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新五幕 マキアとエンとの再会(3)
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☆☆☆
嵐のような会議は終わった。峠二つ越えてやってきたレクセンの二人を休ませる為に、会議室に集まった私達は一旦解散となった。
午後からいよいよアンダー・ドラゴンのアジトの一つへ向かい、モヒカン構成員達を蹴散らし、首領との繋がりを持つ連絡係を捕縛する。未来を変える大切なミッションだ。絶対に失敗はできない。
「お~いウィー、持ち物チェックは終わったか~? メシの時間まで一緒に何かしねぇ?」
満面の笑みで私の部屋を訪れたルパートは、扉を開けた私の肩越しに、部屋の中で寛ぐキースの姿を見て戦慄した。
「なっ……何でキースさんがここに!?」
キースは優美な笑みを浮かべて答えた。
「もちろん隙有らばロックウィーナに手を出そうとする、キミみたいな不埒な輩を監視する為にですよ。あとはホラ、僕も独りで部屋に居るとエリアスさんに襲われるかもしれないので。ここに避難させてもらいました」
「魅了したの自分じゃん……」
「ちなみにエリアスさんは今どうしているか判りますか?」
「魔王様を誘って訓練場へ行ったみたいだな」
「ああ、雑念を払いに行ったのですね。キミにも必要なことだと思いますが……。あーコラコラ、言った傍から彼女のベッドに腰かけない。彼女の隣に並ぼうとしない。キミも僕が持ってきた折り畳みイスを使いなさい」
「監視なんてしなくても大丈夫なのに……」
不貞腐れながらも折り畳みイスを広げるルパートへ、キースは冷めた様子で問いかけた。
「ふふふ、どの口がそれを言うんですかね? 大丈夫な男はね、見えない所でこっそり女性の手を握ったりしませんから」
「手ぐらいいいじゃん!」
「本当にいいと思っていたら堂々としますよね? やましい気持ちが有ったから、コソコソ隠れて触っていたのではないですか?」
「うっ……」
「キミもエリアスさんも、気安く女性の肌に触れ過ぎです」
「でもさ……二十代後半の男女だぜ? そのくらい……」
キースの顔から笑みが消えた。丁寧口調と共に。
「ルパートおまえ、ぶっちゃけて聞くけどさ、ロックウィーナと即ベッドインしたいとか思ってないか?」
「!」
キースのそのものズバリな質問もそうだが、ルパートの目が泳いだことに私はとても驚いた。
おいぃぃぃぃぃ!!!! そのつもりだったんかーい!
「待て、誤解するな。無理矢理する気はねーぞ! 俺だってもうウィーを傷付けたくない。ちゃんとウィーの許可が出るまで待つつもりだから!!」
ルパートは必死に自己弁護した。でもね、そうじゃない。ルパート、そうじゃないんだよ……。
「ルパート、性欲を前面に出すな」
「解ってるよ! でも惚れた女を前にして……。気持ちだけでは収まらないんだ」
「……それは僕だって男だから解る。だがな、ロックウィーナは戸惑っている。交際期間ゼロで二人の男からプロポーズされたんだぞ?」
キースが私の気持ちを代弁してくれた。
「混乱している彼女をよそに、おまえとエリアスさんはどんどん先へ進もうとしている。当事者である彼女の気持ちを置いてきぼりにして」
そう! 私も何度かそれを感じていた!
「迫る側からしたら解らないだろうが、女性が男性と密室で二人きりになる恐怖は相当なものだ。そんな状況で口説こうとしても、ロックウィーナは怯えて余計に心を閉ざすだけだぞ?」
「あ……」
ルパートが私を見た。私は何も言わなかったが、表情でルパートは察したようだ。
「ゴメン……。怖い思いをさせてしまっていたんだな」
「彼女と親しくなりたいのならもっと開けた場所へ行け。街で買い物とか、屋台で食べ歩きとか、公園で散歩とか。焦らずにゆっくり進むんだルパート。ロックウィーナに考える時間を与えてやれ」
ルパートは素直に頷いた。
「……うん、そうする。ありがとうキースさん。それとウィー、本当にごめん」
解ってくれたようだ。ホッとして、私もキースに礼を述べた。
「ありがとうございますキース先輩。私が言いたくて、でも上手く言葉にできなかった気持を、先輩が全部言ってくれました」
キースが私に微笑んだ。
「……僕もね、この忌まわしい瞳のせいで、好きでもない相手に何度も言い寄られたことが有るんです。僕は男だけど、それでも自分の意思を無視されて押し倒されることは怖かったです」
「キース先輩……」
キースは簡潔に言ったが、長い間ずっと苦しんできたのだろう。長い前髪の間から僅かに覗く、悲しそうな瞳がそれを物語っていた。
「僕の話はこれでおしまい。さ、ルパート、健全な行動なら邪魔しませんからロックウィーナとお喋りでもしなさい」
「あ、うん、そうだな……」
嵐のような会議は終わった。峠二つ越えてやってきたレクセンの二人を休ませる為に、会議室に集まった私達は一旦解散となった。
午後からいよいよアンダー・ドラゴンのアジトの一つへ向かい、モヒカン構成員達を蹴散らし、首領との繋がりを持つ連絡係を捕縛する。未来を変える大切なミッションだ。絶対に失敗はできない。
「お~いウィー、持ち物チェックは終わったか~? メシの時間まで一緒に何かしねぇ?」
満面の笑みで私の部屋を訪れたルパートは、扉を開けた私の肩越しに、部屋の中で寛ぐキースの姿を見て戦慄した。
「なっ……何でキースさんがここに!?」
キースは優美な笑みを浮かべて答えた。
「もちろん隙有らばロックウィーナに手を出そうとする、キミみたいな不埒な輩を監視する為にですよ。あとはホラ、僕も独りで部屋に居るとエリアスさんに襲われるかもしれないので。ここに避難させてもらいました」
「魅了したの自分じゃん……」
「ちなみにエリアスさんは今どうしているか判りますか?」
「魔王様を誘って訓練場へ行ったみたいだな」
「ああ、雑念を払いに行ったのですね。キミにも必要なことだと思いますが……。あーコラコラ、言った傍から彼女のベッドに腰かけない。彼女の隣に並ぼうとしない。キミも僕が持ってきた折り畳みイスを使いなさい」
「監視なんてしなくても大丈夫なのに……」
不貞腐れながらも折り畳みイスを広げるルパートへ、キースは冷めた様子で問いかけた。
「ふふふ、どの口がそれを言うんですかね? 大丈夫な男はね、見えない所でこっそり女性の手を握ったりしませんから」
「手ぐらいいいじゃん!」
「本当にいいと思っていたら堂々としますよね? やましい気持ちが有ったから、コソコソ隠れて触っていたのではないですか?」
「うっ……」
「キミもエリアスさんも、気安く女性の肌に触れ過ぎです」
「でもさ……二十代後半の男女だぜ? そのくらい……」
キースの顔から笑みが消えた。丁寧口調と共に。
「ルパートおまえ、ぶっちゃけて聞くけどさ、ロックウィーナと即ベッドインしたいとか思ってないか?」
「!」
キースのそのものズバリな質問もそうだが、ルパートの目が泳いだことに私はとても驚いた。
おいぃぃぃぃぃ!!!! そのつもりだったんかーい!
「待て、誤解するな。無理矢理する気はねーぞ! 俺だってもうウィーを傷付けたくない。ちゃんとウィーの許可が出るまで待つつもりだから!!」
ルパートは必死に自己弁護した。でもね、そうじゃない。ルパート、そうじゃないんだよ……。
「ルパート、性欲を前面に出すな」
「解ってるよ! でも惚れた女を前にして……。気持ちだけでは収まらないんだ」
「……それは僕だって男だから解る。だがな、ロックウィーナは戸惑っている。交際期間ゼロで二人の男からプロポーズされたんだぞ?」
キースが私の気持ちを代弁してくれた。
「混乱している彼女をよそに、おまえとエリアスさんはどんどん先へ進もうとしている。当事者である彼女の気持ちを置いてきぼりにして」
そう! 私も何度かそれを感じていた!
「迫る側からしたら解らないだろうが、女性が男性と密室で二人きりになる恐怖は相当なものだ。そんな状況で口説こうとしても、ロックウィーナは怯えて余計に心を閉ざすだけだぞ?」
「あ……」
ルパートが私を見た。私は何も言わなかったが、表情でルパートは察したようだ。
「ゴメン……。怖い思いをさせてしまっていたんだな」
「彼女と親しくなりたいのならもっと開けた場所へ行け。街で買い物とか、屋台で食べ歩きとか、公園で散歩とか。焦らずにゆっくり進むんだルパート。ロックウィーナに考える時間を与えてやれ」
ルパートは素直に頷いた。
「……うん、そうする。ありがとうキースさん。それとウィー、本当にごめん」
解ってくれたようだ。ホッとして、私もキースに礼を述べた。
「ありがとうございますキース先輩。私が言いたくて、でも上手く言葉にできなかった気持を、先輩が全部言ってくれました」
キースが私に微笑んだ。
「……僕もね、この忌まわしい瞳のせいで、好きでもない相手に何度も言い寄られたことが有るんです。僕は男だけど、それでも自分の意思を無視されて押し倒されることは怖かったです」
「キース先輩……」
キースは簡潔に言ったが、長い間ずっと苦しんできたのだろう。長い前髪の間から僅かに覗く、悲しそうな瞳がそれを物語っていた。
「僕の話はこれでおしまい。さ、ルパート、健全な行動なら邪魔しませんからロックウィーナとお喋りでもしなさい」
「あ、うん、そうだな……」
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