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止まった秒針は壊すに限る3
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ソリアミが死んだことを知ったのは、彼女の母親から聞かされた。
罪人として弔われないだけでも良かったと、ソリアミの母親がケレに安堵の言葉を投げかけた。
そのことが、ケレには腑に落ちなかった。
ソリアミの罪が分からなかったからだ。
賊を討てなかったことか?ならば、精鋭はどうなる。
精鋭の腕が吹き飛んだことか?しかし、それはソリアミが直接関与したわけではない。賊の方がその罪の比重は重くなるだろう。
そんなわけのわからない理屈の中で、ケレもまた、わけのわからない理屈によって生活が一変した。
まずは、ケレには例の賊についての調査、及び討伐の任が下った。
その任務には、ケレ自身も理解の範疇であった。
一番理解に苦しむ生活の変化、それはヒルケシュがケレを襲撃することだった。
ヒルケシュの言い分はこうだった、「ケレのせいで、ラーガディアは片腕を失った」ということだった。
加えて、周囲の人間たちもヒルケシュの行いを咎めなかった。
理由は、ヒルケシュは若いからだの。弱者が強者の足を引っ張るなだのという類だった。
ケレは、溜息をつきながら。ソリアミの母親から出されたお茶を口に入れた。
慣れない人間からすれば吐き出すような癖が強く独特な味のお茶だが、ソリアミがよく入れてくれたお茶だ。
それを、遠慮もせずにグビグビ飲みながら、ケレは地図に印をつける。
ソリアミの母は、まるで奇特な人間を見るような目でケレを見るのだ。
「そのお茶好きなの?」
ケレはいったん地図から目を離し、ソリアミの母の顔を見た。
「よくソリアミさんに淹れてもらいました」
ケレにとってそのお茶は、ソリアミの思い出の品だ。
あの場に勤めていた者たちからは、『ソリアミ茶』と言われる、俗に言うゲテモノ料理、新人に対する洗礼と位置付けるほどの酷評されたものだった。
今にして思えば、孤立していた二人を繋いだのはこのお茶のおかげだった。のかもしれない。
ソリアミの母の視線がなぜか泳いだ。
その仕草に、ケレは違和感があった。
ケレ自身はそのお茶をリクエストしていないこと。
加えて、ゲテモノ料理を客人に出すこと。我が家の特別製だと胸を張るならそんなに奇特な相手を見ることはない。
という結論に達した。
(だからといって、なんだ?)
ケレは、表情を崩さずに。お茶を褒めた。
そして、調査中にもそのお茶を飲むことを、ソリアミの母親に告げた。
罪人として弔われないだけでも良かったと、ソリアミの母親がケレに安堵の言葉を投げかけた。
そのことが、ケレには腑に落ちなかった。
ソリアミの罪が分からなかったからだ。
賊を討てなかったことか?ならば、精鋭はどうなる。
精鋭の腕が吹き飛んだことか?しかし、それはソリアミが直接関与したわけではない。賊の方がその罪の比重は重くなるだろう。
そんなわけのわからない理屈の中で、ケレもまた、わけのわからない理屈によって生活が一変した。
まずは、ケレには例の賊についての調査、及び討伐の任が下った。
その任務には、ケレ自身も理解の範疇であった。
一番理解に苦しむ生活の変化、それはヒルケシュがケレを襲撃することだった。
ヒルケシュの言い分はこうだった、「ケレのせいで、ラーガディアは片腕を失った」ということだった。
加えて、周囲の人間たちもヒルケシュの行いを咎めなかった。
理由は、ヒルケシュは若いからだの。弱者が強者の足を引っ張るなだのという類だった。
ケレは、溜息をつきながら。ソリアミの母親から出されたお茶を口に入れた。
慣れない人間からすれば吐き出すような癖が強く独特な味のお茶だが、ソリアミがよく入れてくれたお茶だ。
それを、遠慮もせずにグビグビ飲みながら、ケレは地図に印をつける。
ソリアミの母は、まるで奇特な人間を見るような目でケレを見るのだ。
「そのお茶好きなの?」
ケレはいったん地図から目を離し、ソリアミの母の顔を見た。
「よくソリアミさんに淹れてもらいました」
ケレにとってそのお茶は、ソリアミの思い出の品だ。
あの場に勤めていた者たちからは、『ソリアミ茶』と言われる、俗に言うゲテモノ料理、新人に対する洗礼と位置付けるほどの酷評されたものだった。
今にして思えば、孤立していた二人を繋いだのはこのお茶のおかげだった。のかもしれない。
ソリアミの母の視線がなぜか泳いだ。
その仕草に、ケレは違和感があった。
ケレ自身はそのお茶をリクエストしていないこと。
加えて、ゲテモノ料理を客人に出すこと。我が家の特別製だと胸を張るならそんなに奇特な相手を見ることはない。
という結論に達した。
(だからといって、なんだ?)
ケレは、表情を崩さずに。お茶を褒めた。
そして、調査中にもそのお茶を飲むことを、ソリアミの母親に告げた。
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