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23話(3)【室町和風ファンタジー / あらすじ動画あり】
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■お忙しい方のためのあらすじ動画はこちら↓
https://youtu.be/JhmJvv-Z5jI
■他、作品のあらすじ動画
『【和風ファンタジー小説 あらすじ】帝都浅草探しモノ屋~浅草あきんど、妖怪でもなんでも探します~』
-ショート(1分)
https://youtu.be/AE5HQr2mx94
-完全版(3分)
https://youtu.be/dJ6__uR1REU
ーーーーーーーーーーー
「イタッ! 何して……──って、あれ?」
セイは頭を押さえたまま、キョロキョロと辺りを見回した。
「あたし、一体……って、きゃあー! もしかして、またやっちゃった!?」
炎の海になった部屋を見て、セイが絶叫を上げた。そして背後から送られる冷たい視線に気づいて、猫撫で声で振り返る。
「ご~めん、藤若! 私ったら、ついつい昔の癖で、血が滾ちゃって! あの時はヤンチャだったから。てへっ」
「可愛く言ってもダメだから! 一体、この状況をどうしてくれるんだよっ! ──わっ!」
言った傍から、焼け崩れた木材が落ちてくる。そこを御息所の霊がぎりぎり通り過ぎていった。
セイは頭を押えながら、叫ぶ。
「わかった、わかったわよ! ここは私がどうにかするから、あなたたちは逃げて。今なら花鬼も我を失っているから。きっと夢幻空間にも綻びができているはず!」
セイの言葉通り、燃え上がる部屋は、ところどころ元のあばら屋に戻っていた。
「でも、セイは? まだ瘴気がこんなにあるのに、大丈夫なの? また暴れだしたりしたら……」
「大丈夫。花鬼を抑えたら、私もすぐにここからでるから。そんな顔しないで。このくらいの責任はとらなくちゃ、自分の気が済まないわ」
セイはペロリと舌を出した。心配だったが、ここは彼女に任せるしかない。
「わかった。大樹様たちを外に出したら、僕もすぐに戻ってくるから。あぁ、そうだ、これも──」
懐から影向(ようごう)の葉を取り出した。何かあれば知らせてこい、と良基(よしもと)から渡されたものだ。
息を吹きかけると、葉っぱは鳥のように羽ばたいて外に飛んでいった。
「これで大丈夫。じゃ、セイ。少しの間だけ花鬼を留めておいて欲しい」
「お安い御用よ。藤若が帰ってくるなら、いくら私の箍が外れても、あなたが殴って──もとい、舞ってくれれば、元に戻るし大丈夫よ。じゃ、またあとで」
軽く手を振って、セイは暴れる御息所の方に飛んでいった。
藤若は振り返り、義満の前に膝をつく。
「大樹様。立って下さい。今のうちに逃げましょう!」
呼びかけると、義満はのろのろと顔を上げた。
「ゼア……俺は……いや、高橋は……」
義満は腕の中にいる高橋殿を見た。
「高橋殿なら大丈夫。気を失っているだけです。それより、早く──」
「……無理だ。動けない……」
「どこか怪我でも?」
「いや……」
義満は、力なく首を振った。
突然、後ろで大きな音がした。
セイと御息所が、互いの瘴気をぶつけ合っている。その衝撃で建物全体が揺れ、ぱらぱらと木くずが降ってくる。
「大樹様。お願いです。立って下さい。このままだと──」
腕を掴むと、義満は腕の中にいた高橋殿を寄越してきた。
「俺はいい。それより、こいつを早く外に連れ出してやってくれ」
「何言っているんですかっ……!? それじゃ貴方様は!?」
「俺はここに残る。あの花鬼も俺を殺せば、自然と収まるだろう」
ふっと義満の顔に嘲りの笑みが浮かんだ。
カッと身体中の血管が沸騰する。気がついたら、藤若は相手の胸倉を掴んでいた。
「何言っているんですかっ、そんなの貴方様らしくもないっ……!」
「ふ、俺らしくないか……確かにな」
義満は、手で自分の顔を覆った。その手は小刻みに震えていた。
やはり、様子がおかしい。
藤若は、そっと義満の肩に手を置いた。
「一体、どうゆうことなんですか? 理由を教えてくれるまで僕もここから動きません」
きっぱりと言うと、義満は無言で目を伏せた。
ゴオオと炎の燃え上がる音が間近まで迫る。
それでも、藤若は動かなかった。義満が話し出すまで。
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