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親友の死
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「初めまして。東京から来ました、葉山シンジです。小学校の時はサッカーと空手を習ってました。勉強は苦手ですけど、運動は得意です」
確か、そんな風に自己紹介をした。
教科書も制服も違う事に不安を感じていたが、隣の席だったゆらは優しく、シンジの机をくっつけて、教科書を見せてくれた。
長い髪が至近距離で揺れるたびに、シャンプーの匂いが鼻先をくすぐった。
「制服、ブレザーなんだね。かっこいい」
おっとりとした口調で、そんな風に褒められて、頬を熱くした。同時に、みんなと違う事に引け目を感じていたシンジは、受け入れてもらえたような気がして嬉しかった。
松永陽介が、学校の屋上から落下して死んでしまったのは、この日から一週間後だった。
陽介はシンジが小学校1年の時からずっと一緒にサッカーをやって来た友達だった。引っ越して違う学校に行っても、ずっと友達だからな! 泣きながらそんな約束を交わしたっけ。
彼が、校舎の植え込みの脇で、頭から血を流して死んでいる夢を見たのは、彼が無くなる3日前だった。
シンジは、両親の事もあり、その日の朝に陽介にスマホから電話をかけた。
「学校に行くな。お前死ぬかもしれない」
確かそんな風に何度も叫んだのだ。
「なんで?」
と笑い交じりにふざける陽介に、シンジは必死で訴えた。
「俺、予知夢が見えるんだ。学校でお前が死んでる夢を見たんだ。だから――」
「なんだよー、中二病かよ~」
陽介はバカにして真に受けなかった。
「いつだよ。その死ぬ? って日は」
「それが、正確な日時まではわからないんだ。ただ、制服は冬服でまだ真新しかった。それにぶかぶかだった。たぶん、そんなに先じゃないと思う」
「大体、なんで俺が死ぬんだよ。みんなと仲良くしてるし、元気だぞ」
「わからない。事故かもしれないし――。そっちの学校ならリモート授業だって受けられるだろう。不登校になりましたって先生に言えば、学校に行かなくていいじゃんか」
「俺、学校行きたいよ。サッカー部に入るんだよ」
遠く離れた親友を、まだ中学に上がったばかりのシンジに守れる術などなかった。
ゆらもきっと、予知夢なんて信じないだろう。どうやったら彼女を守れる?
頭を抱えている所に、祖父がドアをノックした。
「シンジ、入るぞ」
「はい」
祖父は75歳だが、現役で食堂を営んでいる。地場産の食材で作ったオリジナルの料理には名前がなくて、正直インスタ映えはしない。しかし味は天下一品で、観光客もよく訪れている。
「今日から夏服だったな」
そう言ってハンガーにかけた、しわ一つない白の半そでシャツと、薄手のスラックスを差し出した。
「ありがとう」
ベッドの上から礼をいうと、頑固そうな目尻を少しさげて書棚にしているポールラックに制服をかけた。
「朝メシももう出来てるから、降りて顔を洗いなさい」
「はい」
確か、そんな風に自己紹介をした。
教科書も制服も違う事に不安を感じていたが、隣の席だったゆらは優しく、シンジの机をくっつけて、教科書を見せてくれた。
長い髪が至近距離で揺れるたびに、シャンプーの匂いが鼻先をくすぐった。
「制服、ブレザーなんだね。かっこいい」
おっとりとした口調で、そんな風に褒められて、頬を熱くした。同時に、みんなと違う事に引け目を感じていたシンジは、受け入れてもらえたような気がして嬉しかった。
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彼が、校舎の植え込みの脇で、頭から血を流して死んでいる夢を見たのは、彼が無くなる3日前だった。
シンジは、両親の事もあり、その日の朝に陽介にスマホから電話をかけた。
「学校に行くな。お前死ぬかもしれない」
確かそんな風に何度も叫んだのだ。
「なんで?」
と笑い交じりにふざける陽介に、シンジは必死で訴えた。
「俺、予知夢が見えるんだ。学校でお前が死んでる夢を見たんだ。だから――」
「なんだよー、中二病かよ~」
陽介はバカにして真に受けなかった。
「いつだよ。その死ぬ? って日は」
「それが、正確な日時まではわからないんだ。ただ、制服は冬服でまだ真新しかった。それにぶかぶかだった。たぶん、そんなに先じゃないと思う」
「大体、なんで俺が死ぬんだよ。みんなと仲良くしてるし、元気だぞ」
「わからない。事故かもしれないし――。そっちの学校ならリモート授業だって受けられるだろう。不登校になりましたって先生に言えば、学校に行かなくていいじゃんか」
「俺、学校行きたいよ。サッカー部に入るんだよ」
遠く離れた親友を、まだ中学に上がったばかりのシンジに守れる術などなかった。
ゆらもきっと、予知夢なんて信じないだろう。どうやったら彼女を守れる?
頭を抱えている所に、祖父がドアをノックした。
「シンジ、入るぞ」
「はい」
祖父は75歳だが、現役で食堂を営んでいる。地場産の食材で作ったオリジナルの料理には名前がなくて、正直インスタ映えはしない。しかし味は天下一品で、観光客もよく訪れている。
「今日から夏服だったな」
そう言ってハンガーにかけた、しわ一つない白の半そでシャツと、薄手のスラックスを差し出した。
「ありがとう」
ベッドの上から礼をいうと、頑固そうな目尻を少しさげて書棚にしているポールラックに制服をかけた。
「朝メシももう出来てるから、降りて顔を洗いなさい」
「はい」
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