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番外編 妊娠したお嫁様のその後の日々
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私の名はマーガレット。セレナイト王国の王子妃。
6歳年下であり先日15歳となったクリス王子の第1妃をしている者。
妊娠してから3ヶ月が経った。お腹はまだ目立っていないけれど、確かに宿った命も感じながら、その間私は平穏無事に過ごしてきた。
しかし最近ある意味贅沢とも言えるけれど、少し困っている。
まずは朝ー・
目が覚めると其処には王子の天使の様な寝顔があり、幸せを感じて顔が緩む。
問題は起きた後。
「クリス殿下…。」
「なぁに?」
後ろから抱きしめ、返事をしながらも、マーガレットの頭に己の頬をすり寄せる王子。
このように、毎朝起きたら2時間くらいベッドの上で後ろから抱きしめて、お腹をゆるゆると優しく撫でられている。
最初の頃は、侍女が朝起こしにきていたけれど、最近気を利かせて誰も朝には来なくなった。
正直気恥ずかしさもあり、「そろそろ普通に起きませんか?」と聞いてみるも…
「ん?」
…と、笑顔で小首を傾げられ、理解出来ないフリをされたので、諦める事にした。
お昼ー・
日中は殆ど外には出ずに、本を読んだり編み物をしている。出掛けるときには必ず王子が居て、私の望む場所に連れて行ってくれるけれど、王宮からは出してもらえない。(王子の子を妊娠しているから当たり前かも知れないけれど…)
でも、王子が居ないとき、どの位部屋から出ることを許され無いかと言うと…ー。
「本も読み終わったから、少し目を休めに行きましょう…。」
机に本を置いて、ゆっくりと戸に手を掛けると、何処からともなく、すかさず侍女が数人現れてこう言うのだ。
「マーガレット様!本ならば此処に新しい物が!」
「何か入用ならベルで呼んでいただければ…。」
「お休みになりたいのであれば、胎教に良い音楽で御寛ぎください!」
……このように、流石に逆に気分が滅入ってしまう。
「いえ、少し王宮内の噴水広場の庭園へ散歩するだけですから。ご心配なさらずとも大丈夫です。」
「で、では!せめて少しお待ち下さい!!」
「身体を冷やさぬよう、羽織り物はもう着ていますから、大して準備しなくても大丈夫ですよ。」
「そ、そうではなく…あの、直ぐに、本当に直ぐに参りますから少しだけ!
私達を助けると思って!!」
「????」
最初の頃、幾ら王子の子を身篭っているとはいえ、侍女が何故このように過剰に反応するのかが不思議だった。
王宮内を散歩するだけなのに。
暫く待っていると、部屋の戸が開いて、やっと侍女達の準備が出来たのかと思って振り向くとー…。
「やぁ、噴水広場に行きたいんだってね。奇遇だね。僕も丁度行こうと思ってだんだ。一緒に行こう。」
そう言って王子が姿を現した。
驚いて固まりながらも、マーガレットは疑問を口にした。
「クリス殿下?」
「ん?」
「あの、公務は?」
「丁度休憩だったんだよ。」
(そんな都合良く?いやでも、本当にたまたまなのかも…)
なんて思ったりしていたが。
後で侍女から聞いた話では、王子は王宮内でこなせる公務だけを出来るよう、他の王侯貴族との連携して予定を1年先まで決めているそうで、しかも、公務の休憩を取る時間は全て、マーガレットが部屋から外に出ると言う時だけだとか。
(宮殿の外に出ると、多方面に気を遣わせる気がする…。)
それならばと、私は宮殿内でお菓子作りをする事にした。
これなら、建物の中だし平気だろうと思っていたのだけれど…ー
「オーブンから取り出すときは、僕を呼んでね。後、何か力を入れる作業もね。
ふふっ。夫婦でお菓子作りって楽しいね。」
王子が私のする事に少しでも危険を感じる事があれば、必ず公務の間の休憩と言っては手伝おうとしている。
有り難いのだけれど流石にこれでは、よろしく無いと思ったので、夜に切り出してみた。
「クリス殿下…。」
「なぁに?マーガレット。」
因みに今の体勢は、部屋のソファーに私が座って王子を膝枕している。フワフワした王子の髪を梳きながら話を続けた。
「クリス殿下が私の身体を慮ってくださっているのは、わかっていますが…あそこ迄気を使われると、どうも…」
良い淀む私に、王子はキョトンとした顔をした後、身を起こした。
そして、隣に座ったかと思うと私のソファーに置かれた手を握る。
「かえって気が滅入る?…でも、僕は心配なんだよ。少しでも目を離した時に…前のような事があったらと思うと、ゾッとする。」
王子はそう言って、眉根を寄せて目を閉じた。
きっと、外で暴漢に襲われそうになった時の事を言っているのだろう。
確かにあの時は凄く心配をかけてしまったけれど…。
「前にあった事件では、王子に心配をかけてしまいました…。ですが、私は王宮内で出歩きたいだけなのです。」
「…それでも、何があるか分からないだろう?マーガレットは、少し身体が弱いんじゃ無いかと思うんだ。」
華園で倒れた時の事を言っているのだろうか?あれもイレギュラーな事柄だっただけに、何と説明して良いのか…。
今世の私は至って健康そのものだから、心配は要らないと言っても伝わらないだろう。
けれども、そんな風に心配してくれている王子が、愛おしく感じてしまう。
私はどうにかして安心させる為に、あやすように王子をそっと抱きしめた。
「大丈夫ですよ。あれは、色々重なったからです。今は、王子とこうして過ごせて何の悩みもなく、日々がとても幸せですから。何の心配も入りません。」
そう言って、抱きしめて背中をさすると、王子がゆっくりと身を離して、私の目を宝石のように光が揺れている綺麗な瞳で見つめてきた。
「マーガレット…」
そのままゆっくりと、顔を近づけられ、唇を重ね合わす。私は目を閉じてそれを受け入れた。
肩を掴まれて、口内に侵入してきた舌が、私の歯列をなぞり、頬袋、舌裏まで味わい尽くすような動きをして、クチュクチュと卑猥な音をさせている。
「んン…ふぁっ……んっんっ。」
ソファーの背にもたれ掛かり、酸素が不足して頬が高揚する。
顔を離されると、王子との間に透明な糸がひいて、私は、はぁはぁと肩を上下させて荒れている息を整えようとしていた。
「…。辛かったら言ってね。」
色艶のある声で、そう一言うと、王子は私の首筋に舌を這わせながら、前開きになって居るネグリジェの隙間から手を入れて、胸を揉む。
こうした流れで私は夜、妊娠した今でも、無理ない体勢でほぼ毎日抱かれ続けて居るという。
こんな日々に幸せだと感じてしまうのは、惚れている弱みなのだろう。
6歳年下であり先日15歳となったクリス王子の第1妃をしている者。
妊娠してから3ヶ月が経った。お腹はまだ目立っていないけれど、確かに宿った命も感じながら、その間私は平穏無事に過ごしてきた。
しかし最近ある意味贅沢とも言えるけれど、少し困っている。
まずは朝ー・
目が覚めると其処には王子の天使の様な寝顔があり、幸せを感じて顔が緩む。
問題は起きた後。
「クリス殿下…。」
「なぁに?」
後ろから抱きしめ、返事をしながらも、マーガレットの頭に己の頬をすり寄せる王子。
このように、毎朝起きたら2時間くらいベッドの上で後ろから抱きしめて、お腹をゆるゆると優しく撫でられている。
最初の頃は、侍女が朝起こしにきていたけれど、最近気を利かせて誰も朝には来なくなった。
正直気恥ずかしさもあり、「そろそろ普通に起きませんか?」と聞いてみるも…
「ん?」
…と、笑顔で小首を傾げられ、理解出来ないフリをされたので、諦める事にした。
お昼ー・
日中は殆ど外には出ずに、本を読んだり編み物をしている。出掛けるときには必ず王子が居て、私の望む場所に連れて行ってくれるけれど、王宮からは出してもらえない。(王子の子を妊娠しているから当たり前かも知れないけれど…)
でも、王子が居ないとき、どの位部屋から出ることを許され無いかと言うと…ー。
「本も読み終わったから、少し目を休めに行きましょう…。」
机に本を置いて、ゆっくりと戸に手を掛けると、何処からともなく、すかさず侍女が数人現れてこう言うのだ。
「マーガレット様!本ならば此処に新しい物が!」
「何か入用ならベルで呼んでいただければ…。」
「お休みになりたいのであれば、胎教に良い音楽で御寛ぎください!」
……このように、流石に逆に気分が滅入ってしまう。
「いえ、少し王宮内の噴水広場の庭園へ散歩するだけですから。ご心配なさらずとも大丈夫です。」
「で、では!せめて少しお待ち下さい!!」
「身体を冷やさぬよう、羽織り物はもう着ていますから、大して準備しなくても大丈夫ですよ。」
「そ、そうではなく…あの、直ぐに、本当に直ぐに参りますから少しだけ!
私達を助けると思って!!」
「????」
最初の頃、幾ら王子の子を身篭っているとはいえ、侍女が何故このように過剰に反応するのかが不思議だった。
王宮内を散歩するだけなのに。
暫く待っていると、部屋の戸が開いて、やっと侍女達の準備が出来たのかと思って振り向くとー…。
「やぁ、噴水広場に行きたいんだってね。奇遇だね。僕も丁度行こうと思ってだんだ。一緒に行こう。」
そう言って王子が姿を現した。
驚いて固まりながらも、マーガレットは疑問を口にした。
「クリス殿下?」
「ん?」
「あの、公務は?」
「丁度休憩だったんだよ。」
(そんな都合良く?いやでも、本当にたまたまなのかも…)
なんて思ったりしていたが。
後で侍女から聞いた話では、王子は王宮内でこなせる公務だけを出来るよう、他の王侯貴族との連携して予定を1年先まで決めているそうで、しかも、公務の休憩を取る時間は全て、マーガレットが部屋から外に出ると言う時だけだとか。
(宮殿の外に出ると、多方面に気を遣わせる気がする…。)
それならばと、私は宮殿内でお菓子作りをする事にした。
これなら、建物の中だし平気だろうと思っていたのだけれど…ー
「オーブンから取り出すときは、僕を呼んでね。後、何か力を入れる作業もね。
ふふっ。夫婦でお菓子作りって楽しいね。」
王子が私のする事に少しでも危険を感じる事があれば、必ず公務の間の休憩と言っては手伝おうとしている。
有り難いのだけれど流石にこれでは、よろしく無いと思ったので、夜に切り出してみた。
「クリス殿下…。」
「なぁに?マーガレット。」
因みに今の体勢は、部屋のソファーに私が座って王子を膝枕している。フワフワした王子の髪を梳きながら話を続けた。
「クリス殿下が私の身体を慮ってくださっているのは、わかっていますが…あそこ迄気を使われると、どうも…」
良い淀む私に、王子はキョトンとした顔をした後、身を起こした。
そして、隣に座ったかと思うと私のソファーに置かれた手を握る。
「かえって気が滅入る?…でも、僕は心配なんだよ。少しでも目を離した時に…前のような事があったらと思うと、ゾッとする。」
王子はそう言って、眉根を寄せて目を閉じた。
きっと、外で暴漢に襲われそうになった時の事を言っているのだろう。
確かにあの時は凄く心配をかけてしまったけれど…。
「前にあった事件では、王子に心配をかけてしまいました…。ですが、私は王宮内で出歩きたいだけなのです。」
「…それでも、何があるか分からないだろう?マーガレットは、少し身体が弱いんじゃ無いかと思うんだ。」
華園で倒れた時の事を言っているのだろうか?あれもイレギュラーな事柄だっただけに、何と説明して良いのか…。
今世の私は至って健康そのものだから、心配は要らないと言っても伝わらないだろう。
けれども、そんな風に心配してくれている王子が、愛おしく感じてしまう。
私はどうにかして安心させる為に、あやすように王子をそっと抱きしめた。
「大丈夫ですよ。あれは、色々重なったからです。今は、王子とこうして過ごせて何の悩みもなく、日々がとても幸せですから。何の心配も入りません。」
そう言って、抱きしめて背中をさすると、王子がゆっくりと身を離して、私の目を宝石のように光が揺れている綺麗な瞳で見つめてきた。
「マーガレット…」
そのままゆっくりと、顔を近づけられ、唇を重ね合わす。私は目を閉じてそれを受け入れた。
肩を掴まれて、口内に侵入してきた舌が、私の歯列をなぞり、頬袋、舌裏まで味わい尽くすような動きをして、クチュクチュと卑猥な音をさせている。
「んン…ふぁっ……んっんっ。」
ソファーの背にもたれ掛かり、酸素が不足して頬が高揚する。
顔を離されると、王子との間に透明な糸がひいて、私は、はぁはぁと肩を上下させて荒れている息を整えようとしていた。
「…。辛かったら言ってね。」
色艶のある声で、そう一言うと、王子は私の首筋に舌を這わせながら、前開きになって居るネグリジェの隙間から手を入れて、胸を揉む。
こうした流れで私は夜、妊娠した今でも、無理ない体勢でほぼ毎日抱かれ続けて居るという。
こんな日々に幸せだと感じてしまうのは、惚れている弱みなのだろう。
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