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本編
第七話 一騒動の後は家族団らん
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レイチェルは心底腹を立てていた。
「謝って下さい! ブラッドさんは十一年間、村の守護者でした! 今まで村が平和だったのも、ブラッドさんが村を巡回してくれていたからです! 魔物の群れが村を襲う前に、追い払ってくれていたからです! なんにもなかったんじゃありません! なんにも起こらないようにして下さっていました! 村長さんも聖神官様もご存じよ! 謝って!」
村の者達の視線がブラッドに集まった。
「え……」
「本当か?」
ブラッドが面倒臭そうに答えた。
「定期的に俺の血の匂いをつけておくと、下級魔獣くらいは追い払えるんだ」
そこで村人達ははっとなる。
「あ、じゃあ……お前が定期的に村をうろうろしていたのは……」
「マーキング?」
「マーキング言うな。犬のしょんべんみたいだ」
ブラッドの眉間に皺が寄る。まぁ、意味は似たようなもんだが、とブラッドが思ったが言わない。聖職者の服を身に着けたレイチェルが詰め寄れば、セイラはその神々しい姿に気圧された。
「で、でも、彼はヴァンパイア……」
セイラが反論しようとするも、レイチェルが遮った。
「ええ、ヴァンパイアです! 知っていますよ、そんなこと。彼とは十一年間、ご近所さんでしたから! ブラッドさんは毎朝みんなにおはようって挨拶してくれます! 教会でバザーを開くと、必ず来て下さいます! 村のお掃除も手伝ってくれます! 教会の修繕も! 誰もが面倒くさがることを彼は進んでやってくれます! 村のお年寄りに人気があるのはそのせいです!」
セイラはぽかんとし、次いで嘲笑った。
「あ、はは、うそうそうそ、何それ? お人好しのヴァンパイア? 笑えるわ! マジ受けるぅ」
一方、クリフは顔色を変えた。
「お、お前まで……何でだよ? お前は俺を好きだったろ? そんなにそいつがいいか? そいつはおべっかを使っただけだ。お前に気があるみたいだから……」
「おべっかでもなんでも! あれだけのことをして下されば、感謝しかありません!」
「もう心変わりか! 尻軽だぞ!」
「クリフに言われたくないわ!」
レイチェルは声を荒げた。
「夏祭りにはあなたが村に帰ってくるって、ご両親から聞かされて! 私、私精一杯お洒落して、あなたが帰ってくるのを待ってたのよ? 喜んでもらいたくて! その私の気持ちを踏みにじったじゃない!」
じわりとレイチェルの目元に涙が浮かぶ。
綺麗になったねって言ってもらいたくて……
大好きだよって言葉を期待して……
思い出のマーガレットのブローチまでつけていったのに、それにも無反応……
レイチェルはぎゅっと杖を持つ手に力を込めた。
「結婚の話を無かったことにしてって言われた時の私の気持ちが、クリフに分かるの? 嬉しそうに他の女の人の肩を抱いて! それでも! それでも、私は許したわ! あなたが好きだったから! 幸せになって欲しかったから! なのに、なのにどうして、私を責めるのよ! クリフは本当に私が好きだったの?」
珍しいレイチェルの猛攻に、クリフはタジタジだ。普段のレイチェルは口数少なく大人しい。溌剌としたエイミーのせいで、よけいにそう見えてしまうのかもしれないけれど。
「いや、だって……」
「ブラッドさんは良い人よ! なんの証拠もなく、村を襲わせたなんて、軽々しく口にしないで! 彼が今までどれだけ村に貢献してくれていたか、知りもしないで酷いわ! 言いがかりもいいところよ! 彼に謝って!」
まるで毛を逆立てた猫のよう……
そこに割って入ったのがセイラだ。あははと心底おかしそうである。
「あはは、ああ、もう、いいわ、クリフ。もう、止めましょう? ここは彼女の気持ちを汲んであげましょうよ。確かに証拠はないんだし、あのヴァンパイアが来てくれて、みんなが助かったことには間違いないでしょう?」
「でも……」
「あなたに振られて、彼女はきっと寂しいのよ。だから、ね?」
不満げなクリフの手に、セイラはそっと自分の手を重ね、熱っぽく囁く。私達だけ幸せになるなんて、気が引けるわ。そうじゃない? と……
「あ、ああ、そうだ、な……」
クリフがのろのろと言う。不承不承、そんな感じだったが、悪かった、クリフはそう言って引き下がった。セイラが笑う。
「私からも謝るわ、レイチェル。本当にごめんなさい。クリフの事を許してあげて? クリフは友人として、あなたを心配したんだと思うの。それだけよ、他意はないわ? あなた達の仲を邪魔するつもりなんてまったくないから、安心して?」
友人として……
レイチェルはきゅっと唇を噛みしめた。
クリフはあなたを愛しているわけじゃないわ、勘違いしないで? そんな風に言われたかのよう。わざわざ言葉にしなくても、十分、今の彼の態度に表れていると思うのに、どこまで彼女はこちらを牽制したら気が済むのだろう?
気落ちするレイチェルの前に出たのは、ブラッドだった。
「許してあげて、なんて、お前が言う台詞じゃねぇよ。この寝取り女が。レイチェルに話しかけるな。お前の性根の悪さがうつる」
セイラがいきり立った。
「な……なんて言い草なのよ! この不細工! せっかく庇ってあげたのに!」
「その言い方もどうかと思いますが……」
進み出たのはレイチェルの父親のベンである。ふっくらとした丸顔の中年男性だ。事情を知っているだけにその表情は険しい。セイラにもクリフにも向ける目は冷ややかだ。
「フォークスさんは村の大事な守護者です。彼を侮辱する言葉は慎んでいただきたい。あなたもたった今助けられたばかりではないですか。そして私の娘にも世話になった。違いますか?」
ベンにそう諭され、セイラは面白くなさげだ。
「では、失礼させていただきます。クリフ君とどうぞお幸せに?」
嫌みたっぷりにベンはそう口にし、背を向ける。
「レイチェル、ほら、帰ろう、疲れたろ?」
「いいえ、パパ、平気……きゃ?」
最後が悲鳴になったのは、ブラッドがレイチェルを抱き上げたからだ。そのまま歩き出したブラッドの背を、エイミーが追う。
「ちょ、ちょっと、あんた、なにレイチェルをお姫様抱っこしてるのよ?」
くいくいエイミーがブラッドの服を引っ張ったが、彼は素知らぬふりだ。
「疲れてるかと思って……」
ブラッドがしれっとそう口にし、エイミーがあんぐり口を開けた。
「って、あんた、そのまんまレイチェルを家まで送るつもりなの?」
「いえ、あの、大丈夫よ、ブラッドさん。私、歩けます、から……」
降ろしてと、レイチェルがそう口にするも、完全に無視されてしまう。その上、何故か猫獣人のニーナと女剣士のジョージアナまでもがついてきた。
「あちしもレイチェルと一緒に行くにゃー!」
「ちょ、待て、ニーナ!」
「あ、ねーちゃん、待ってよー。俺も帰る」
慌てて追いかけたのは、レイチェルの弟のチャドである。十歳のやんちゃ盛りだ。横手に並んだレイチェルの父親が笑った。
「いやぁ、フォークスさん、改めてお礼をいいます。助けて下さってどうもありがとう」
つやつやの丸顔には、人の良さがそのままにじみ出ている。
「ええ、貴方が来て下さって本当に助かりましたわ」
ほほほとレイチェルの母親が笑う。こちらはほっそりとした美人である。
◇◇◇
ブラッドはレイチェルの家族を見て、目を細めた。なんとも懐かしい顔ぶれだ。運命の女神も粋なことをする。そう思った。全員、前世でのレイチェルの家族である。
十六歳の彼女の死を全員が悲しんだからか? もう一度会えるように、取り計らったのかも……。俺には神を敬うなんて気持ちはこれっぽっちもないけど、こういうところだけは、すげぇなと思う。俺だったらやらない。自分の興味のあること以外は全部蚊帳の外だから。生まれ変わったレイチェルに出会って彼女の家族と会うまで、こいつらの事なんてすっぱり忘れてた。
で、今世のレイチェルの家族を見て、内心のけぞったか。
家族ぐるみで転生しやがったと……
ほんと、運命の女神は優しいんだか鬼畜なんだかわかんねぇな……
そして本日。レイチェルの家に辿り着き、彼女をソファに降ろしたブラッドは、その場でばたんと倒れた。空腹で……
あのくそ女神一発殴らせろぉおおおおお! いつまでこの断食続くんだ!
そんな絶叫が、彼の心の中で木霊した。
「謝って下さい! ブラッドさんは十一年間、村の守護者でした! 今まで村が平和だったのも、ブラッドさんが村を巡回してくれていたからです! 魔物の群れが村を襲う前に、追い払ってくれていたからです! なんにもなかったんじゃありません! なんにも起こらないようにして下さっていました! 村長さんも聖神官様もご存じよ! 謝って!」
村の者達の視線がブラッドに集まった。
「え……」
「本当か?」
ブラッドが面倒臭そうに答えた。
「定期的に俺の血の匂いをつけておくと、下級魔獣くらいは追い払えるんだ」
そこで村人達ははっとなる。
「あ、じゃあ……お前が定期的に村をうろうろしていたのは……」
「マーキング?」
「マーキング言うな。犬のしょんべんみたいだ」
ブラッドの眉間に皺が寄る。まぁ、意味は似たようなもんだが、とブラッドが思ったが言わない。聖職者の服を身に着けたレイチェルが詰め寄れば、セイラはその神々しい姿に気圧された。
「で、でも、彼はヴァンパイア……」
セイラが反論しようとするも、レイチェルが遮った。
「ええ、ヴァンパイアです! 知っていますよ、そんなこと。彼とは十一年間、ご近所さんでしたから! ブラッドさんは毎朝みんなにおはようって挨拶してくれます! 教会でバザーを開くと、必ず来て下さいます! 村のお掃除も手伝ってくれます! 教会の修繕も! 誰もが面倒くさがることを彼は進んでやってくれます! 村のお年寄りに人気があるのはそのせいです!」
セイラはぽかんとし、次いで嘲笑った。
「あ、はは、うそうそうそ、何それ? お人好しのヴァンパイア? 笑えるわ! マジ受けるぅ」
一方、クリフは顔色を変えた。
「お、お前まで……何でだよ? お前は俺を好きだったろ? そんなにそいつがいいか? そいつはおべっかを使っただけだ。お前に気があるみたいだから……」
「おべっかでもなんでも! あれだけのことをして下されば、感謝しかありません!」
「もう心変わりか! 尻軽だぞ!」
「クリフに言われたくないわ!」
レイチェルは声を荒げた。
「夏祭りにはあなたが村に帰ってくるって、ご両親から聞かされて! 私、私精一杯お洒落して、あなたが帰ってくるのを待ってたのよ? 喜んでもらいたくて! その私の気持ちを踏みにじったじゃない!」
じわりとレイチェルの目元に涙が浮かぶ。
綺麗になったねって言ってもらいたくて……
大好きだよって言葉を期待して……
思い出のマーガレットのブローチまでつけていったのに、それにも無反応……
レイチェルはぎゅっと杖を持つ手に力を込めた。
「結婚の話を無かったことにしてって言われた時の私の気持ちが、クリフに分かるの? 嬉しそうに他の女の人の肩を抱いて! それでも! それでも、私は許したわ! あなたが好きだったから! 幸せになって欲しかったから! なのに、なのにどうして、私を責めるのよ! クリフは本当に私が好きだったの?」
珍しいレイチェルの猛攻に、クリフはタジタジだ。普段のレイチェルは口数少なく大人しい。溌剌としたエイミーのせいで、よけいにそう見えてしまうのかもしれないけれど。
「いや、だって……」
「ブラッドさんは良い人よ! なんの証拠もなく、村を襲わせたなんて、軽々しく口にしないで! 彼が今までどれだけ村に貢献してくれていたか、知りもしないで酷いわ! 言いがかりもいいところよ! 彼に謝って!」
まるで毛を逆立てた猫のよう……
そこに割って入ったのがセイラだ。あははと心底おかしそうである。
「あはは、ああ、もう、いいわ、クリフ。もう、止めましょう? ここは彼女の気持ちを汲んであげましょうよ。確かに証拠はないんだし、あのヴァンパイアが来てくれて、みんなが助かったことには間違いないでしょう?」
「でも……」
「あなたに振られて、彼女はきっと寂しいのよ。だから、ね?」
不満げなクリフの手に、セイラはそっと自分の手を重ね、熱っぽく囁く。私達だけ幸せになるなんて、気が引けるわ。そうじゃない? と……
「あ、ああ、そうだ、な……」
クリフがのろのろと言う。不承不承、そんな感じだったが、悪かった、クリフはそう言って引き下がった。セイラが笑う。
「私からも謝るわ、レイチェル。本当にごめんなさい。クリフの事を許してあげて? クリフは友人として、あなたを心配したんだと思うの。それだけよ、他意はないわ? あなた達の仲を邪魔するつもりなんてまったくないから、安心して?」
友人として……
レイチェルはきゅっと唇を噛みしめた。
クリフはあなたを愛しているわけじゃないわ、勘違いしないで? そんな風に言われたかのよう。わざわざ言葉にしなくても、十分、今の彼の態度に表れていると思うのに、どこまで彼女はこちらを牽制したら気が済むのだろう?
気落ちするレイチェルの前に出たのは、ブラッドだった。
「許してあげて、なんて、お前が言う台詞じゃねぇよ。この寝取り女が。レイチェルに話しかけるな。お前の性根の悪さがうつる」
セイラがいきり立った。
「な……なんて言い草なのよ! この不細工! せっかく庇ってあげたのに!」
「その言い方もどうかと思いますが……」
進み出たのはレイチェルの父親のベンである。ふっくらとした丸顔の中年男性だ。事情を知っているだけにその表情は険しい。セイラにもクリフにも向ける目は冷ややかだ。
「フォークスさんは村の大事な守護者です。彼を侮辱する言葉は慎んでいただきたい。あなたもたった今助けられたばかりではないですか。そして私の娘にも世話になった。違いますか?」
ベンにそう諭され、セイラは面白くなさげだ。
「では、失礼させていただきます。クリフ君とどうぞお幸せに?」
嫌みたっぷりにベンはそう口にし、背を向ける。
「レイチェル、ほら、帰ろう、疲れたろ?」
「いいえ、パパ、平気……きゃ?」
最後が悲鳴になったのは、ブラッドがレイチェルを抱き上げたからだ。そのまま歩き出したブラッドの背を、エイミーが追う。
「ちょ、ちょっと、あんた、なにレイチェルをお姫様抱っこしてるのよ?」
くいくいエイミーがブラッドの服を引っ張ったが、彼は素知らぬふりだ。
「疲れてるかと思って……」
ブラッドがしれっとそう口にし、エイミーがあんぐり口を開けた。
「って、あんた、そのまんまレイチェルを家まで送るつもりなの?」
「いえ、あの、大丈夫よ、ブラッドさん。私、歩けます、から……」
降ろしてと、レイチェルがそう口にするも、完全に無視されてしまう。その上、何故か猫獣人のニーナと女剣士のジョージアナまでもがついてきた。
「あちしもレイチェルと一緒に行くにゃー!」
「ちょ、待て、ニーナ!」
「あ、ねーちゃん、待ってよー。俺も帰る」
慌てて追いかけたのは、レイチェルの弟のチャドである。十歳のやんちゃ盛りだ。横手に並んだレイチェルの父親が笑った。
「いやぁ、フォークスさん、改めてお礼をいいます。助けて下さってどうもありがとう」
つやつやの丸顔には、人の良さがそのままにじみ出ている。
「ええ、貴方が来て下さって本当に助かりましたわ」
ほほほとレイチェルの母親が笑う。こちらはほっそりとした美人である。
◇◇◇
ブラッドはレイチェルの家族を見て、目を細めた。なんとも懐かしい顔ぶれだ。運命の女神も粋なことをする。そう思った。全員、前世でのレイチェルの家族である。
十六歳の彼女の死を全員が悲しんだからか? もう一度会えるように、取り計らったのかも……。俺には神を敬うなんて気持ちはこれっぽっちもないけど、こういうところだけは、すげぇなと思う。俺だったらやらない。自分の興味のあること以外は全部蚊帳の外だから。生まれ変わったレイチェルに出会って彼女の家族と会うまで、こいつらの事なんてすっぱり忘れてた。
で、今世のレイチェルの家族を見て、内心のけぞったか。
家族ぐるみで転生しやがったと……
ほんと、運命の女神は優しいんだか鬼畜なんだかわかんねぇな……
そして本日。レイチェルの家に辿り着き、彼女をソファに降ろしたブラッドは、その場でばたんと倒れた。空腹で……
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