【完結】孤高の皇帝は唯一欲した

マロン株式

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孤高の皇帝と再開を果たしました

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レヴァネル国王が公開処刑される日がやって来ました。
普通は、他国の王の首を晒すにしても公開処刑は致さないのがこの世の常でしたが

他に条件をつけない代わりに、戦争を引き起こした王が惨めに死にゆく様を見せる事で、親兄弟子供を殺された人々の鬱憤を晴らさせようとの事でした。



孤高の皇帝としても、あの侵略が無ければ自分が民に望まれて玉座に着く機会が訪れなかった事や

また自分よりも年下と聞く若き王の覚悟に、久々に胸を打たれて、レヴァネル王国への被害を、最小限に止めようと考えた結果でした。


処刑台には
多くの人々が押し掛けました。



その様子を、王宮内の大きな窓から見下ろしていた皇帝の目は、冷たい光を帯びていました。


「本当に人間とは

愚かで残酷な生き物だ。」




皇帝の呟きは、群がる群衆には届きませんでした。

(どこの民も…人間も同じだろう。

なのに、レヴァネルの王は何故こんな者達の為にこんな形で命を捨てようと考えたのか。

理解が及ばん。)


ふと、夕方にも処刑される予定の王がどんな人物なのか気になり

孤高の皇帝は処刑の時まで、王が控えている部屋へと足を運びました。

塔の中にある部屋のうちの一つに、兵士が2人配置されておりました。
また、部屋の中には処刑時間まで王の身の回りのするための侍女もいると聞きました。


扉越しに皇帝は呼びかけます。


「レヴァネルの王よ、わたしと話をしないか?」


突然の呼びかけに、少しばかり時を要した後に侍女が返事を寄越しました。

「何のようでしょうかと、王は答えております。」



「今日は、貴殿とは語らう事も出来るのではないかと思ったのだ。

もう…時はないが。

貴殿の話を わたしに聞かせてはくれないだろうか。

出来れば 若年の王同士

顔を見ながら話をしたい。」


皇帝は思ったのだ。皇族に生まれながらこのような運命を歩まされる
第7代レヴァネル王もまた、自分と同じ気持ちを持っているのでは無いだろうかと。
本当に本人が望んで来たとも思えない。

大人しく国の為に、民の為にと思う王など存在はしないと自分は考えている。

ならば、このレヴァネル王の心内を、自分だけが知っていても良いのではないかと、そう思った。


皇帝なりの気遣いでもあった。
この城で誰にも気遣ったことのない皇帝だが、あまりにレヴァネル王と、自分の境遇が重なって見えたのだから仕方ない事だったのだ。

門番に鍵を外させ
ガチャリと部屋戸が開いて、皇帝は中に控えていた侍女に案内されるまま、奥へと通される。


部屋の先に案内されると


次の瞬間 皇帝は息を呑んで固まった。


白い布で出来た洋服一枚を身に纏い、見たことのあるその面影は、とある少女を彷彿とさせた。


「初めまして、フロイス皇帝陛下。」


優雅に挨拶するその様子を
皇帝は暫くの間、茫然と眺めていた。


「貴殿が、レヴァネル王?」

「はい。ニーニャ・ルイス・レヴァネルと申します。」


これは 偶然なのか

それとも 必然なのか


皇帝はどんな言葉も、見つけられなかった。


見間違えない自信がある。
群衆の中に紛れていても、いくら互いに成長しようとも。

その美しく笑う微笑みを。

柔らかな声色を。



「嘘だ


何の間違いなんだこれは。


君は 君はただのニーニャだろう。」

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