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孤高の皇帝と再開を果たしました
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しおりを挟む「やっぱり、分かってしまうわよね。
お互いまだ面影残ってるものね…」
眉根を下げて、困った表情をする。
そんな少女に、疑問が次々と湧き上がる。
口を開いた皇帝よりも前に、レヴァネル王は物語を語りはじめました。
「ある所に
王族派を後ろ盾とする女子を生んだ正妃と
貴族派を後ろ盾とする男子を生んだ側室がおりました。
女王が即位した事のないその国は、貴族派に推されておりました。
とうとう、女の子は貴族派の手の者に追いつめられ、殺されかけ、ボロを着て多くの犠牲を出してもなお 孤児のふりをして逃げていた矢先に、違法商人を見つけました。」
汚れを落とせば美しく輝く銀糸の髪。
そして、隠しようもないその紫紺の瞳は、出会った時に驚いたのを覚えている。
顔が土で汚れているのに、あの時
皇帝は少女を美しいと感じていた。
「女の子は途中まで共に逃げていた付き人の言葉を思い出しました。
『違法商人達の使う闇道であれば荷台を確認される事はないかもしれません。』と。」
わたしもその手を使ったのだ。
まさか
同じ事を考えた者があの時、もう1人いたなどと 思いもしなかったが。
「そんな時でした。
目の前に 同じような境遇の綺麗な少年が現れました。」
少女に違和感を感じないわけではなかった。
孤児が奴隷として捕まっていたにしては、教養がある話し方だと違和感を感じていた。
何処かの資産家の娘が、誘拐でもされたのかとも思っていたが…立ち振る舞いがたまにハッとするほど品がある。
まるで高位の貴族のように。
けれど、少女は奴隷商人から逃れても、家に帰りたいとは、ただの一言も言わなかった。
行く先がないと、わたしとずっと行動を共にしていた。
「少年は、女の子よりも不遇な境遇でしたが、彼はやり遂げました。
自らの力で、皆から認められ
立派な皇帝となりました。」
そうだ。わたしはやり遂げた。
だけどー…何故。
君は何もつげずに居なくなったのか。
「…それまでの事はもういい。
何故君の事情を話してくれなかったのかと、思わなくもないが、それはこの際もういいんだ。
それよりも
どうして、何も告げず、わたしの前から消えたんだ?」
「…フロイス皇国を襲うように仕向けたのは他でもない私だから。」
少女とは苦楽を共にした。
だからわかる。何の理由もなくそんな事をするはずも無い。
だけど、目の前に居るレヴァネル王は、何の言い訳もしないだろう。
「私はフロイス皇国で起こっている事を、義弟の貴族派に人を使い、伝えたのよ。
その後彼等が、どう動くのか知っていながら。
王族にあるまじき
私欲の為に国民を巻き込むと知っていました。
それにより、どのような結果になるのか分かっていました。
結果、この国で多くの人が死んでしまった。勿論自国の兵士も沢山死んだ。
だから、今日この国で
私は受けるべき罰を受けにきたのよ。」
気付けば処刑の時間は刻一刻と迫っている。
この国に災いをもたらした王として、処刑され晒される。
その名も、歴史にはそう残ると言うのに
何故か、少女の面持ちに悲壮感はなく
後悔の色もなかった。
「ー…ずっと、見ていたわ。
この国と、この国の皇帝が為す事を。」
彼女の呟きは、まるであの日のように柔らかく、わたしの止まった時間の背中をそっと押すかのように優しく撫でる声をだす。
「頑張ったのね、レイシス。」
そこには、あの時のように、わたしが拭う溢れる涙もなくて、まるで、1人でも進んでいこうと決意してるかのように
力強さを感じる強い目をしている王がいた。
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