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2章 初めてのレイド編
運命の門 開錠編5層 みんなで声だし
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「もう今日は止めようか」
さっき6個目の扇が落ちてきて22回目のワイプとなる
メンバー全員が暗い顔をしている。クリア経験者の6名のミスはなんだかんだで少なくなってきている。こうなってくると未クリアの2人ミスが目立つようになる。
扇を気にするとDPSがでない、DPSを気にすると扇を見落とす。
2層でもギミックをこなしながらDPSを出さなければ、ならないのだが…
2層で求められる火力水準と5層で求められる火力水準では桁が違うのだ。
しかも、まだ序盤、この5層は経験者でもミスをする、未経験者ならミスをして当たり前のなのだが、経験者が6人いることが逆に2人プレッシャーを与えているように感じられる。
「とりえあず、扇のミスも多くなってきたし、今日はもういい時間だから止めよう」
もう一度止める提案をする。
「はい…」
序盤の余裕がなく表情が暗くなっているニコ。
クロスさんは一言も発していない。
空気の重さを感じてか、みんな押し黙ったままだ
「それじゃ明日21時集合で」
とりあえず明日の練習の日時を指定し、レイドエリアからテレポートする
いつもならニコが、うちに来て反省会をするのだが、今日はこなかった。
そのかわりガヤさんが付いてきた。
「大分、やばいなあの二人」
ガヤさんが話しかけてくる
「そうだねぇ、ここまで順調にきたからな」
「2層でもっと詰まるかと思ったけど、割とすぐ突破できたからな」
「5層は桁が違うしね、未経験者がDPS2人っていうのもね」
「昔の俺達も5層突破に1ヶ月以上掛かったから、気長にやるしかないだろう」
「そうだね、当時のこと思えばね」
「んじゃ、おちるわ」
ガヤさんがログアウトし視界から消える。
あの当時も大変だったな
◇
2年前5層攻略、前パーティ時代
「今の扇、タナカさんでしょ?なにしてんの?」
「すいせん…」
7人の視線が痛い
5層攻略を開始して1週間程が経ったが、未だに扇が安定しない。
俺のミスは少ないと自負しているが、たまにミスると周り連中からの叱責がきつい
未だに扇が安定しない…それのせいで俺とガヤさんを除く人たちがイライラしているように感じる。
多分、次ミスったらとんでもないことになりそう…怖い
扇が落ちてくる、ヒーラーのアズさんがミスる
「ああああもうなにやってんの!!!」
ヨッシーが相当イライラしているようで、怒鳴り散らす
「ごめんなさい…」
「っちまあしょうがない、次は気をつけてよ」
扇が落ちてくる、扇を真ん中に落ちてくる
「はぁ、誰の扇だよ!!!」
ヨッシーがぶち切れている。
みんな押し黙ったままだ。
「だから誰の扇だよ!!!」
沈黙が支配する
「誰も言わねーなら、動画撮ってあるから確認してくる」
ヨッシーはそういって動きをやめ、手を動かしコンソールで動画を確認している
「あの扇、ヨッシーだぜ」
ガヤさんが俺に耳打ちをしてくる
動画の確認を終えたヨッシーが
「よし、次だ、次やろう」
動画でみた結果を公表はしなかった
「ほらな」
ガヤさんが再度耳打ちをしてくる
こんな事件が起こるほどに、当時の5層は混沌としていた。
結局この次の日には扇を超えられようにはなった。
◇
次の日21時
時間ぴったりにみんな集合する。ニコとクロスさんは相変わらず暗い顔をしたままだ。
5層に突入する。
扇の5つめが落ちてきた時点で79%
これは今までで一番いいペースだ。
いけるか?
しかしここで扇をミスってしまいワイプとなる
「あー今の惜しかったね」
コハダさんが声を掛ける
「扇ミスったの私でした…」
ニコの表情が硬い
ここでなにかの言葉かけてリラックスさせてあげるのが、いいリーダーなんだろうけど、生憎、俺にはそんな気の利いたことはできな…
「あっいてっ」
アリシャさんに思いっきり足を踏まれた。VRゲームなので痛みのと言う感覚はないのだが、ガンと踏まれたのでつい痛いと口走ってしまった。
「痛いわけないでしょ!!」
「痛いような感じがしたんだよ!」
「そんなことはどうでもいいの、暗い顔してる子がいるのに、無視してるパーティリーダーがいるっていうのが腹立つの!」
「私、そんなに暗い顔してました?」
「そうよ、私がミスってみたいな顔して」
「扇のミスはみんなのミスだよ、声だしてやるんでしょ忘れてるし」
俺もハッとする、扇の時は対象者をみんなで知らせるということになっていた、初っぱなで忘れてたってのもあるけど、
「そうだった、みんなで声をだして扇を抜けよう!」
その声をきいて、ニコとクロスさんの表情の幾分か柔らかくなった。
5回目の挑戦
5つめの扇が落ちてくる、ヨシツネのいHPは78%
いいペースだ、このままなら普通にいける。
扇が対象者を決める…クロスさんだ
7人で「クロスさん」と叫ぶ
クロスさんは上を向いて確認し、扇を正しい位置へ誘導する。
ヒラヒラと扇が舞い落ちて、ヨシツネのHPは75%を切った
ヨイチが真ん中に現れる。
颯爽とヨイチのタゲをとり、全員で攻撃を開始する
かろうじてヨイチを倒すことができ、ベンケイが真ん中に現れた。
6人はとある位置に固まる、2人はどうしていいか分からずその場にとどまっている
ベンケイが対象者を決め、武器を投げ始める、武器と武器の間が狭ければ、武器にこめられたベンケイの闘志が共鳴し大爆発を起こし、ワイプとなる。
そのままワイプとなった。
「やりました!扇抜けました!」
ニコが嬉しそうに話す、クロスさんの顔も喜んでいるようにみえ
「うん、よかった…3日は掛かるかと思ってたから、ほんと凄い」
「まだ、まだ先は長いですね…」
さっき6個目の扇が落ちてきて22回目のワイプとなる
メンバー全員が暗い顔をしている。クリア経験者の6名のミスはなんだかんだで少なくなってきている。こうなってくると未クリアの2人ミスが目立つようになる。
扇を気にするとDPSがでない、DPSを気にすると扇を見落とす。
2層でもギミックをこなしながらDPSを出さなければ、ならないのだが…
2層で求められる火力水準と5層で求められる火力水準では桁が違うのだ。
しかも、まだ序盤、この5層は経験者でもミスをする、未経験者ならミスをして当たり前のなのだが、経験者が6人いることが逆に2人プレッシャーを与えているように感じられる。
「とりえあず、扇のミスも多くなってきたし、今日はもういい時間だから止めよう」
もう一度止める提案をする。
「はい…」
序盤の余裕がなく表情が暗くなっているニコ。
クロスさんは一言も発していない。
空気の重さを感じてか、みんな押し黙ったままだ
「それじゃ明日21時集合で」
とりあえず明日の練習の日時を指定し、レイドエリアからテレポートする
いつもならニコが、うちに来て反省会をするのだが、今日はこなかった。
そのかわりガヤさんが付いてきた。
「大分、やばいなあの二人」
ガヤさんが話しかけてくる
「そうだねぇ、ここまで順調にきたからな」
「2層でもっと詰まるかと思ったけど、割とすぐ突破できたからな」
「5層は桁が違うしね、未経験者がDPS2人っていうのもね」
「昔の俺達も5層突破に1ヶ月以上掛かったから、気長にやるしかないだろう」
「そうだね、当時のこと思えばね」
「んじゃ、おちるわ」
ガヤさんがログアウトし視界から消える。
あの当時も大変だったな
◇
2年前5層攻略、前パーティ時代
「今の扇、タナカさんでしょ?なにしてんの?」
「すいせん…」
7人の視線が痛い
5層攻略を開始して1週間程が経ったが、未だに扇が安定しない。
俺のミスは少ないと自負しているが、たまにミスると周り連中からの叱責がきつい
未だに扇が安定しない…それのせいで俺とガヤさんを除く人たちがイライラしているように感じる。
多分、次ミスったらとんでもないことになりそう…怖い
扇が落ちてくる、ヒーラーのアズさんがミスる
「ああああもうなにやってんの!!!」
ヨッシーが相当イライラしているようで、怒鳴り散らす
「ごめんなさい…」
「っちまあしょうがない、次は気をつけてよ」
扇が落ちてくる、扇を真ん中に落ちてくる
「はぁ、誰の扇だよ!!!」
ヨッシーがぶち切れている。
みんな押し黙ったままだ。
「だから誰の扇だよ!!!」
沈黙が支配する
「誰も言わねーなら、動画撮ってあるから確認してくる」
ヨッシーはそういって動きをやめ、手を動かしコンソールで動画を確認している
「あの扇、ヨッシーだぜ」
ガヤさんが俺に耳打ちをしてくる
動画の確認を終えたヨッシーが
「よし、次だ、次やろう」
動画でみた結果を公表はしなかった
「ほらな」
ガヤさんが再度耳打ちをしてくる
こんな事件が起こるほどに、当時の5層は混沌としていた。
結局この次の日には扇を超えられようにはなった。
◇
次の日21時
時間ぴったりにみんな集合する。ニコとクロスさんは相変わらず暗い顔をしたままだ。
5層に突入する。
扇の5つめが落ちてきた時点で79%
これは今までで一番いいペースだ。
いけるか?
しかしここで扇をミスってしまいワイプとなる
「あー今の惜しかったね」
コハダさんが声を掛ける
「扇ミスったの私でした…」
ニコの表情が硬い
ここでなにかの言葉かけてリラックスさせてあげるのが、いいリーダーなんだろうけど、生憎、俺にはそんな気の利いたことはできな…
「あっいてっ」
アリシャさんに思いっきり足を踏まれた。VRゲームなので痛みのと言う感覚はないのだが、ガンと踏まれたのでつい痛いと口走ってしまった。
「痛いわけないでしょ!!」
「痛いような感じがしたんだよ!」
「そんなことはどうでもいいの、暗い顔してる子がいるのに、無視してるパーティリーダーがいるっていうのが腹立つの!」
「私、そんなに暗い顔してました?」
「そうよ、私がミスってみたいな顔して」
「扇のミスはみんなのミスだよ、声だしてやるんでしょ忘れてるし」
俺もハッとする、扇の時は対象者をみんなで知らせるということになっていた、初っぱなで忘れてたってのもあるけど、
「そうだった、みんなで声をだして扇を抜けよう!」
その声をきいて、ニコとクロスさんの表情の幾分か柔らかくなった。
5回目の挑戦
5つめの扇が落ちてくる、ヨシツネのいHPは78%
いいペースだ、このままなら普通にいける。
扇が対象者を決める…クロスさんだ
7人で「クロスさん」と叫ぶ
クロスさんは上を向いて確認し、扇を正しい位置へ誘導する。
ヒラヒラと扇が舞い落ちて、ヨシツネのHPは75%を切った
ヨイチが真ん中に現れる。
颯爽とヨイチのタゲをとり、全員で攻撃を開始する
かろうじてヨイチを倒すことができ、ベンケイが真ん中に現れた。
6人はとある位置に固まる、2人はどうしていいか分からずその場にとどまっている
ベンケイが対象者を決め、武器を投げ始める、武器と武器の間が狭ければ、武器にこめられたベンケイの闘志が共鳴し大爆発を起こし、ワイプとなる。
そのままワイプとなった。
「やりました!扇抜けました!」
ニコが嬉しそうに話す、クロスさんの顔も喜んでいるようにみえ
「うん、よかった…3日は掛かるかと思ってたから、ほんと凄い」
「まだ、まだ先は長いですね…」
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