていくボールに反応できず澄田もセーフ。また、鎌瀬が2ランホームランを放っている。

そして試合が終わり反省会。山本コーチは非常に気まずそうにしている。

ただ一年生の多くが疲労困憊なのに対して一軍はそうでもないようだった。
2軍の選手達は一年の選抜された選手達をライバル視してやる気を出しているし、選抜されなかった一年の殆どもまだ諦めてはいないようだ。

そのことに関しては山本コーチは満足しているのだが……

「秋山。次は絶対に勝つ、だから俺の練習に付き合え」

池上は若干高圧的な態度だ。しかし自分の練習に秋山を付き合わせたら球筋がバレて余計に難しくなるはずである。その裏には秋山をチャンスメーカーとして育てようという山本の魂胆がある。

「はいっ……でも俺、伊藤の球が打てないのでそっちを優先したいんですけど……」
「伊藤、それは本当か?」

ブンッと効果音がつくような勢いで池上が純の方向を向く。

「はい、まだ秋山にはヒットを打たれてません」

ドヤァ……純は自慢するタイプだ。それだけの努力はしているつもりである。

「……よし、じゃあお前も一緒に練習するぞ!今から走り込みだ!」
「先輩は投げ切ったあとだからストレッチして疲れを抜いてください。今日は土曜日だから明日も練習できますし」
「それもそうだな、よし皆ストレッチ始めるぞ」

コーチの喋る隙間がない。勝手に一軍と一年選抜が仲良くなっているのだ。

「スミダトライアングルやばいな!」
「「「ありがとうございます!」」」

褒められて笑顔になるスミダ達。

「特にバントのスミダ!お前は走攻守全部できるな!」
「……攻撃はバント以外あまり得意じゃ無いですけど」

そんなことを言いながらも誇らしそうな顔をしている。

「それでも十分だって!それに比べて打撃ができないスミダ達はもうちょっと打撃練習必要なんじゃないか?」
「「全く持ってその通りです……」」

こちらは思い当たる節があるので少し苦笑いしている。

「あー、明日は丸一日練習に使えるが皆どうしたい?」
「どうしたいって通常メニュー以外になんかあるんですか?」

皆はいつものようにコーチが決めた練習メニューをこなしてそのあとで自主練をするつもりだったのだ。

「いや……その、見所あるやつと希望者には個別にメニューを組んでもいいかな、と」
「「「「「個別メニュー?!」」」」」

全員の驚きの声が重なる。
それを言った後に山本コーチは慌てて付け加える。

「あ、でも自主練は控えろよ!絶対するなよ!……俺の息子がそれで体を壊したから絶対だ。それが守れない奴には個別メニューは組みません!」

それは山本コーチの決断だった。一年に逸材が多すぎて勢いでつい口走ってしまったのだ。

「もちろん希望者ならば2軍だろうと組んでやる。遠慮はするな」

それからコーチは必死に個別メニューを組む作業に追われることになった。
思ったより希望者が多い……というかほぼ全員が個別メニューを頼んできたのだ。
山本コーチは少し楽しげな表情をしていた。
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