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六幕 アジトを探れ!(4)
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マキアがすかさずエリアスに尋ねた。
「エリアスさんの好みのタイプってどんな女性ですか?」
「ロックウィーナのような女性だ」
ついさっき自分で友達って言ったやん。
「愛しちゃってますね。会議室でも積極的だったし。お二人の馴れ初めは?」
「正に運命だった。ロックウィーナは危険なフィールドで独り、死を覚悟した私の前に降臨した聖女だったのだ」
「え? 聖女?」
状況描写が曖昧でまるで伝わらない。目をパチクリさせたマキアにルパートが補足説明した。
「エリアスさんはソロミッションに挑んだ時に、道に迷って行き倒れたんだよ。捜索に出た俺とウィーが発見したんだ」
「なるほど、救助から恋が始まる場合も有るんだ。そうだよな、命の恩人だもんな。いいなー。俺もこれまでに五人保護してるけど、恋に発展したことなんて一度も無いや」
「……五人ともムサいオッサン冒険者だっただろうが」
エンが静かに突っ込んだ。オッサンか。恋が不可能ではないにしても難しい相手だな。
「ルパートさんの好みのタイプは?」
マキアは次にルパートに話を振った。ルパートは気の無い返事をした。
「俺は女は……当分いいと思ってるから」
「意外とストイックなんですね、モテるでしょうに。でも好みくらいは有るでしょう?」
「ボン、キュッ、ボン」
以前は物理的にも精神的にも自立した強い女が好みだと言っていなかったっけ? 所詮は身体つきが重要か。エロスなのか。男ってばこれだから。
「キースさんはどうですか?」
マキアは後方のキースにも声をかけた。年が離れた先輩にも軽いノリで充分に行けている。
「僕は思いやりの有る人が好きですね」
ちゃんと答えてあげるキースは優しい。
「エンは……」
マキアが尋ね終わる前に、すっごく怖い目つきでエンは彼を睨んだ。
「うん、いいや、また今度な。ちなみに俺が好きなのは、妖精みたいに可愛い女の子と妖艶なマダム」
両極端だろ。熟女も守備範囲内か。
「じゃあ最後にロックウィーナさん、じゃなくてロックウィーナ」
マキアは軽く咳払いをした。
「キミが好みだと思うタイプを、ズバリ教えてくれ!」
マキア、ルパート、エリアスの視線が私に集中した。
「え、ええ? 私も言うの!?」
「もちろん! みんなも言ったんだから恥ずかしくないよ!」
マキアめ。阿呆なコを装っておいて実は策士?
「言っちゃえよ、ウィー」
「みんなで言えば怖くない」
ルパートとエリアスも煽ってきた。にゃろう。
「私は……一緒に居てホッとできる相手かな」
「うんうん、それ重要だよね。他には?」
「他に?」
一つ要素を挙げるだけじゃ駄目なの? マキアは満面の笑みで質問を繰り返した。
「具体的なやつを知りたいな。顔の好みとか就いていて欲しい職業とか」
「具体的……」
困っている私にルパートが助言した。
「恋人を作る気が有るんなら、細かく条件を出しておいた方がいいぞ? その方が理想の相手とマッチングしやすい」
それはそうかも。
「ええと……じゃあ、私より強い人」
エリアスが筋肉の付いた太い腕を見せつけるようにポージングし出した。澄ましていれば理想の貴公子なのに。面白い人だ。
「俺は肉弾戦はからっきしだけど魔法はちょっと自信有るよ。他には?」
「他に? え、じゃあ笑顔が素敵な人……」
「やっべ俺じゃん。他には?」
他の人にはさらっとしか聞いてないのに、マキアは私にはしつこかった。
「他にって……思いつかないよ」
「じゃあさ、過去の恋人がしてくれて嬉しかったこととか、逆にこれは勘弁してって思ったことを教えてよ」
「そんなの判んないよ、男の人と付き合ったことが無いのに」
「え」
「……あ!」
「なんと」
うわあああ!! やっちゃったよぉ! マキアにグイグイ来られて焦って、ついうっかりコンプレックスを口に出しちゃったぁ!!
「……ロックウィーナ、キミは異性との交際経験が無いの?」
マキアがしなくてもいい確認をした。私は答えなかったが、きっと強張った表情から見抜かれてしまっただろう。
ルパートとキースがあーあと言う顔をして、エンは無表情だった。
マキアとエリアスは顔を見合わせてから、二人同時に声を合わせて叫んだ。
「レンフォード!!!!」
あぁもう、アンダー・ドラゴンの前にコイツらから先に片付けたい気分だ。
☆☆☆
フィースノーの街からおよそ二キロ離れた林の中に、木こりの宿泊場のような簡素な小屋が建てられていた。そこだけ切り取って見るとのどかな風景なのだが、いかんせん小屋の前で世間話に興じている男達のガラが悪過ぎた。
髭面のスキンヘッド男、トンビのような鳥のタトゥーを首の後ろに入れた男、何処で買ったのかトゲトゲが付いた腕輪をはめた男。望遠鏡が捉えた男達からは終末の匂いがした。
「ありゃカタギじゃないよな」
「ないですねぇ。あんな一般人が居たら嫌です。ここがアンドラのアジトで間違い無いでしょう」
私達は小屋から数十メートル離れた大木の陰に身を隠し、代わる代わる望遠鏡でアジトの様子を窺った。
「あいつらってあの小屋で雑魚寝してんのかなぁ? 怖い顔して仲良しなんだなぁ」
「……顔は関係無い」
「ロックウィーナと一緒なら、どんなボロ小屋でも宮殿の如しだな」
私達は心底どうでもいい会話をしながら、本拠地からの連絡係が現れるのをひたすら待った。
「エリアスさんの好みのタイプってどんな女性ですか?」
「ロックウィーナのような女性だ」
ついさっき自分で友達って言ったやん。
「愛しちゃってますね。会議室でも積極的だったし。お二人の馴れ初めは?」
「正に運命だった。ロックウィーナは危険なフィールドで独り、死を覚悟した私の前に降臨した聖女だったのだ」
「え? 聖女?」
状況描写が曖昧でまるで伝わらない。目をパチクリさせたマキアにルパートが補足説明した。
「エリアスさんはソロミッションに挑んだ時に、道に迷って行き倒れたんだよ。捜索に出た俺とウィーが発見したんだ」
「なるほど、救助から恋が始まる場合も有るんだ。そうだよな、命の恩人だもんな。いいなー。俺もこれまでに五人保護してるけど、恋に発展したことなんて一度も無いや」
「……五人ともムサいオッサン冒険者だっただろうが」
エンが静かに突っ込んだ。オッサンか。恋が不可能ではないにしても難しい相手だな。
「ルパートさんの好みのタイプは?」
マキアは次にルパートに話を振った。ルパートは気の無い返事をした。
「俺は女は……当分いいと思ってるから」
「意外とストイックなんですね、モテるでしょうに。でも好みくらいは有るでしょう?」
「ボン、キュッ、ボン」
以前は物理的にも精神的にも自立した強い女が好みだと言っていなかったっけ? 所詮は身体つきが重要か。エロスなのか。男ってばこれだから。
「キースさんはどうですか?」
マキアは後方のキースにも声をかけた。年が離れた先輩にも軽いノリで充分に行けている。
「僕は思いやりの有る人が好きですね」
ちゃんと答えてあげるキースは優しい。
「エンは……」
マキアが尋ね終わる前に、すっごく怖い目つきでエンは彼を睨んだ。
「うん、いいや、また今度な。ちなみに俺が好きなのは、妖精みたいに可愛い女の子と妖艶なマダム」
両極端だろ。熟女も守備範囲内か。
「じゃあ最後にロックウィーナさん、じゃなくてロックウィーナ」
マキアは軽く咳払いをした。
「キミが好みだと思うタイプを、ズバリ教えてくれ!」
マキア、ルパート、エリアスの視線が私に集中した。
「え、ええ? 私も言うの!?」
「もちろん! みんなも言ったんだから恥ずかしくないよ!」
マキアめ。阿呆なコを装っておいて実は策士?
「言っちゃえよ、ウィー」
「みんなで言えば怖くない」
ルパートとエリアスも煽ってきた。にゃろう。
「私は……一緒に居てホッとできる相手かな」
「うんうん、それ重要だよね。他には?」
「他に?」
一つ要素を挙げるだけじゃ駄目なの? マキアは満面の笑みで質問を繰り返した。
「具体的なやつを知りたいな。顔の好みとか就いていて欲しい職業とか」
「具体的……」
困っている私にルパートが助言した。
「恋人を作る気が有るんなら、細かく条件を出しておいた方がいいぞ? その方が理想の相手とマッチングしやすい」
それはそうかも。
「ええと……じゃあ、私より強い人」
エリアスが筋肉の付いた太い腕を見せつけるようにポージングし出した。澄ましていれば理想の貴公子なのに。面白い人だ。
「俺は肉弾戦はからっきしだけど魔法はちょっと自信有るよ。他には?」
「他に? え、じゃあ笑顔が素敵な人……」
「やっべ俺じゃん。他には?」
他の人にはさらっとしか聞いてないのに、マキアは私にはしつこかった。
「他にって……思いつかないよ」
「じゃあさ、過去の恋人がしてくれて嬉しかったこととか、逆にこれは勘弁してって思ったことを教えてよ」
「そんなの判んないよ、男の人と付き合ったことが無いのに」
「え」
「……あ!」
「なんと」
うわあああ!! やっちゃったよぉ! マキアにグイグイ来られて焦って、ついうっかりコンプレックスを口に出しちゃったぁ!!
「……ロックウィーナ、キミは異性との交際経験が無いの?」
マキアがしなくてもいい確認をした。私は答えなかったが、きっと強張った表情から見抜かれてしまっただろう。
ルパートとキースがあーあと言う顔をして、エンは無表情だった。
マキアとエリアスは顔を見合わせてから、二人同時に声を合わせて叫んだ。
「レンフォード!!!!」
あぁもう、アンダー・ドラゴンの前にコイツらから先に片付けたい気分だ。
☆☆☆
フィースノーの街からおよそ二キロ離れた林の中に、木こりの宿泊場のような簡素な小屋が建てられていた。そこだけ切り取って見るとのどかな風景なのだが、いかんせん小屋の前で世間話に興じている男達のガラが悪過ぎた。
髭面のスキンヘッド男、トンビのような鳥のタトゥーを首の後ろに入れた男、何処で買ったのかトゲトゲが付いた腕輪をはめた男。望遠鏡が捉えた男達からは終末の匂いがした。
「ありゃカタギじゃないよな」
「ないですねぇ。あんな一般人が居たら嫌です。ここがアンドラのアジトで間違い無いでしょう」
私達は小屋から数十メートル離れた大木の陰に身を隠し、代わる代わる望遠鏡でアジトの様子を窺った。
「あいつらってあの小屋で雑魚寝してんのかなぁ? 怖い顔して仲良しなんだなぁ」
「……顔は関係無い」
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