18 / 43
本編
第十七話 第一王子の正体は
しおりを挟む
「どういうことだ!」
レイチェルへ贈った贈り物が、自室へ送り返されてきた第二王子のランドールは、激高した。男らしいハンサムな顔を怒りに歪めている。
「それが、その……陛下の指示、です。途中で止められまして……」
ランドールの側近が言う。
「父の? どういうことだ? あのくそいまいましい兄が、父に何か吹き込んだのか?」
ランドールは第一王子のジュリアンと王位継承を巡って争っている。
いや、実際には既に第一王子は立太子し、王太子として政務に携わっているので、彼の立場はどうしたってスペアなのだが……
ランドールはぎりぎりと奥歯を噛みしめた。
それでも聖印の乙女と結婚したとなれば、圧倒的有利な立場に立てる。多くの貴族が自分を支援するに違いない。形勢逆転も可能だとランドールは考え、聖印の乙女の情報を掴んだ時から、彼女を手に入れようと誰よりも早く動いたのに、それを邪魔され、ランドールはこれ以上無いほど腹を立てていた。ガシャンと傍にあった花瓶を叩き落として、割った。
「あの、むさいドワーフが!」
自分の兄を罵るときのランドールの常套句である。そう、容姿端麗な王族の中にあって、ひときわ異質な存在、それが兄である第一王子のジュリアンだ。なにせ、むさい。十八才の青年だというのに、もっさりとした髭で覆われているせいか、四十すぎの中年にしか見えない。
それでいて……それでいて、何故かあいつは民衆に人気がある! 子供に好かれる! 政務もバリバリこなし、計算が正確無比! そして、やたらと強い! 素手で魔獣を殺った時は……いや、よそう。あれは悪夢だ。
ランドールはふうっと大きく息を吐き出す。
とにかく、あいつには優雅さの欠片もない! 貴婦人には不人気だ。そう、兄上は不人気なんだ! あんな、あんなむさい男がモテてたまるか! なのになのになのに!
ダンダンダンとランドールはテーブルを叩く。
隣国の美姫が! 美の女神に愛された姫とまで言わしめた絶世の美女が! 兄上に一目惚れするなんて、ありえなああああああい! 速攻で婚約だと? 隣国の美姫は私だって目をつけていたのに! くそっ! くそっ! くそっ!
「あの、落ち着いてください、ランドール王子殿下。その、今回のは事情が少々異なりまして」
「どんな事情だ!」
八つ当たり気味にランドールが噛み付く。
「聖印の乙女にはもう、婚約者がいるそうです」
側近の言葉にランドールは目を剥いた。
「そんなもの、排除しろ! 平民ごときが大きな面をするなと!」
「いえ、相手は平民ではなくて、ですね……」
側近が言いにくそうに進言し、ランドールが眉をひそめた。
「貴族なのか?」
「もっと大物です。四大英雄の一人、です」
「はあ? まさか大魔法士アウグストか? あれが聖印の乙女を娶りたいと? 色ぼけもいい加減にしろと言え! あいつ、見た目若いが二百才以上のじじぃだろーが!」
「いえ、あの……お言葉ですが、ハーフエルフで二百才は青年ですよ、殿下。平均寿命が五百才以上ですから。ではなくて、ですね。もう一人の人外です。魔王討伐に参加したヴァンパイアですよ。彼が聖印の乙女を妻にと望みまして、陛下はそれをお受けになりました……」
ランドールがぽかんと口を開けた。
「は? ヴァンパイア? 魔物、だろう?」
「ええ、そうですね?」
「待て待て待て! 父上は一体何を考えているんだ! 大魔法士アウグストよりありえない! 魔物じゃないか! なのに何故、父は聖印の乙女との結婚を認めたのだ? 汚らわしいヴァンパイアだぞ? そんなものに聖印の乙女をくれてやるのか? 聖印の乙女は国宝だというのに! 貴族どもが、いや、神官どももこぞって反対する!」
ランドールが目の前のテーブルをバンッと叩き、側近が冷や汗をかきながら進言する。
「それが、その、例のヴァンパイアは、魔王討伐の報酬を受け取っていないそうです。それで、ですね、彼はその報酬を一つ王家に要求する事が出来、今回、彼は聖印の乙女を望みました。とにかく、陛下が認めた以上、覆すことは不可能かと思われます。なので諦めた方が……」
ランドールが再び激高する。
「諦められるか! いっそそのいまいましいヴァンパイアを暗殺しろ!」
「む、むむむむむ無茶言わないで下さい! 出来ません!」
「たかが魔物だろうが!」
「殿下、お忘れですか? たかが魔物ではありません! 彼は四大英雄です! 魔王を倒したんですよ、あの魔王を! 誰がかなうって言うんですか! それこそ勇者でなければ歯が立ちません! 返り討ちにされます!」
むぅっとランドールは唸る。
「……勇者は見付かったのか?」
「いえ、それがまだ……聖印を持つ男子を捜し回っていますが、未だに朗報はありません」
二百年前に勇者が手にしていた剣が、突如、雷光のように眩く輝いた。
それが今から十八年前の事で、勇者の蘇りを察知した神殿が、赤子を中心に聖印を持つ男児を探させたが、いまだに見付かっていない。戦神テュールの聖印は剣だ。剣の形の聖印が体にあれば、直ぐに分かりそうだが、誰も名乗り出ない。名乗り出る気がないのか……
そこでふと、ランドールは思い立つ。
「そう言えば、勇者に似た男がいたな?」
「ええ、はい、容姿はそっくりですね。名前は確か、クリフ・ハントでしたか? 騎士希望の若者で、今年卒業予定です。周囲にいる者達に、勇者様の生まれ変わりだともてはやされているようですが、残念ながら聖印は持っていないようですので、恐らく違うのではないかと……他人のそら似、ですかね?」
ふむ……
「そいつに一度会ってみたい。ここへ呼べ」
「良いのですが? 平民ですよ?」
「構わない。何かに使えるかも知れない」
そう、勇者が見付からない以上、そいつを勇者に仕立て上げる事が出来るかも知れない。うまく誘導すれば、あの邪魔なヴァンパイアを葬る手伝いをさせられる。仮に勇者モドキが失敗したしても、私は痛くも痒くもないし、利用できる者はとことん利用した方がいい。
ランドールはそう考え、にんまりとほくそ笑み、手にしたワインを飲み干した。
◇◇◇
エイミーが口にした飲料をぶっと吹き出した。
今、ブラッドとレイチェルがいる場所は王都の喫茶室だ。しっかり猫娘のニーナと女剣士のジョージアナもいる。これから一緒に観光をしようという段になって、レイチェルから聞かされた話は、エイミーにとって寝耳に水だったようだ。
「はいぃ? レイチェルがブラッドと婚約? なんでいきなりそーなるのよ? あぁ! まさかまさか! あんたレイチェルを手込めに……」
「していない!」
すかさずブラッドが身を乗り出し、その迫力にエイミーが引いた。
「……あの、ちょっと……本気で怒らないでよ。目がマジで怖いわ」
ブラッドがにたぁと笑えば、さらにエイミーは身を引く。
「ふ、ふふ……言っていい冗談と悪い冗談があるんでな。俺がどんだけ自制してるか知ってるか? あ? レイチェルを泣かさないよう、我慢して我慢して我慢しているところなのに、おちょくられるとほんっと腹が立つんだよ」
エイミーが降参というように両手を挙げた。
「分かった、悪かったわ。で、どうして婚約なんて事になったのよ?」
「それが……」
レイチェルがランドール王子との一件を話すと、エイミーが鼻白んだ。
「は? なんで王子なんてご大層な奴が、レイチェルに目をつけたわけ? 聖女候補だから?」
レイチェルがそろりと言う。
「……私が聖印の乙女、だから……」
「はい?」
「私は聖印の乙女、なの」
レイチェルの告白に一瞬、しんっと静まりかえる。
レイチェルへ贈った贈り物が、自室へ送り返されてきた第二王子のランドールは、激高した。男らしいハンサムな顔を怒りに歪めている。
「それが、その……陛下の指示、です。途中で止められまして……」
ランドールの側近が言う。
「父の? どういうことだ? あのくそいまいましい兄が、父に何か吹き込んだのか?」
ランドールは第一王子のジュリアンと王位継承を巡って争っている。
いや、実際には既に第一王子は立太子し、王太子として政務に携わっているので、彼の立場はどうしたってスペアなのだが……
ランドールはぎりぎりと奥歯を噛みしめた。
それでも聖印の乙女と結婚したとなれば、圧倒的有利な立場に立てる。多くの貴族が自分を支援するに違いない。形勢逆転も可能だとランドールは考え、聖印の乙女の情報を掴んだ時から、彼女を手に入れようと誰よりも早く動いたのに、それを邪魔され、ランドールはこれ以上無いほど腹を立てていた。ガシャンと傍にあった花瓶を叩き落として、割った。
「あの、むさいドワーフが!」
自分の兄を罵るときのランドールの常套句である。そう、容姿端麗な王族の中にあって、ひときわ異質な存在、それが兄である第一王子のジュリアンだ。なにせ、むさい。十八才の青年だというのに、もっさりとした髭で覆われているせいか、四十すぎの中年にしか見えない。
それでいて……それでいて、何故かあいつは民衆に人気がある! 子供に好かれる! 政務もバリバリこなし、計算が正確無比! そして、やたらと強い! 素手で魔獣を殺った時は……いや、よそう。あれは悪夢だ。
ランドールはふうっと大きく息を吐き出す。
とにかく、あいつには優雅さの欠片もない! 貴婦人には不人気だ。そう、兄上は不人気なんだ! あんな、あんなむさい男がモテてたまるか! なのになのになのに!
ダンダンダンとランドールはテーブルを叩く。
隣国の美姫が! 美の女神に愛された姫とまで言わしめた絶世の美女が! 兄上に一目惚れするなんて、ありえなああああああい! 速攻で婚約だと? 隣国の美姫は私だって目をつけていたのに! くそっ! くそっ! くそっ!
「あの、落ち着いてください、ランドール王子殿下。その、今回のは事情が少々異なりまして」
「どんな事情だ!」
八つ当たり気味にランドールが噛み付く。
「聖印の乙女にはもう、婚約者がいるそうです」
側近の言葉にランドールは目を剥いた。
「そんなもの、排除しろ! 平民ごときが大きな面をするなと!」
「いえ、相手は平民ではなくて、ですね……」
側近が言いにくそうに進言し、ランドールが眉をひそめた。
「貴族なのか?」
「もっと大物です。四大英雄の一人、です」
「はあ? まさか大魔法士アウグストか? あれが聖印の乙女を娶りたいと? 色ぼけもいい加減にしろと言え! あいつ、見た目若いが二百才以上のじじぃだろーが!」
「いえ、あの……お言葉ですが、ハーフエルフで二百才は青年ですよ、殿下。平均寿命が五百才以上ですから。ではなくて、ですね。もう一人の人外です。魔王討伐に参加したヴァンパイアですよ。彼が聖印の乙女を妻にと望みまして、陛下はそれをお受けになりました……」
ランドールがぽかんと口を開けた。
「は? ヴァンパイア? 魔物、だろう?」
「ええ、そうですね?」
「待て待て待て! 父上は一体何を考えているんだ! 大魔法士アウグストよりありえない! 魔物じゃないか! なのに何故、父は聖印の乙女との結婚を認めたのだ? 汚らわしいヴァンパイアだぞ? そんなものに聖印の乙女をくれてやるのか? 聖印の乙女は国宝だというのに! 貴族どもが、いや、神官どももこぞって反対する!」
ランドールが目の前のテーブルをバンッと叩き、側近が冷や汗をかきながら進言する。
「それが、その、例のヴァンパイアは、魔王討伐の報酬を受け取っていないそうです。それで、ですね、彼はその報酬を一つ王家に要求する事が出来、今回、彼は聖印の乙女を望みました。とにかく、陛下が認めた以上、覆すことは不可能かと思われます。なので諦めた方が……」
ランドールが再び激高する。
「諦められるか! いっそそのいまいましいヴァンパイアを暗殺しろ!」
「む、むむむむむ無茶言わないで下さい! 出来ません!」
「たかが魔物だろうが!」
「殿下、お忘れですか? たかが魔物ではありません! 彼は四大英雄です! 魔王を倒したんですよ、あの魔王を! 誰がかなうって言うんですか! それこそ勇者でなければ歯が立ちません! 返り討ちにされます!」
むぅっとランドールは唸る。
「……勇者は見付かったのか?」
「いえ、それがまだ……聖印を持つ男子を捜し回っていますが、未だに朗報はありません」
二百年前に勇者が手にしていた剣が、突如、雷光のように眩く輝いた。
それが今から十八年前の事で、勇者の蘇りを察知した神殿が、赤子を中心に聖印を持つ男児を探させたが、いまだに見付かっていない。戦神テュールの聖印は剣だ。剣の形の聖印が体にあれば、直ぐに分かりそうだが、誰も名乗り出ない。名乗り出る気がないのか……
そこでふと、ランドールは思い立つ。
「そう言えば、勇者に似た男がいたな?」
「ええ、はい、容姿はそっくりですね。名前は確か、クリフ・ハントでしたか? 騎士希望の若者で、今年卒業予定です。周囲にいる者達に、勇者様の生まれ変わりだともてはやされているようですが、残念ながら聖印は持っていないようですので、恐らく違うのではないかと……他人のそら似、ですかね?」
ふむ……
「そいつに一度会ってみたい。ここへ呼べ」
「良いのですが? 平民ですよ?」
「構わない。何かに使えるかも知れない」
そう、勇者が見付からない以上、そいつを勇者に仕立て上げる事が出来るかも知れない。うまく誘導すれば、あの邪魔なヴァンパイアを葬る手伝いをさせられる。仮に勇者モドキが失敗したしても、私は痛くも痒くもないし、利用できる者はとことん利用した方がいい。
ランドールはそう考え、にんまりとほくそ笑み、手にしたワインを飲み干した。
◇◇◇
エイミーが口にした飲料をぶっと吹き出した。
今、ブラッドとレイチェルがいる場所は王都の喫茶室だ。しっかり猫娘のニーナと女剣士のジョージアナもいる。これから一緒に観光をしようという段になって、レイチェルから聞かされた話は、エイミーにとって寝耳に水だったようだ。
「はいぃ? レイチェルがブラッドと婚約? なんでいきなりそーなるのよ? あぁ! まさかまさか! あんたレイチェルを手込めに……」
「していない!」
すかさずブラッドが身を乗り出し、その迫力にエイミーが引いた。
「……あの、ちょっと……本気で怒らないでよ。目がマジで怖いわ」
ブラッドがにたぁと笑えば、さらにエイミーは身を引く。
「ふ、ふふ……言っていい冗談と悪い冗談があるんでな。俺がどんだけ自制してるか知ってるか? あ? レイチェルを泣かさないよう、我慢して我慢して我慢しているところなのに、おちょくられるとほんっと腹が立つんだよ」
エイミーが降参というように両手を挙げた。
「分かった、悪かったわ。で、どうして婚約なんて事になったのよ?」
「それが……」
レイチェルがランドール王子との一件を話すと、エイミーが鼻白んだ。
「は? なんで王子なんてご大層な奴が、レイチェルに目をつけたわけ? 聖女候補だから?」
レイチェルがそろりと言う。
「……私が聖印の乙女、だから……」
「はい?」
「私は聖印の乙女、なの」
レイチェルの告白に一瞬、しんっと静まりかえる。
30
あなたにおすすめの小説
【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。
大人になったオフェーリア。
ぽんぽこ狸
恋愛
婚約者のジラルドのそばには王女であるベアトリーチェがおり、彼女は慈愛に満ちた表情で下腹部を撫でている。
生まれてくる子供の為にも婚約解消をとオフェーリアは言われるが、納得がいかない。
けれどもそれどころではないだろう、こうなってしまった以上は、婚約解消はやむなしだ。
それ以上に重要なことは、ジラルドの実家であるレピード公爵家とオフェーリアの実家はたくさんの共同事業を行っていて、今それがおじゃんになれば、オフェーリアには補えないほどの損失を生むことになる。
その点についてすぐに確認すると、そういう所がジラルドに見離される原因になったのだとベアトリーチェは怒鳴りだしてオフェーリアに掴みかかってきた。
その尋常では無い様子に泣き寝入りすることになったオフェーリアだったが、父と母が設定したお見合いで彼女の騎士をしていたヴァレントと出会い、とある復讐の方法を思いついたのだった。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
どなたか私の旦那様、貰って下さいませんか?
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
私の旦那様は毎夜、私の部屋の前で見知らぬ女性と情事に勤しんでいる、だらしなく恥ずかしい人です。わざとしているのは分かってます。私への嫌がらせです……。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
政略結婚で、離縁出来ないけど離縁したい。
無類の女好きの従兄の侯爵令息フェルナンドと伯爵令嬢のロゼッタは、結婚をした。毎晩の様に違う女性を屋敷に連れ込む彼。政略結婚故、愛妾を作るなとは思わないが、せめて本邸に連れ込むのはやめて欲しい……気分が悪い。
彼は所謂美青年で、若くして騎士団副長であり兎に角モテる。結婚してもそれは変わらず……。
ロゼッタが夜会に出れば見知らぬ女から「今直ぐフェルナンド様と別れて‼︎」とワインをかけられ、ただ立っているだけなのに女性達からは終始凄い形相で睨まれる。
居た堪れなくなり、広間の外へ逃げれば元凶の彼が見知らぬ女とお楽しみ中……。
こんな旦那様、いりません!
誰か、私の旦那様を貰って下さい……。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
不実なあなたに感謝を
黒木メイ
恋愛
王太子妃であるベアトリーチェと踊るのは最初のダンスのみ。落ち人のアンナとは望まれるまま何度も踊るのに。王太子であるマルコが誰に好意を寄せているかははたから見れば一目瞭然だ。けれど、マルコが心から愛しているのはベアトリーチェだけだった。そのことに気づいていながらも受け入れられないベアトリーチェ。そんな時、マルコとアンナがとうとう一線を越えたことを知る。――――不実なあなたを恨んだ回数は数知れず。けれど、今では感謝すらしている。愚かなあなたのおかげで『幸せ』を取り戻すことができたのだから。
※異世界転移をしている登場人物がいますが主人公ではないためタグを外しています。
※曖昧設定。
※一旦完結。
※性描写は匂わせ程度。
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載予定。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる