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観察日記③
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神楽様を観察しているあまりに、自分が問題を解いていなかった。僕としては、このまま神楽様を観察していても問題はないのだが、というのも僕は今朝予習をしてないと言っても、毎日、朝早くから来ているので予習と言ってもやその日の分を毎日やっているわけではなく、むしろだいたいは2,3週間後くらいの予習をやっていることがおおいのである。とは言うものの、長年、真面目キャラでやって来たのである。そう簡単にそのキャラクターを変えるのは僕自身面倒であり、変えられないのだ。変えられていたら、もうとっくに変わっているだろう。僕はぼっちを苦痛だとか嫌だとかとは思っていなく、むしろ心地よささえ感じていることもあるが、好き好んで、最初からぼっちになったわけでは決してないのだ。ただ、言うならばタイミングを逃してしまったのだ。それ以降、僕はこうして孤独を愛している。
僕のことはどうでもいいのだ。今は神楽様のことだ。僕は浮かれているのだ。そしてこうして、神楽様を観察することで、せめて挙動不審にならないように耐性をつくっているのだ。今朝もそうだが、二人きりになるとどういうわけか、言葉に詰まるのだ。もともと、一日のうち学校にいる間はほとんど、人との関わりがないので当然と言えば当然なのかもしれないのだけれども。
斜め前に座る神楽様をじっと見つめる。ちなみに、今の思考をめぐらしてるうちに問題は解き終わったので心配は無用である。教師が彼と話し終わったあと、神楽様は無意識だろうか、シャーペンを器用に手で操った。華麗に回されるシャープペンシル。僕は叶うならば、あのシャーペンになりたいと思った。いや、回されたい願望があるわけではない。ただ、無意識下でもあのように、触れられて、ちょっかいをかけられたい。そんな、身近な存在になりたいのかもしれない。猫がひとりでに遊ぶ、あの猫じゃらしのような存在になりたい。という具合だ。
彼の手先で踊るシャーペンをもうひとり、熱心に見つめている人はがいた。僕と神楽様の対角線上にいるもう一人の、彼に熱視線を送る一人の生徒。
僕のことはどうでもいいのだ。今は神楽様のことだ。僕は浮かれているのだ。そしてこうして、神楽様を観察することで、せめて挙動不審にならないように耐性をつくっているのだ。今朝もそうだが、二人きりになるとどういうわけか、言葉に詰まるのだ。もともと、一日のうち学校にいる間はほとんど、人との関わりがないので当然と言えば当然なのかもしれないのだけれども。
斜め前に座る神楽様をじっと見つめる。ちなみに、今の思考をめぐらしてるうちに問題は解き終わったので心配は無用である。教師が彼と話し終わったあと、神楽様は無意識だろうか、シャーペンを器用に手で操った。華麗に回されるシャープペンシル。僕は叶うならば、あのシャーペンになりたいと思った。いや、回されたい願望があるわけではない。ただ、無意識下でもあのように、触れられて、ちょっかいをかけられたい。そんな、身近な存在になりたいのかもしれない。猫がひとりでに遊ぶ、あの猫じゃらしのような存在になりたい。という具合だ。
彼の手先で踊るシャーペンをもうひとり、熱心に見つめている人はがいた。僕と神楽様の対角線上にいるもう一人の、彼に熱視線を送る一人の生徒。
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