【本編完結済】【R18】異世界でセカンドライフ~俺様エルフに拾われました~

暁月

文字の大きさ
360 / 512
10章 延引された結婚式

幕間 初めての女子会~リンダの過去と現在 inリンダside~

しおりを挟む
※少しだけ残酷な描写があります。
  ご注意ください
ーーーーーーーーーー



あたしがアルマと出会ったのは、あたしが14歳の頃。

ある事件がきっかけだった・・・―――――





王都の大通りから少し外れた場所にある食事処、それがあたしの家だ。

お店の経営状況が悪くて、潰れる寸前のところをエリュシオン様に助けてもらい、常連さんも増えて少し店が繁盛してきたので、あたしもよく店のホールや雑用などを手伝うようになった。

元々大人しい性格じゃなくて、女ながらに威勢の良く声も大きいから周りから「もっと淑女らしく振る舞わないと嫁の貰い手がないぞ」とからかわれるのも日常茶飯事だった。


その日もいつものように「嫁の貰い手がない」とからかわれ、「俺が貰ってやる」とか常連さんと話しているのを軽く受け流しながら、昼のピークを過ぎた後いつものように店の裏に一度ゴミを出しに行った。


事件が起こったのはその時だった・・・――――――


『ふぅ~、最近は常連さんも増えてきたからゴミも重たいなぁ』

嬉しい事に店が繁盛してきて、そこそこ忙しくなってきたのを実感していた時、ガサッという音と共に人の気配がした。

『・・・ビルさん・・・?』

ビルさんはお店の常連さんの一人で、仲間4人でパーティを組んでいる冒険者だ。
お店にもそのパーティの皆で来ることが多く、あたしをからかってくる人達でもある。

『リンダ・・・オレ達、そろそろ王都から別の場所に移動する事になったんだ』
『あ、そうなんですか。寂しくなりますね』

なんの他意もなく、ただ自然に出た言葉だった。
ほんの少しだけ“常連さんが減るから売り上げが減っちゃうな”くらいの気持ちはあったが、実際に寂しい気持ちは微塵もない。
だけど、あたしの言葉をビルさんは自分の良いように解釈したらしい。

『そうだよなぁ、オレがいなくなったら寂しいよな、リンダ』
『は?』
『わかってる。普段からオレに色目使って・・・オレに嫉妬させたくて他の男にも笑顔振りまいてるんだろう?悪かったな、心配させて・・・』
『??』

言ってることが全く理解できなかった。
そして、仮にも相手は冒険者なので知らないうちにすぐそばまで来ていたビルさんに何も反応する事ができなかった。

『・・・っ』
『リンダ・・・周りはもっと淑女らしくしろって言うが、オレは元気なお前が好きだ!』
『!!!』

初めての告白ではあったけど、こんな壁際で力で押さえつけられた状態の今のあたしには、“嬉しい”や“驚き”と言った感情は一切なく、“恐怖”しか感じなかった。

『っ、ビルさんっ!放して!!』
『ははっ、今更何を照れてるんだ?お前だってオレを見てたじゃないか』
『・・・っ、ぃやぁぁぁっ!!!』

力いっぱい抵抗して相手をひっかいたりひっぱたいたりしても、たかだか14歳の小娘と成人済みの冒険者では力量の差が一目瞭然で、あたしの抵抗は虚しく気が付けばビルさんに頬を思いっきり引っぱたかれ、壁際まで吹っ飛ばされていた。
その際掴まれていたシャツが破け、ボタンが弾け飛んでしまい服としての意味がなくなっていた。

『・・・っはぁ、大人しくしていれば痛い目に遭わせるつもりもなかったのに・・・お前が悪いんだぞ、リンダ』
『・・・』

すでにパニックを起こして声すら出せないあたしは、カタカタと泣きながら身体を抱きしめ、震える事しかできない。


 痛い・・・


 助けて・・・


目の前の男は、下卑た笑みを浮かべながらまた近寄ってくる


 やめて、来ないで・・・


 来るなっ、これ以上こっちに来ないでっ!!


想い届かず、目の前まで来た男は遠慮なくあたしにまた触れようと手を伸ばす。

“もうダメだ”と、目をギュッと閉じたその時だった・・・――――――


『おじさん、何してるの?』


あたし達以外いなかったお店の裏に、突然見た事のない男の子が現れた。

『・・・坊主、ここはお前みたいなガキが来る場所じゃねぇ。とっとと・・・』
『こっちは何してるの?って聞いてるんだけど・・・あぁ、言い方を変えるよ。イイ年したおっさんその子に何してやがる?』
『『??!!』』

男の子の雰囲気が急にガラッと変わったのがあたしにもわかった。

目の前の男が気迫に負けて一瞬怯んだのもわかったから、その隙に逃げようとあたしも駆け出す・・・が、あっけなく男に捕まってしまった。

『・・・っ痛!!』
『はっ、何逃げようとしてるんだ、リンダ。・・・おいガキ、お前が動いたらコイツがどうなるか・・・――――ぎゃっ!!』

あたしを人質に取ろうとした男が脅しをかけようとした瞬間、目の前から男の子が消えたと同時に男の悲鳴が聞こえた。
意味がわからないまま目に何かを巻かれて視界が真っ暗になった後、男の悲鳴と生々しい音が聞こえる・・・

多分男の子があの男を・・・――――

さっきとは別の意味で怖くなってきた時、知っている声が聞こえてきた。

『アルマ、急にいなくなったかと思ったらここに・・・―――――一体これはなんだ?何があった?』
『・・・エリュシオン様・・・』

聞こえてきた声は、お店の窮地を救ってくれた恩人のエリュシオン様だった。
そして、男の子の名前は“アルマ”と言って、エリュシオン様の知り合いらしい。

知っている声に少し安堵して、頭も少し冷静になってきた時、温かい腕に包まれる感覚があった。

『状況はなんとなくわかった。とりあえずお前はソレをどうにかしろ。・・・≪洗浄クリーン≫』
『・・・わかりました。ありがとうございます』

どうやら自分はエリュシオン様に抱えられているらしい。
少し恥ずかしい気持ちもあるけど、それよりも安心感が勝っていた。

そのまま休憩をしていた両親の元へ連れて行かれ、エリュシオン様がお父さんに状況を説明しつつ、あたしは着替えるためお母さんに奥の部屋へと連れて行かれた。

「ごめんね、怖かったね・・・」と優しく撫でながらお母さんに撫でられると、さっきまでの恐怖ともう大丈夫なんだという安心感が同時にやってきて、涙が止まらなくなった。



“女っぽくない”と言いながらも、結局自分は“女”というかよわい生き物なんだと嫌でも実感し、とても悔しかった。





アルマと出会ったこの事件をきっかけに、あたしは強くなりたいと思うようになったのだ・・・――――
しおりを挟む
感想 51

あなたにおすすめの小説

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる

しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。 いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに…… しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

兄様達の愛が止まりません!

恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。 そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。 屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。 やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。 無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。 叔父の家には二人の兄がいた。 そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】

Lynx🐈‍⬛
恋愛
 ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。  それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。  14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。 皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。 この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。 ※Hシーンは終盤しかありません。 ※この話は4部作で予定しています。 【私が欲しいのはこの皇子】 【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】 【放浪の花嫁】 本編は99話迄です。 番外編1話アリ。 ※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。

バッドエンド回避のために結婚相手を探していたら、断罪した本人(お兄様)が求婚してきました

りつ
恋愛
~悪役令嬢のお兄様はヤンデレ溺愛キャラでした~ 自分が乙女ゲームの悪役キャラであることを思い出したイザベル。しかも最期は兄のフェリクスに殺されて終わることを知り、絶対に回避したいと攻略キャラの出る学院へ行かず家に引き籠ったり、神頼みに教会へ足を運んだりする。そこで魂の色が見えるという聖職者のシャルルから性行為すればゲームの人格にならずに済むと言われて、イザベルは結婚相手を探して家を出ることを決意する。妹の婚活を知ったフェリクスは自分より強くて金持ちでかっこいい者でなければ認めないと注文をつけてきて、しまいには自分がイザベルの結婚相手になると言い出した。 ※兄妹に血の繋がりはありません ※ゲームヒロインは名前のみ登場です

愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。 そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。 相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。 トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。 あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。 ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。 そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが… 追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。 今更ですが、閲覧の際はご注意ください。

婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜

紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。 連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

処理中です...