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王子12歳
しおりを挟むそしてとうとう王子は12歳を迎えた。
国を挙げて開かれた王子の誕生祭件成人の祝賀パーティー。私は様々な人と話をしたので疲れてしまい、その日は夕食を食べず、寝台に直行するとそのまま夢の中へと意識を手放しそうになっていた。
今日の誕生日パーティーで王子は自分より2つ歳下のヒロインと出会っただろう。とうとう王子ともお別れか…。
赤子の時から側にいた可愛い弟の様な王子様。
感慨深くもあり、小説のマーガレットが最後に言っていた言葉を心の中で復唱する。
〝人生は交わらずとも、私は貴方の幸せを願っております。〟
「おう…じ、しあ…わせに。んぅっ…」
寝言を呟くマーガレットの唇に、柔らかいものが押し付けられたかと思うと、ペロリと湿ったもので唇をなぞるられた感触がして、何が起こって居るのだろうと意識が夢から引き戻されて目を薄く開こうとした。
「僕は今、とてもしあわせだよ。」
声変わりしていない少年の声はクリスのもので、唇に這わせていた舌が薄く開いた口を容赦なく蹂躙しようと入ってきた。
「んはっ…ぁ…」
何度もリップ音をならし、舌を絡めとられる。
自分の身体にまたがり、貪るように口の中を犯してくるクリスをマーガレットは肩を掴んで何とか引き離した。
「な…何をしているか、ちゃんとわかっているのですか?」
「?わかってるよ。僕はやっと今日、成人を迎えた。これで心置きなく夜の営みが出来るね!」
天使のようなあどけなさを残した可愛らしい顔で 、首を傾げて〝夜の営み〟と発言し始めたクリスに、マーガレットは唖然とする。
(いやでも、いくら天使な見た目でも性教育は当然されてるか。私も講義は受けてるし。王子も男の子な訳だからそう言うのに興味があるのはわかるけど…。)
だけど、小説にはマーガレットと王子の夜の営み如何の有無は書いてなかった。だから夜の営みのない、〝白い結婚〟だと勝手に思ってたけど…
いや私も王子と離縁したあと、別の良い嫁ぎ先を見つけようと思ってた訳で。
白い結婚でいた方がやはり条件良い人を探しやすくなるし、そもそも王子とは健全な関係でいないと私がショタコンに…いや別れが辛くなりそうでないですか?
女は男と違って心と身体は連動していて、身体を重ねるたびに愛情が湧くとも言いますし。王子はこれから益々小説のヒーローらしく格好良く成長してゆくわけだし。
何より赤ん坊の頃から知ってるこっちとしては、犯罪犯した的な気持ちになる!
兎に角色々と不味いと思い、マーガレットは何とか止めなくてはと思い至った。
「ま、待ってください。私はっ。ほら、王子のお姉さんみたいな存在なので、お姉さんとそう言う事をするのはダメですから!」
「何言ってるの?マーガレットは僕のお妃様でしょ?」
「でも。でもですね…。」
「ぁあ、心の準備が出来て無くて怖くなったんだね?
いいよ、わかった。」
〝わかった〟の言葉にほっと胸を撫で下ろしたマーガレットだったが、クリスは上に跨ったまま再びマーガレットの顔の横に手をついて深い口付けを落として来た。
「…っん。…っ」
「マーガレットが言ってくれたんだよ?
12歳になったらキスをして良いって。」
どうやら分かってくれたのはキス以上は、まだしないと言う事だったらしい。
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