僕のコマンドしか聴かないで

himaちゅんちゅん

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業務用のパソコンを開き、スケジュールや業務連絡みたけどそんなこと書かれてなくて。
面接したなんて聞いてない。
その前に人を増やすことさえ聞いてない。

アイツ。肝心なことは俺には言わないで、いつも勝手に決めてしまう。
ただ、アイツに振り回されるのは慣れてるから、この子もちゃんと雇われた子なんだろう。

そう思うと自然に対応してしまう自分がいる。


「…ちょっと待ってね。アイツに確認するから。
荷物は裏の空いてるロッカーに入れといて。
必要なものは後で伝える」


「はい。分かりました。
なんか、すみません。ご迷惑お掛けして」


「金守くんが悪いわけじゃないでしょ。謝らないで。
すぐに確認するから」


「はい。鞄入れてきます」


金守くんは俺に軽く頭を下げて裏へと入っていった。
その姿を確認して、携帯を取りだしアイツに電話する。


2コール鳴ったところで…

『おは。…どうした?』と呑気な声。
その声にイラっとする。


「どうしたじゃねぇよ。人雇うなんて聞いてねぇぞ」


怒鳴りたいけど、金守くんもいるしボリュームを下げて彼に聞こえないように言った。


『あぁー今日からだったね。忘れてました(笑)』


「笑い事じゃねぇだろ。肝心な事はいつも言わねぇんだか」


『そのままそっくりおまえに言ってやるよ』


「はぁ?俺が何を言ってねぇって?」


『カズが言ってたぞ。お前、身体ボロボロなんだろ?
そんなお前に無茶させたくねぇから急遽雇ったんだよ。
この店お前が居ねぇと回らねえんだし。お前に倒れられても困るからな。
俺なりの優しさだ』


もう一人のバイトの子に俺の近況報告されてたようで。


「…倒れたりしねぇよ…」


『あのなぁ、説得力ねぇよ。それに一人でどうにかしようとすんな。もう少し頼れよ。友達だろ?』


「…俺は…大丈夫」


『お前の大丈夫は当てにならねぇ。俺も昼からそっち行くから、そんとき話しようぜ。じゃあ、取り敢えず金守くんのことヨロシク』


-ブツッ-


「あっ、おい!はぁー」


言うだけ言って切りやがった。
切られた電話を見つめてると…


「大丈夫ですか?」
と、鞄を置いた金守くんが戻ってきた。


「あっ、ごめんね。大丈夫。ちゃんと確認取れたから。
あっと、挨拶が遅くなってごめんなさい。
この店で店長してます。柊愛桜です。よろしく」


さっきの金守くんみたいに俺も彼に頭を下げた。


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