【完結】悪役令嬢ライザと悪役令息の婚約者

マロン株式

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第2章事前対策

悪役令息から見たライザへの執着心《ルイスside》


 今わたしの隣で、わたしを警戒しているその瞳すらもわたしは彼女がわたしに向けている感情だと思うと嬉しいと感じている。
 それが理解しきれないと言うように、ライザは言った。

「私の心に近寄りたい?」

「そうだよ。」

「…?本音で私が話せば満足するってこと?」

「君の心に近寄るには必要な事だから、そうして貰えるなら満足はしないけど嬉しいよ。」

「????」

    ライザが心底わたしの意図が分からないという顔をする。
 その顔に、いつもライザの話を聞いて、同じ思いをしているわたしを満足させていることにも気付いてないだろう。

(もっと、わたしを知りたいと思わせるにはどうしたら良いだろうか。)

 わたしが近寄りたいのは、君すらも自覚して無いだろう君の本音。君が捨てた気になっているもの。

 彼女が警戒するのは無理もない。『君に一目惚れした。』と彼女に言ったけど、わたし自身これが一目惚れでは無いと思う。これは 積み重なったものだ。

 あの日見た彼女の瞳が、忘れられず。日に日にあの時瞳が宿していた強い意志の意味を理解していく度。

 彼女の事がとても気になり、近寄りたくて同時に誰にも気付かせたくは無かった。

 あの強い瞳に彼女の宿った本心に。ライザにとったら必死な事柄の中で不本意に曝け出した感情なのだから、それでわたしに執着されるのが迷惑そうなのは図書館の外でお茶した時に分かってはいたけど。

 だって、誰にも渡したくはないんだ。あの日両親を殺され、親族に裏切られた中で今わたしを、正気で居させてくれる唯一の存在だから。

 わたしはこの間、家族を惨殺された。炎に包まれる中、そんなわたしの前に1人の少女が現れた。

 わたしは身体の傷もあって、数日は放心状態だった。燃える邸宅を思い出す度に両親を思い出し、もうあの平和な日々に戻れないのだと絶望していた。

 布団の中で小さくまるまり、家族をあんな目にあわせた見えない誰かの悪意も怖くて。世の中皆が敵に思えて絶望しながら眠りについた。

 だけど、目を覚ますとき炎の中に居た君の〝こっちを向け〟と、強い意志の籠もったルベライトの瞳を思い出しながら毎朝目を開けた時には、不思議と絶望感は薄れていた。

 最初は何故かわからなかった。

 あの後、彼女の助言に従い親戚を爺やが探っていたお陰で、わたしの後見人として学園卒業まで支えてくれると言う叔父伯爵の裏の顔を知ると、また世界に絶望した。叔父伯爵と、父の関係は良好だったし、叔父伯爵の妻である、父の妹にはわたしもかなりの信頼を寄せていたから。

 また残された現実に絶望して、心の底が冷えていった。

 他の親族の心配していると言う言葉も表情も、誰も彼もが薄っぺらく思えた。

 そしてその後、鏡の中に写る自分の顔を、死んだ目で見た時にまた、炎の中にいた、至高の宝石と名高い公爵家の美しく燃るルベライトを思い出した。


 鏡に写った自分の瞳を見てわかった。あの少女の瞳がなんで忘れられず、度々思い出す程に記憶に強く残っているのか。
 君はわたしの経験したものと似た道を辿ってきた人だ。
 

 それがその時になってようやく理解出来た。


  ー彼女はわたしと同じ傷を負っているー


 わたしと同じく。金により愛を奪われ、金により苦渋をなめ、金により人生を振り回されてきた。だけどわたしが出せない答えでその道を歩んで来た。

『愛よりお金が大事』だと本心から思っている人間がどんな目をしているのかは、わたしは先日学んだ。その狂気を叔父伯爵で知っている。

 だけど、ライザのあの瞳は。叔父伯爵の目とは全然違う。
 ライザは『愛よりお金』と言うのが自分の本音だと思い込んでいるのだけど。ライザにそう言われたとき、その痛々しさにまた、キュンと来てしまった。


 わたしは、君が昔に捨てたと思い込んでいて、だけど実は捨て切れていなかった君の心をもっと知りたい。それが、綺麗な物で無くて良いんだ。ズタズタでボロボロにされた。
 君が弱さと切り捨てたであろうそれ。

 あの炎の中で僕に向けてくれたものがきっと、その片鱗だ。
   それをわたしだけが気付いてわたしだけの物にしたいと思うのは、自分が彼女に惚れているからであろう事くらいわかる。

 しかも、それは穏やかな想いでは無くて、思い出す度に積み重なり、あの炎のように苛烈な執着となっている。



 わたしは君程鈍くも無く、自分の感情に聡いから。
 

 君が他の人の手を取ろうとしたなら。わたしはその選択肢を消さなくてはならない。

 あの日。家族を、その思い出を燃やされ全て亡くしたわたしには、世界に君しか見えていない。 
 あの瞬間から君への執着しか無くなってしまったのだから。
 わたしには、君しかいないんだ。ライザ。

(だから、周りの皆の為にも、君がわたしを選んでくれ無いと困った事になる。この国の平穏は君の心内一つだ。)

 

 

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