【完結】年下王子のお嫁様 

マロン株式

文字の大きさ
47 / 56

王子は目的を達成した

しおりを挟む
 引き寄せられ、そのまま流れるようにベッドに横たえたれたマーガレットは、唇を重ねたまま口内に入ってくる王子の舌を受け止めて己の舌を絡める。

 「ん…ン……フゥチュ…」

  長い時間をかけて、途切れる事なく重ね続ける唇に、隙間から漏れ出る吐息。
 顔が火照っているのがわかる。


「…っそんな顔されると、手加減出来ないよ。マーガレット。」

 そうやって情欲を宿した瞳で見下ろしてくる王子を、マーガレットは両手を広げて抱きしめた。

「手加減、しないでください。」

「ーーー…っっ。」

  予想外の反応だったのか、王子は目を見開いて、その後動きがぴたりと止まった。

「??王子?」

  片手で王子は顔を覆っている。それをマーガレットは不思議そうに覗き込んだ。


「……っまって、今理性と戦ってるから刺激しないで。」

「?そんな、私は…王子と…ンむっ

 言葉の途中で口を手で塞がれた。

「あのね、マーガレット。君の身体には今赤ちゃんがいるから、乱暴には出来ないんだよ。だから、今、体重が君にかからないようにしていたろ?」


   にこりとしながら、言われた事に、思考が停止する。
 なにが出来た?

「え?」


「だからね、君が倒れたのは、お腹に赤ちゃんが出来てね。ホルモンバランスがー…」

 王子が何か説明してくるけど、耳に入ってこない。
 
「え。何かの間違いですよ、だって私は今まで…」

「避妊薬を飲んでた?でも知ってる?避妊薬って絶対じゃないんだよ。」


  その時、先日会った時のナーディアの言葉が思い出された。 


『避妊薬は万能では無いのよ。その…聞いている限りだと、いずれ本当に孕んでしまうわよ。』

 確かにそう言ってた。

(え、でも…さっき今なら離縁がどうとか…赤ちゃん出来てるならそもそもそれって……)

 ちらりと王子の顔を仰ぎ見ると、天使みたいな笑顔が更に輪をかけて輝きをましている。

「いやぁ、長かったよね。まさか隣国の妙薬まで持ってくるなんてさ。
本当余計な横槍だったよ。」

「…クリス殿下?」

「それにしても良かった。何が良かったって、タイミングがね。マーガレットが真赤な顔をして…一生懸命気持ちを伝えてくれるから。ついね、調子に乗っちゃったよ。」

「さっきの…今なら、サイン…」

「サインなんて。する訳が無いよね。あれはね。違う男の香りをつけて帰ってきた君にお仕置きしようと思っただけだよ?」



「…お仕置き……」

「当たり前だろう?だって僕はー…」


  ぐいっと身体を起こされて、ベッドに座っている王子の上に、マーガレットが乗っかり、その胸板に手をついた。

 右手を頬に添えられて、上を向かされると、其処には妖艶な光を瞳に宿して笑う王子が口角を上げていた。








「君を愛しているからね。君が何処に行こうとしても、手放すなんて無理だよ。」


 



 私はこの年下王子に、これからも捉われていく。




「愛しているよ マーガレット。」









                fin



しおりを挟む
感想 190

あなたにおすすめの小説

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる

しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。 いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに…… しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

辺境伯と幼妻の秘め事

睡眠不足
恋愛
 父に虐げられていた23歳下のジュリアを守るため、形だけ娶った辺境伯のニコラス。それから5年近くが経過し、ジュリアは美しい女性に成長した。そんなある日、ニコラスはジュリアから本当の妻にしてほしいと迫られる。  途中まで書いていた話のストックが無くなったので、本来書きたかったヒロインが成長した後の話であるこちらを上げさせてもらいます。 *元の話を読まなくても全く問題ありません。 *15歳で成人となる世界です。 *異世界な上にヒーローは人外の血を引いています。 *なかなか本番にいきません

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

コワモテ軍人な旦那様は彼女にゾッコンなのです~新婚若奥様はいきなり大ピンチ~

二階堂まや♡電書「騎士団長との~」発売中
恋愛
政治家の令嬢イリーナは社交界の《白薔薇》と称される程の美貌を持ち、不自由無く華やかな生活を送っていた。 彼女は王立陸軍大尉ディートハルトに一目惚れするものの、国内で政治家と軍人は長年対立していた。加えて軍人は質実剛健を良しとしており、彼女の趣味嗜好とはまるで正反対であった。 そのためイリーナは華やかな生活を手放すことを決め、ディートハルトと無事に夫婦として結ばれる。 幸せな結婚生活を謳歌していたものの、ある日彼女は兄と弟から夜会に参加して欲しいと頼まれる。 そして夜会終了後、ディートハルトに華美な装いをしているところを見られてしまって……?

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

魔性の大公の甘く淫らな執愛の檻に囚われて

アマイ
恋愛
優れた癒しの力を持つ家系に生まれながら、伯爵家当主であるクロエにはその力が発現しなかった。しかし血筋を絶やしたくない皇帝の意向により、クロエは早急に後継を作らねばならなくなった。相手を求め渋々参加した夜会で、クロエは謎めいた美貌の男・ルアと出会う。 二人は契約を交わし、割り切った体の関係を結ぶのだが――

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

処理中です...