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1章 俺様エルフに拾われました

魔法の特訓をしましょう2

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その後、あたしは役立たずのレッテルを貼られないよう、手、足、胸など覆うイメージを変えてみた。
手なら手袋、足なら靴下、腹巻やマフラーなどの温かい防寒具で覆われているイメージが大活躍した。
・・・ただ、じんわり温めてくれるものばかりなので、覆いきるまでに時間がかかるのが問題であり課題だ。
短時間でできるようになるために別のものをイメージした方が良いかもしれない。

「あ・・・れ・・?」

急な眩暈で倒れそうになる。身体に力が入らない・・・。

「あぁ、これだけ魔力循環を繰り返していれば枯渇状態にもなるか・・・」

ブレスレットを見ると、赤に近いオレンジだった。魔力がなくなる=死ぬということを感覚的に理解し、今自分が死にかけている状況がものすごく怖く感じた。

「あ・・・ぅ」

この世界で初めて目が覚めた時の、痛みと共に味わった感覚を思い出す。
声が出ない、力が入らない、このまま意識も失ってしまったらあたしは・・・

「んっ」

エルのキスで正気に戻った。
優しく労わるような甘いキス。それがだんだん舌を絡めて激しくなる。
苦しいけど、より甘さを感じて、少しずつあたしに与える魔力を増やしてくれているんだと嬉しくなる。

「んっ・・はぁっ・・・んんっ」

体内にエルの魔力が増えたことで身体は少し楽になったけど、今度は激しく甘すぎるキスにより腰砕け状態で力が入らない・・・。
エルのキスが上手すぎるのか、あたしが感じすぎるのか・・・。
どっちにしたってちょっといたたまれないやら恥ずかしいやらで顔が熱い。

「んっ・・・とりあえずオレンジになったな。歩けるか?」
「・・・無理。歩けそうにないデス・・・」
「ふっ・・・歩けないのは魔力不足が理由ではないようだが?」

あたしを抱くときに見せるいじわるな笑み。
どくん、とこのあとに起こることを期待している自分がいる。

「もっと、欲しいか?」

何を・・・とは聞かないところがやはりいじわるだ。

「・・・エルのいじわる。・・・優しく・・してくださぃ・・・」

エルの胸に顔を埋めて、消え入りそうな声でめいいっぱいの強がりとお願いを伝えた。

エルはそっとあたしを抱きあげてそのまま自分の寝室へ向かった。
その日の魔力補給は、とろけるように甘く、とても優しいものでした・・・-
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