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浜柔

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173 竹林

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「どうせなら竹の生えてる場所に行ってみたいんだけど、いいかな?」
「竹? 弓を自作する気にでもなったのか?」
「ううん。タケノコを食べてみたくて」
「あっはっは! 食いもんか! いいぜ。どうせ試し撃ちで一日費やすもんでもないしな」
「ありがとう!」

 そんな訳で、ルキアスとザネクは竹林を目指すことにした。弓店の店主に聞いた通りに第一階層に入って右へと進む。道中の武器は実績と信頼の剣や自作の銃だ。

「こっちの方にも来たことあるのに、竹が生えてる所って見たこと無いんだよね」
「おー、俺もだ。案外第一階層でも知らない場所がありそうだな」
「ほんとだね」

 それから歩くこと二時間余り。

「ほんとにこっちで合ってるのか?」
「弓屋さんはこっちだって言ってたんだけどね……。どこかで通り過ぎちゃったかな……?」
「もしそうだとしても探し回るのはなぁ。もう少し行って無かったら諦めようぜ」
「そうだね。残念だけど……」

 更に歩くこと小一時間。

「あっ、たっ! きっとあれだよ!」

 稈――中が空洞の茎――が青いので木ではないと一目で判るが、木と紛う程の高さに真っ直ぐそそり立った植物の林が見えた。

「だな! しっかし、こんなに遠いとは思わなかった。階層の壁の方ももう直ぐそこじゃないのか?」
「かも知れないね。ほんとに遠かった……」

 二人は諦める寸前だった。しかし我慢して歩いたのが報われた。
 ルキアスは竹の桿を叩いてみる。コッ、コッ、と固い音がする。

「固いね」
「そりゃそうだろ。弓に使われるくらいだから」
「うん。でも食べられるようには見えないよね」
「店主は生え始めって言ってなかったか?」
「そうだった!」

 ルキアスは小さい竹を探す。そして見付けた腰丈くらいの竹。触り心地を確かめる。

「やっぱり固いんだけど……」
「もっと小さいのなんだろうな」

 更に探す。そして見付けた踝くらいの高さの竹。

「これは柔らかいかも」

 しかし地面に埋もれて全体像が掴めない。『穴掘り』で周りを掘ってみる。かなり深い。二の腕がすっぽり入りそうだ。
 二〇分近く格闘してどうにか掘り上げる。初めてで少し慎重に掘ったのも手伝って、思いの外時間が掛かった。

「採れたーっ! でも疲れたーっ!」
「確かにな。見てるだけで疲れたぜ」
「あはは……。でもぼくはもう幾つか掘るから、ザネクは先に試し撃ちしてて」
「そうさせて貰う」

 ザネクは適当な竹を切り倒し、短く切って束ねて的にする。そしてルキアスに背を向けるように練習を始めた。
 その様子を時折見ながら、ルキアスはタケノコ掘りを頑張った。
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