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孤高の皇帝と国の安寧
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忠臣と呼ばれている先程の男も、たまたまそこにあった者の中でましだと感じた者を使っているに過ぎない皇帝は
誰の言う事にも耳を傾けません。
皇帝にとって、玉座に着いた後に出来た人脈などゴミの様な物にしか思えませんでした。
中には真に皇帝が成した事に報いてくれようと純粋に敬い慕う者もいる様ですが、皇帝にはそれがわかりません。
(人は、裏切る。
油断すれば、寝首をかこうとする。)
そんな皇帝が休まる時など、有るはずも無いかと思われますが、唯一、眠って夢を見られた時は疑似的に休まりました。
それはもう、擦り切れた記憶のはずなのに、何度も思い出しては瞼を焼き付いて離れない。
とある少女との3年間でした。
ーー
ーーーー
チュンチュン……
鳥の鳴き声に誘われ、目を覚ました皇帝は天幕を見上げて
1人きりの室内で呟きを溢します。
「君は、誰なんだ。
今、何処に居るんだ。」
10年前、手紙を読んだ皇帝は花冠式を挙げた後直ぐに少女の行方を探す様手配しました。
だけど、少女はどんなに探しても見つからなかったのです。
少女を見知っている、ある日の使者も、少女の行方を知らないと首を振るばかり。
ある日の使者は妙齢だった事もあり、花冠式を見届けた後すぐ隠居して、その後老衰で亡くなりました。
長きに渡る忠義に、それは盛大な葬式が国を挙げて行われ、また、隠居していた身だと言うのに
皇帝はこの国で1番位の高い称号を、ある日の使者に授けました。
ともあれ、これで少女を知るのは宮殿で自分1人となってしまいました。
誰に探させても、それらしい少女は見つけられず、月日が流れて10年。
あれは、本当に夢のひと時だったのでは無いかと
辛い日々の中、せめてもの救いに
自分が妄想で描いた少女なのでは無いかと感じ始めました。
それ程に、皇帝にとって23年生きてきた中で、少女と過ごした3年は幸福に満ち満ちていて、現実離れをし過ぎていたのです。
もう誰も知らない、幼き皇帝と、幼き少女の日々は
ただ月日の流れを待ち、消えるのを待つばかり。
思い返せば、絶望に打ちひしがれた時も、希望を抱いた時も、念願を目前に歓喜したときも
人間らしく感情のままに生きたあの3年。
共に悲しみ、泣き、笑い、喜んだ日々は、自然とそこにあったのに、2度と手に出来ないものとなっていました。
夕日に照らされた少女は
残酷ばかりの人の世に存在するとは思えないぐらいに気高く見えて
瞳から溢れ出る涙を拭おうと、この手で頬に触れたとき
この世で、これ以上美しい物は無いだろうという微笑みが目にうつった。
あのとき確かに触れた温もりは…
ひっそりと、世界の片隅に咲いた花は今
何処に行ってしまったのか。
「わたしは、何が欲しかったのだろう。」
そんな皇帝の呟きは、光のない天幕の中に
自然と消えて行くばかりでした。
誰の言う事にも耳を傾けません。
皇帝にとって、玉座に着いた後に出来た人脈などゴミの様な物にしか思えませんでした。
中には真に皇帝が成した事に報いてくれようと純粋に敬い慕う者もいる様ですが、皇帝にはそれがわかりません。
(人は、裏切る。
油断すれば、寝首をかこうとする。)
そんな皇帝が休まる時など、有るはずも無いかと思われますが、唯一、眠って夢を見られた時は疑似的に休まりました。
それはもう、擦り切れた記憶のはずなのに、何度も思い出しては瞼を焼き付いて離れない。
とある少女との3年間でした。
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チュンチュン……
鳥の鳴き声に誘われ、目を覚ました皇帝は天幕を見上げて
1人きりの室内で呟きを溢します。
「君は、誰なんだ。
今、何処に居るんだ。」
10年前、手紙を読んだ皇帝は花冠式を挙げた後直ぐに少女の行方を探す様手配しました。
だけど、少女はどんなに探しても見つからなかったのです。
少女を見知っている、ある日の使者も、少女の行方を知らないと首を振るばかり。
ある日の使者は妙齢だった事もあり、花冠式を見届けた後すぐ隠居して、その後老衰で亡くなりました。
長きに渡る忠義に、それは盛大な葬式が国を挙げて行われ、また、隠居していた身だと言うのに
皇帝はこの国で1番位の高い称号を、ある日の使者に授けました。
ともあれ、これで少女を知るのは宮殿で自分1人となってしまいました。
誰に探させても、それらしい少女は見つけられず、月日が流れて10年。
あれは、本当に夢のひと時だったのでは無いかと
辛い日々の中、せめてもの救いに
自分が妄想で描いた少女なのでは無いかと感じ始めました。
それ程に、皇帝にとって23年生きてきた中で、少女と過ごした3年は幸福に満ち満ちていて、現実離れをし過ぎていたのです。
もう誰も知らない、幼き皇帝と、幼き少女の日々は
ただ月日の流れを待ち、消えるのを待つばかり。
思い返せば、絶望に打ちひしがれた時も、希望を抱いた時も、念願を目前に歓喜したときも
人間らしく感情のままに生きたあの3年。
共に悲しみ、泣き、笑い、喜んだ日々は、自然とそこにあったのに、2度と手に出来ないものとなっていました。
夕日に照らされた少女は
残酷ばかりの人の世に存在するとは思えないぐらいに気高く見えて
瞳から溢れ出る涙を拭おうと、この手で頬に触れたとき
この世で、これ以上美しい物は無いだろうという微笑みが目にうつった。
あのとき確かに触れた温もりは…
ひっそりと、世界の片隅に咲いた花は今
何処に行ってしまったのか。
「わたしは、何が欲しかったのだろう。」
そんな皇帝の呟きは、光のない天幕の中に
自然と消えて行くばかりでした。
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