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第3章学園入学
最終話
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色々あった私の学園生活はあっという間に終わった。何というか、私の想像していた乙女ゲームのそれとは全然違って、気が付けばヒロインは学園を自主退学をしていて、そのことに驚いたのもつかの間の出来事で。
すぐに何もかも予想していない問題事件ばかりがおこり、意識はそっちに向かっていった。
主に事件を起こしているのは皇太子のベルンだったけれども、それに振り回されることに慣れてきた私とルイスに、更なる衝撃と大きな変化をもたらしたのもまた皇太子だった。
皇帝陛下が崩御した後すぐに、なんと皇帝になったベルンは、即位後すぐに引退を宣言して皇位を他者へと譲った。理由を聞くために詰め寄ったときの答えは、これは違えることの出来ない誰かとの約束なのだとか。
私はその理由を嘘だと思っている。
国事などの面倒ごとを、全部他人に押し付け、そして・・いつもルイスに会えるようにするためだと思っている。
ーー何故なら、ベルンが皇帝になって直ぐに後継者として指名した皇族は。
ルイス・ネヴァキエルだったからだ。
ここに、邪な他意が無いわけがない。
上皇として度々来ては、うっとりした顔をして皇帝になったルイスと国事について話しているし。
これが、もしベルンの思惑でないのだとしたらーー
「ライザ、そんな所にずっといたら身体に触るよ」
バルコニーから城下町を見下ろして、物思いにふけっている私の横にやってきたルイスは、私の肩に自分の着ていた羽織ものをかけた。
穏やかなまなざしを向けてくるルイスの瞳をじっと見つめていると、ゆっくりと近づいてきて、自然な動作で口付けてきた。
目を見開いて固まっている私の頬をするりと触って、「ぁあ、ほら冷えてる」といって私の身体を温めようと、ぎゅうっと抱きしめてくる。
ーー今、私の身体にはルイスとの子供がいる。
本来であれば、私はルイスといつかは離婚するだろうと思っていたので、子を設ける気はなかったのだが、ベルンが突如皇位を放棄したことで、一時騒然となった大臣からは子供をいち早く作るようにあの手この手で、結婚式の日程を決められ、初夜を迎えた。
婚姻をおこなった後に知ったことだが、この国では一度王妃になったら離縁は許されず、その勤めを生涯果たさなければならないらしい。・・当然と言えば、当然の規則だが、この話を聞いた私は一週間寝込んだ。
私が、この私が生涯誰かと添い遂げるという想像がつかなかったからだ。
けれど、これは王妃という仕事を得たと気持ちを切り替えようとした。
しかし、殆ど何も知らずに(なるつもりは無かったから)突然王妃となった私は、困惑のまま、ベルンの母君から王妃の役割についてご教授頂き、初夜に行為を致さないのは職務怠慢であることをコンコンと詰められた。
王妃となったことで、かなりの金品を貰うのは皇帝の子を産むという大任を背負うが故。それを放棄するは、給料泥棒らしい。
ーー最もだと思ってしまった私は、皇族の義務について良く考えて悩んだ末、その役割を果たすことにした。(毎日真面目な顔をした大臣が訪れてきては、ルイスとの営みについての重要性を説いてくるのでうんざりした)
1人。1人を産めば十分なはずだーーと思ってはいても、なかなか子は授からず、側室を設けてはとルイスに打診しようとした頃に、自分が身重になった。
(・・まさか、ね?)
「ねぇ、ライザ」
「ん?」
「わたしは、君を幸せに出来ているかな?」
私の頭に頬を摺り寄せて不安げに聞いてくるルイスに、私は安堵のため息を漏らして、コクリと頷いた。
「この国で、一番のお金持ちにしてくれたんだもの。
幸せに決まっているでしょう?」
他の男の人が聞いたら、千年の愛も覚めてしまいそうなこのセリフ。
それなのに、相も変わらず優しい夫は
カイヤナイトの瞳を細め、誰もが見とれるほどの妖艶な笑みを浮かべて、私の耳元で今日も愛を囁く。
「そんな君が、この世で一番愛しいよ」
fin
すぐに何もかも予想していない問題事件ばかりがおこり、意識はそっちに向かっていった。
主に事件を起こしているのは皇太子のベルンだったけれども、それに振り回されることに慣れてきた私とルイスに、更なる衝撃と大きな変化をもたらしたのもまた皇太子だった。
皇帝陛下が崩御した後すぐに、なんと皇帝になったベルンは、即位後すぐに引退を宣言して皇位を他者へと譲った。理由を聞くために詰め寄ったときの答えは、これは違えることの出来ない誰かとの約束なのだとか。
私はその理由を嘘だと思っている。
国事などの面倒ごとを、全部他人に押し付け、そして・・いつもルイスに会えるようにするためだと思っている。
ーー何故なら、ベルンが皇帝になって直ぐに後継者として指名した皇族は。
ルイス・ネヴァキエルだったからだ。
ここに、邪な他意が無いわけがない。
上皇として度々来ては、うっとりした顔をして皇帝になったルイスと国事について話しているし。
これが、もしベルンの思惑でないのだとしたらーー
「ライザ、そんな所にずっといたら身体に触るよ」
バルコニーから城下町を見下ろして、物思いにふけっている私の横にやってきたルイスは、私の肩に自分の着ていた羽織ものをかけた。
穏やかなまなざしを向けてくるルイスの瞳をじっと見つめていると、ゆっくりと近づいてきて、自然な動作で口付けてきた。
目を見開いて固まっている私の頬をするりと触って、「ぁあ、ほら冷えてる」といって私の身体を温めようと、ぎゅうっと抱きしめてくる。
ーー今、私の身体にはルイスとの子供がいる。
本来であれば、私はルイスといつかは離婚するだろうと思っていたので、子を設ける気はなかったのだが、ベルンが突如皇位を放棄したことで、一時騒然となった大臣からは子供をいち早く作るようにあの手この手で、結婚式の日程を決められ、初夜を迎えた。
婚姻をおこなった後に知ったことだが、この国では一度王妃になったら離縁は許されず、その勤めを生涯果たさなければならないらしい。・・当然と言えば、当然の規則だが、この話を聞いた私は一週間寝込んだ。
私が、この私が生涯誰かと添い遂げるという想像がつかなかったからだ。
けれど、これは王妃という仕事を得たと気持ちを切り替えようとした。
しかし、殆ど何も知らずに(なるつもりは無かったから)突然王妃となった私は、困惑のまま、ベルンの母君から王妃の役割についてご教授頂き、初夜に行為を致さないのは職務怠慢であることをコンコンと詰められた。
王妃となったことで、かなりの金品を貰うのは皇帝の子を産むという大任を背負うが故。それを放棄するは、給料泥棒らしい。
ーー最もだと思ってしまった私は、皇族の義務について良く考えて悩んだ末、その役割を果たすことにした。(毎日真面目な顔をした大臣が訪れてきては、ルイスとの営みについての重要性を説いてくるのでうんざりした)
1人。1人を産めば十分なはずだーーと思ってはいても、なかなか子は授からず、側室を設けてはとルイスに打診しようとした頃に、自分が身重になった。
(・・まさか、ね?)
「ねぇ、ライザ」
「ん?」
「わたしは、君を幸せに出来ているかな?」
私の頭に頬を摺り寄せて不安げに聞いてくるルイスに、私は安堵のため息を漏らして、コクリと頷いた。
「この国で、一番のお金持ちにしてくれたんだもの。
幸せに決まっているでしょう?」
他の男の人が聞いたら、千年の愛も覚めてしまいそうなこのセリフ。
それなのに、相も変わらず優しい夫は
カイヤナイトの瞳を細め、誰もが見とれるほどの妖艶な笑みを浮かべて、私の耳元で今日も愛を囁く。
「そんな君が、この世で一番愛しいよ」
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