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354 乗ったら
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『傘』に乗ったら人一人が潜れる程度の隙間を残し、『傘』をほぼ球形に変形させる。次に、穴にしか見えなくなっている『傘』の縁が進行方向に向くよう横倒しにする。
これでこの階層なら意識を前方に集中することも可能だ。『傘』はこの階層のガーゴイルの攻撃に耐えられるので、穴の部分を確実に防御すれば良い。
こんな方法が可能になったのはソロ活動のお陰とも言える。ルキアスにとって『傘』は防御の要で命綱でもあるから、探索中には常に出しっぱなしだ。これによって自ずと強化され、今では多少無理な変形までもが可能となっている。
(やっぱり身体は鈍りそうだな……)
『傘』の中で立てるようにと縦をあまり長くしてしまえば、地に立つ魔物からの攻撃を受けないとも限らない。確実に避けるには縦を短くすることになる。すると座らざるを得ないのだ。つまり探索中は座りっぱなしだ。
いっそもっと怠惰に寝そべって飛ぶのも考えるルキアスだが、それはそれで横に長くなるため、回転や方向転換がし辛くなって後方への対応に難が出る。これでは選択肢として選べない。
鳴子代わりの『鏡』は床を歩く時と同様、各所に配置する。むしろ衝突警報用に余分にだ。
準備が済んだらいつもと同じ程度に慎重に進む。
(居た。ガーゴイル)
ガーゴイルは壁と天井が接する隅にオブジェのように存在した。壁や天井の色に紛れて視認しにくい。床を歩いていたらもっと見付けにくいだろう。この階層での初めての遭遇では気付いたのは攻撃を仕掛けられた後だった。
(先制攻撃していいものかな?)
鍛練に利用するなら動き出した後を倒すようにした方が良いようにも思える。
(メイナーダさんやロマさんならどう言うかな……)
『まとめて吹き飛ばしちゃえばいいのよ』
『やれる時にやればいいのさ』
想像の中の二人は「しょうがないなぁ」と言わんばかりの呆れた感を出している。
だが想像の中のメイナーダの意見は不採用だ。まとめて吹き飛ばす手段を持たないルキアスには実行不可能。
だから想像の中のロマの言葉に順って銃を構え、引き金を引く。
ゴリっと弾丸がめり込む以上の変化は見られなかった。
これでこの階層なら意識を前方に集中することも可能だ。『傘』はこの階層のガーゴイルの攻撃に耐えられるので、穴の部分を確実に防御すれば良い。
こんな方法が可能になったのはソロ活動のお陰とも言える。ルキアスにとって『傘』は防御の要で命綱でもあるから、探索中には常に出しっぱなしだ。これによって自ずと強化され、今では多少無理な変形までもが可能となっている。
(やっぱり身体は鈍りそうだな……)
『傘』の中で立てるようにと縦をあまり長くしてしまえば、地に立つ魔物からの攻撃を受けないとも限らない。確実に避けるには縦を短くすることになる。すると座らざるを得ないのだ。つまり探索中は座りっぱなしだ。
いっそもっと怠惰に寝そべって飛ぶのも考えるルキアスだが、それはそれで横に長くなるため、回転や方向転換がし辛くなって後方への対応に難が出る。これでは選択肢として選べない。
鳴子代わりの『鏡』は床を歩く時と同様、各所に配置する。むしろ衝突警報用に余分にだ。
準備が済んだらいつもと同じ程度に慎重に進む。
(居た。ガーゴイル)
ガーゴイルは壁と天井が接する隅にオブジェのように存在した。壁や天井の色に紛れて視認しにくい。床を歩いていたらもっと見付けにくいだろう。この階層での初めての遭遇では気付いたのは攻撃を仕掛けられた後だった。
(先制攻撃していいものかな?)
鍛練に利用するなら動き出した後を倒すようにした方が良いようにも思える。
(メイナーダさんやロマさんならどう言うかな……)
『まとめて吹き飛ばしちゃえばいいのよ』
『やれる時にやればいいのさ』
想像の中の二人は「しょうがないなぁ」と言わんばかりの呆れた感を出している。
だが想像の中のメイナーダの意見は不採用だ。まとめて吹き飛ばす手段を持たないルキアスには実行不可能。
だから想像の中のロマの言葉に順って銃を構え、引き金を引く。
ゴリっと弾丸がめり込む以上の変化は見られなかった。
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