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第1章

王宮を歩き回ってみた3

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 さっきの訓練場で見た兵士達の様子は、もうベテランの域にたっしているので、自分には真似できないと思ったが、歳が一つしか違わないカルロならば、参考になるものもあるだろうと思っての事だった。

 幸い何故かいつもカルロの周りにいる付き人も誰1人としていない。

 カルロはテリアの存在など忘れているかのように、永遠と素振りをし続けた。
 1時間ほどたったころ、カルロはタオルで汗を拭いながら休憩すべく、水の置いてある方に歩みを進めると、そこにはテリアがまだいた。
(まだ居たのか。)

無言で、テリアの隣に置いてある水に手を伸ばす。

「ねぇ、お付きの人達は?」

「……。」

「素振りやってたら強くなれるの?」

「……。」

「ねぇねぇ、騎士とも一緒に練習したりする?」

「煩いな!質問は一個にしろ!」


 無視を決め込もうとしたが、疲れて動く気も起きないし、あまりに隣で煩いので怒鳴ると、テリアは少し考えたあと1つに絞ってみた。

「私に、剣を教えて。」


 質問ではなかった。だけどカルロはその声が何故か無視できなくて、テリアの方へ顔を向けて、その顔を初めて意図的に視界に入れた。

 黄金色の瞳は枝の隙間から漏れ出る光に、不思議な色合いをしていた。


「…俺は人に教えられる程に上達しているわけじゃない。」

「だけど、小1時間ずっと素振り続けられるって多分凄いよね?」

「やろうと思えば出来るだろそんなもん。
俺は、ぁあするしか鍛え方を知らない。」

「皇子でしょ?誰か教えてくれる人居るんじゃないの?」

 テリアの質問に、カルロが息を飲んだのがわかった。

(何かまずい事聞いちゃった気がする。)

 長い沈黙が流れたが、ひとまずテリアは黙っている事にした。

「ー…それでも俺は 絶対に生き残り、絶対に 守る。」

 やっと返ってきた言葉は、返事かどうかも分からないほど意味が分からなくて、直ぐには理解出来ない内容だった。それはテリアの質問に答えたと言うより、自分に言い聞かせているようだった。

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