星降る真夏の夜に、妖精の森で迷子になる。

折原ミフク

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地球は二つ。

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 少し肌寒いんだ、その時はまだ。
 でも俺たちは庭にテーブルと椅子を持ち出してケーキとティーセットを並べる。小さな庭だから殆ど玄関先だけど。俺は恥ずかしいのを押し殺してバースデイソングを歌う。嬉しそうにニコニコしてるヒヨリは幼い。俺より年下で背も低い。そして白い雪の様な肌に頬が紅く色づいて綺麗だ。長い間俺にはヒヨリだけだった。
 ヒヨリだけで良かった。

 二人だけの筈なのに、ライトが居る。キールもグエンも。そして勿論、リロイも。他にも俺の知らないーーいや、知ってる?皆んなでヒヨリの誕生日を祝っている。おかしな事に皆若い。彼らのその時を俺は知らないのに。同い年位。ライトだけは今のままのカンジだけど。
 春の柔らかな陽の光が木蓮の花の間を通って彼らに光と影のマーブル模様を描く。
 ああ、これは夢だ。
 なんて幸せな夢だろう。

 過去や未来や願望や、見たことのあるもの想像でしか見たことのないもの。色んなものが混ざり合った夢。

 俺たちの幸せな記憶。
 ある筈のない思い出。


♢♦︎♢♦︎♢♦︎


 何かがふにふにと頬を押す。
 髪をくすぐる柔らかな風と甘い好い香りを感じる。
 花の香り。
 俺は大きく息を吸い込み、目覚めた。


 俺はまだ夢を見てる。
 寒くない。
 ヒヨリが心配そうにこちらを覗き込んでいる。その後ろにライトが居て、俺を挟んで二人と反対側にリロイが居る。
 もう一度思う。なんて幸せな夢だろう。
 ヒヨリは何故か白い兎を抱っこしている。可愛いを上書きする演出だろうか?
「そこまで可愛いのを強調しなくても」
 あれ? でも何か変。ヒヨリ大きいし。異世界で離れ離れになっている間に俺を追い越して大きくなった。
 あれ? そんでもって黒猫だ。ヒヨリが抱っこしている白兎の他に黒猫が居て、俺の頬をふにふに押していたのはコイツらしい。半身起こした俺の膝の上に乗っかっている。いつも鳴き声でしかその存在を示さなかったのに。今まで居るか居ないか分からなかったのに、はっきりとしてそれで消えてなくならない。
 それに、え? ライト? リロイ? 誰? 知ってる。
 夢じゃない。現実だ。
 よくある話では死ぬ様な目に遭って死んだと思ってとても美しい場所で目覚めて天国かと思ったらそうでなかったみたいな展開。だからこれも天国じゃないんだろう。でも空気が今まで感じた事がないくらい綺麗でこちらまで浄化されるようだ。甘い香りも柔らかな風も光も。
 俺の寝転がってるのも花の上で、見たことのない可愛らしい小さな花々と葉っぱが絨毯のようにあたり一面に広がっている。単に俺が知らない花なのかもしれないが。

 この現実はまるで夢の様だ。
 だってリロイの向こうに浮かんでいるのはどう見ても地球だ。
 しかも、二つある。

「やあ、目を覚ましたね」
 声のする方を見ると、グエンとキールと彼らに挟まれた人が居た。
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