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新生冒険者ギルド、始動!(4)
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「おっし、顔合わせは終了。ここからはミッションの説明だ。リリアナ、資料を頼む」
「はぁい」
リリアナが印の付いた三枚の地図を長テーブルに並べた。
「アンダー・ドラゴンの被害に遭った市民や目撃者からの情報を精査した結果、丸を付けた地域に構成員が潜んでいる可能性が高いですぅ」
「今日から三チームに別れて、それぞれ一日に一つのペースで奴らの潜伏先を潰して、攫われた市民の救助、奪われた金品の奪還に励んでもらいたい」
マシューが地図を見て不敵に笑った。
「師団長、構成員はその場で処刑しても構わないんですよね?」
「まぁ……、今は中央議会が汚職議員の弾劾と人喰い霧対策で忙しくて、下っ端の構成員の裁判までする余裕が無いからなぁ……」
病んでいる部下の不穏な発言にルービックは眉を顰めた。
「だがなマシュー、構成員の子供は可能な限り保護の方向で動け。子は親を選べないんだ」
「もう犯罪の英才教育を受けて手遅れかもしれないですよ?」
「こちらの身が危険になるくらい抵抗されたらやむを得ない、子供と言えど情けはかけるな。だが無抵抗だった場合は……」
「了解です。無抵抗な時は保護します。あとは首領のレスター・アーク、彼は公開処刑の為に生きた状態で確保、ですよね」
「おい……!」
ルービックはレスターの元で働いていたユーリを気遣ってマシューを止めた。しかし当のユーリがもう覚悟を決めていた。
「いいんです、師団長。あの人はもう死なない限り止まれない。楽にしてあげて下さい」
「……そうか」
重くなった場の空気を掃うようにマキアが話題を変えた。
「チーム分けはどうします? 近距離型の戦士と遠距離型の戦士はバランス良く配置しなくちゃですよね!」
「回復役もだ。俺様、明るい中年、白はそれぞれ別チームに別れた方がいいな」
治癒魔法を使えるのはこの三人だけだもんね。貴重だ。キースがアルクナイトに頷いた。
「そうした方がいいだろうね。僕はロックウィーナと組むことにするよ」
「おい白、そうしたら俺がロックウィーナと組めなくなるだろうが」
「キミは危険な男だからね。しばらく彼女には近付けさせない」
「あ? 何勝手に決めてんだ白」
「キミこそ何勝手に彼女にキスしてんだよ?」
また喧嘩になりそうな雰囲気だ。穏やかに朝食を済ませられたから油断していた。
キースと魔王が睨み合う緊迫した空気の中へ、無謀にも鈴音が飛び込んだ。
「あのっ……、みんながこれからしようとしているのは、世界を救う為の行動なの?」
「ん? ああそうだ。おまえは世界を見通す女神なんだから、俺達の動きは掴んでいただろう?」
鈴音は力なく否定した。
「もう見通せないの……。女神としての権限の大部分を失ってしまったから」
項垂れる鈴音へキースが穏やかな口調で聞き返した。
「この世界はキミの小説から生まれた不確かな空間なんだよね? 逆を言えば何でも有りな世界」
「うん。ここが私の小説から生まれた不確かな世界だってのはその通り……。ループさせたあの十日間はストーリーが決まっていたから安定していたの。でも小説の世界だと知ったらみんながパニックになると思って……、あと世界崩壊の危機のことも。だからロックウィーナとアルクナイの夢だけにお邪魔したんだ。二人が何とか上手く説明してくれるんじゃないかって」
「おまえは……、説明責任を俺達に丸投げしたのか」
「だってあなたは元賢者だから話すのが上手いでしょう? 男の人はロックウィーナの言うことなら素直に聞くし」
不自然に男達の大半が目を逸らした。鈴音は小声で私にだけ囁いた。
「あの……でも衛藤先輩のことはみんなに黙っていてもらえる?」
あ、ヤバイ。
「ごめん。もう衛藤先輩があなたの憧れの人で、エリアスさんのモデルだってみんなにバラしちゃった」
「ほあぁぁぁ!?」
初恋を暴露されていた鈴音は大きく目を見開いてエリアスを見た。エリアスは少し照れたように鈴音へ微笑んだ。
「ねー女神様、エリアスさん達はキミが造ったキャラクターらしいけど、俺達は違うの?」
マシューに質問されたことで鈴音は少し落ち着きを取り戻した。
「う、うん……。私はあなた達の誕生に干渉していない。私が知らない間にたくさんの新しいキャラクターが生まれていた」
「やっぱ世界が生み出したのか。魔王様の推測が当たってたな」
「何でも有りの世界ってとこもね」
キースが話を戻した。
「あの恐ろしい霧は女神のキミやここに住む人々の不安な気持ち、そして政治の乱れを具現化したものなんじゃないかって考えたんだよ、そこの魔王が。だから治安を回復して、世界を安定させれば霧も消えるかもって」
鈴音が胸の辺りで握り拳を作った。
「そうかもしれない……」
そして彼女は強い瞳で決意を表した。
「なら治安回復に私も参加したい! させて下さい!!」
「えっと……それは……」
みんな「うん」とは言えなかった。女神をこき使ってやると昨夜息まいていたアルクナイトですらも。不思議な力を使えたとしても、16歳の女のコを戦場に出したくなかったのだ。
エリアスが優しく諭した。
「スズネ……、これは決して気軽に参加できるミッションではないんだ。アンダー・ドラゴンと言う凶悪な犯罪組織と対峙する。多大な危険を伴う」
「大丈夫ですエリアスさん。危なくなったらまだ使える奇跡の力で、閉じられた空間へエスケープできるから自分の身は護れます。三、四人なら一緒に飛べるから皆さんのことも護れます!」
それは凄いな。腐っても女神だ。私よりもよっぽど役に立つ。
そうだね、ループが壊れてから鈴音は独りで何とかして生きてきたんだもん、精神的にも逞しいよね。
「もう世界は私の手から離れたけれど……、護りたいの。ここは私にとっても大切な場所だから」
「……………………」
迷ったが鈴音の意志を汲み取って、私達は彼女の申し出を受け入れることにした。
「はぁい」
リリアナが印の付いた三枚の地図を長テーブルに並べた。
「アンダー・ドラゴンの被害に遭った市民や目撃者からの情報を精査した結果、丸を付けた地域に構成員が潜んでいる可能性が高いですぅ」
「今日から三チームに別れて、それぞれ一日に一つのペースで奴らの潜伏先を潰して、攫われた市民の救助、奪われた金品の奪還に励んでもらいたい」
マシューが地図を見て不敵に笑った。
「師団長、構成員はその場で処刑しても構わないんですよね?」
「まぁ……、今は中央議会が汚職議員の弾劾と人喰い霧対策で忙しくて、下っ端の構成員の裁判までする余裕が無いからなぁ……」
病んでいる部下の不穏な発言にルービックは眉を顰めた。
「だがなマシュー、構成員の子供は可能な限り保護の方向で動け。子は親を選べないんだ」
「もう犯罪の英才教育を受けて手遅れかもしれないですよ?」
「こちらの身が危険になるくらい抵抗されたらやむを得ない、子供と言えど情けはかけるな。だが無抵抗だった場合は……」
「了解です。無抵抗な時は保護します。あとは首領のレスター・アーク、彼は公開処刑の為に生きた状態で確保、ですよね」
「おい……!」
ルービックはレスターの元で働いていたユーリを気遣ってマシューを止めた。しかし当のユーリがもう覚悟を決めていた。
「いいんです、師団長。あの人はもう死なない限り止まれない。楽にしてあげて下さい」
「……そうか」
重くなった場の空気を掃うようにマキアが話題を変えた。
「チーム分けはどうします? 近距離型の戦士と遠距離型の戦士はバランス良く配置しなくちゃですよね!」
「回復役もだ。俺様、明るい中年、白はそれぞれ別チームに別れた方がいいな」
治癒魔法を使えるのはこの三人だけだもんね。貴重だ。キースがアルクナイトに頷いた。
「そうした方がいいだろうね。僕はロックウィーナと組むことにするよ」
「おい白、そうしたら俺がロックウィーナと組めなくなるだろうが」
「キミは危険な男だからね。しばらく彼女には近付けさせない」
「あ? 何勝手に決めてんだ白」
「キミこそ何勝手に彼女にキスしてんだよ?」
また喧嘩になりそうな雰囲気だ。穏やかに朝食を済ませられたから油断していた。
キースと魔王が睨み合う緊迫した空気の中へ、無謀にも鈴音が飛び込んだ。
「あのっ……、みんながこれからしようとしているのは、世界を救う為の行動なの?」
「ん? ああそうだ。おまえは世界を見通す女神なんだから、俺達の動きは掴んでいただろう?」
鈴音は力なく否定した。
「もう見通せないの……。女神としての権限の大部分を失ってしまったから」
項垂れる鈴音へキースが穏やかな口調で聞き返した。
「この世界はキミの小説から生まれた不確かな空間なんだよね? 逆を言えば何でも有りな世界」
「うん。ここが私の小説から生まれた不確かな世界だってのはその通り……。ループさせたあの十日間はストーリーが決まっていたから安定していたの。でも小説の世界だと知ったらみんながパニックになると思って……、あと世界崩壊の危機のことも。だからロックウィーナとアルクナイの夢だけにお邪魔したんだ。二人が何とか上手く説明してくれるんじゃないかって」
「おまえは……、説明責任を俺達に丸投げしたのか」
「だってあなたは元賢者だから話すのが上手いでしょう? 男の人はロックウィーナの言うことなら素直に聞くし」
不自然に男達の大半が目を逸らした。鈴音は小声で私にだけ囁いた。
「あの……でも衛藤先輩のことはみんなに黙っていてもらえる?」
あ、ヤバイ。
「ごめん。もう衛藤先輩があなたの憧れの人で、エリアスさんのモデルだってみんなにバラしちゃった」
「ほあぁぁぁ!?」
初恋を暴露されていた鈴音は大きく目を見開いてエリアスを見た。エリアスは少し照れたように鈴音へ微笑んだ。
「ねー女神様、エリアスさん達はキミが造ったキャラクターらしいけど、俺達は違うの?」
マシューに質問されたことで鈴音は少し落ち着きを取り戻した。
「う、うん……。私はあなた達の誕生に干渉していない。私が知らない間にたくさんの新しいキャラクターが生まれていた」
「やっぱ世界が生み出したのか。魔王様の推測が当たってたな」
「何でも有りの世界ってとこもね」
キースが話を戻した。
「あの恐ろしい霧は女神のキミやここに住む人々の不安な気持ち、そして政治の乱れを具現化したものなんじゃないかって考えたんだよ、そこの魔王が。だから治安を回復して、世界を安定させれば霧も消えるかもって」
鈴音が胸の辺りで握り拳を作った。
「そうかもしれない……」
そして彼女は強い瞳で決意を表した。
「なら治安回復に私も参加したい! させて下さい!!」
「えっと……それは……」
みんな「うん」とは言えなかった。女神をこき使ってやると昨夜息まいていたアルクナイトですらも。不思議な力を使えたとしても、16歳の女のコを戦場に出したくなかったのだ。
エリアスが優しく諭した。
「スズネ……、これは決して気軽に参加できるミッションではないんだ。アンダー・ドラゴンと言う凶悪な犯罪組織と対峙する。多大な危険を伴う」
「大丈夫ですエリアスさん。危なくなったらまだ使える奇跡の力で、閉じられた空間へエスケープできるから自分の身は護れます。三、四人なら一緒に飛べるから皆さんのことも護れます!」
それは凄いな。腐っても女神だ。私よりもよっぽど役に立つ。
そうだね、ループが壊れてから鈴音は独りで何とかして生きてきたんだもん、精神的にも逞しいよね。
「もう世界は私の手から離れたけれど……、護りたいの。ここは私にとっても大切な場所だから」
「……………………」
迷ったが鈴音の意志を汲み取って、私達は彼女の申し出を受け入れることにした。
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