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合宿中は恋のフラグが乱立する!?(7)
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「わ、私、夕べ処女を喪失するところだったんですか!?」
「馬鹿! デカイ声で……」
慌ててルパートが手で私の口を塞いできたが遅かった。こちらを見るニヤニヤ一般兵の数が増えていた。彼らへ休憩時間の話題を提供してしまった。
二人して赤面して汗を掻いた。
「ギルドの馬車へ戻ろう……」
「…………はい」
そそくさとその場を後にする私達の背中へ、ヒューヒューと祝福の口笛が贈られた。
「ホント、悪かった」
「本当ですよ。私は先輩の冷たい態度に傷付いて、昨晩ほとんど眠れなかったんですからね。反省して下さい」
「…………? 冷たい態度に傷付いたのか?」
「そりゃそうでしょう? キスの後に逃げられたんですよ? 女としてどれだけ惨めだったか」
「じゃあ、キス自体はおまえも嫌じゃなかったのか?」
「!」
バ~レ~た~。
「ウィー?」
「何のことやら」
キスは素敵だったよ。正直うっとりしたよ。でもルパートを喜ばせるのは癪だ。無理矢理ファーストキスを奪ったことはキッチリ反省してもらわないと。
「早くみんなの元へ行きましょう」
私は不貞腐れたがルパートは微笑んだ。そして手を握ってきた。指同士を絡める所謂恋人繋ぎというやつだ。調子に乗ってきましたね。
彼の指を振り解こうとしたが、むむ、かえって固く握られてしまったよ。にゃろう。これもまた嫌と感じない自分が腹立たしい。
幸せそうに笑わないでよ、馬鹿ルパート。
ルパートと二人で人混みを避けるように、かなり遠回りをしてテクテク歩いた。それでも十分もしたらギルドの馬車が見えてきた。
もう他のみんなは乗り込んでいるのだろうか? 私も合流しないと。
「それでは私はここで。自分の馬車へ戻りますね」
ところが名残惜しそうに、ルパートが繋いだ手を放してくれない。
「……昼休憩の時にまた会えるよな?」
「は、はい。夜はまた女性兵士のテントへお邪魔しますが」
「そうか。じゃあまた昼にな」
反則級の爽やか笑顔を私へ向けてから、ルパートはようやく手を解放してくれた。これではまるで付き合い始めのカップルのようだ。そんなことは全然無いのだけれど。
「おはよ、ロックウィーナ。何かイイことでも有ったん?」
馬車へ乗り込んだ私へ開口一番、マキアがよく解らない挨拶を投げかけてきた。
「へ? 何で?」
「顔、めっちゃニヤけてるよ」
「!」
私は思わず両手で頬を押さえた。……ニヤけてた? 自覚が無かったけど私は笑っていたの? ずっと? ルパートの前でも!?
「違────う!!!!」
「うおっ!」
「きゃあ!?」
うっかり大声を出してしまい、マキアとリリアナが身構えた。エンと執事のアスリーは普段通りだ。殺気を感知しない限りは動揺しなさそうな二人だ。
「……驚かせてゴメン。でも特にイイことは無かったから。断じて違うから」
「そ、そう?」
明らかに引いているマキアを横目に、私も馬車の座席に腰かけた。
ふう。なんてこったよ。気が緩み過ぎだ。ルパートと距離が縮まったことを喜んでいるみたいじゃないの。
そんなことは有り得ない。昔と違って今の私は彼に恋をしていない。
(でもルパート……、私とキスできて嬉しかったって)
「うっきゃああぁぁ!!!!」
「何だぁ!?」
また大声を、と言うより派手に叫んでしまった。ルパートと交わしたキスを鮮明に思い出してしまったよ。顔から火がでるほどに恥ずかしいぃ。
リリアナが私の顔をじっと見つめた。
「お姉様……何か有りましたね?」
「ひぇ!? な、何も無いよ?」
「嘘。私の目をちゃんと見て下さい」
逆に視線を逸らしてしまった私。リリアナは形良く整えた眉を跳ね上げて舌打ちをした。
「誰かが抜け駆けをして、お姉様にアプローチしたのね!」
ギクッ。
「誰が!? まさかお子様のアナタ達じゃないですよねぇ?」
不機嫌になった受付嬢はマキアとエンを睨みつけた。
「お子様って……。キミの方が年下じゃん」
マキアはリリアナの迫力にタジタジだったが、
「アプローチの機会が有るとすると、昨日の夕食後からさっき馬車に乗り込むまでの間だな」
エンはしれっと推理モードに入っていた。そう言えば彼は犯人捜しが得意だったな。彼が今日も本を開いているので私は尋ねた。
「エン……。よく読書しているけど、好きなジャンルは?」
「推理小説だ」
やっぱり。
リリアナが腕組みをした。大きなおっぱい(詰め物)が腕に挟まれて強調された。
「夕食後か……。けっこう皆さん、テントを出たり入ったりしてましたよねぇ」
「全員の退出時間を表にしてみよう。行動目的と照らし合わせて、空白期間が多かった者が第一の容疑者だ」
嫌ぁ。忍者が本格的に犯人捜しをしているよ! ルパートが犯人だと特定されたらリリアナに撃たれるかも!
「いいじゃんよ、誰でも」
しかしここでマキアのストップが入った。
「ロックウィーナはもう立派な大人なんだ。誰とデートしたっていいじゃんか。外野が騒ぎ立てることじゃないよ」
ま、マキア~~~~!!
「そ、それはそうですけどぉ……」
「……その通りだな。興味本位で騒いですまなかった、ロックウィーナ」
追及者二名は確実にトーンダウンした。良かったぁ。
救いの主となったマキアをチラリと窺うと、彼はリリアナやエンから見えないように私へウィンクした。意識して助けてくれたんだね、ありがとう。
「ほっほっほ、青春ですなぁ」
アスリーの締めで私のデート相手推理大会が終わった。25歳の私が青春時代だと主張しても良いかどうかは疑問である。
「馬鹿! デカイ声で……」
慌ててルパートが手で私の口を塞いできたが遅かった。こちらを見るニヤニヤ一般兵の数が増えていた。彼らへ休憩時間の話題を提供してしまった。
二人して赤面して汗を掻いた。
「ギルドの馬車へ戻ろう……」
「…………はい」
そそくさとその場を後にする私達の背中へ、ヒューヒューと祝福の口笛が贈られた。
「ホント、悪かった」
「本当ですよ。私は先輩の冷たい態度に傷付いて、昨晩ほとんど眠れなかったんですからね。反省して下さい」
「…………? 冷たい態度に傷付いたのか?」
「そりゃそうでしょう? キスの後に逃げられたんですよ? 女としてどれだけ惨めだったか」
「じゃあ、キス自体はおまえも嫌じゃなかったのか?」
「!」
バ~レ~た~。
「ウィー?」
「何のことやら」
キスは素敵だったよ。正直うっとりしたよ。でもルパートを喜ばせるのは癪だ。無理矢理ファーストキスを奪ったことはキッチリ反省してもらわないと。
「早くみんなの元へ行きましょう」
私は不貞腐れたがルパートは微笑んだ。そして手を握ってきた。指同士を絡める所謂恋人繋ぎというやつだ。調子に乗ってきましたね。
彼の指を振り解こうとしたが、むむ、かえって固く握られてしまったよ。にゃろう。これもまた嫌と感じない自分が腹立たしい。
幸せそうに笑わないでよ、馬鹿ルパート。
ルパートと二人で人混みを避けるように、かなり遠回りをしてテクテク歩いた。それでも十分もしたらギルドの馬車が見えてきた。
もう他のみんなは乗り込んでいるのだろうか? 私も合流しないと。
「それでは私はここで。自分の馬車へ戻りますね」
ところが名残惜しそうに、ルパートが繋いだ手を放してくれない。
「……昼休憩の時にまた会えるよな?」
「は、はい。夜はまた女性兵士のテントへお邪魔しますが」
「そうか。じゃあまた昼にな」
反則級の爽やか笑顔を私へ向けてから、ルパートはようやく手を解放してくれた。これではまるで付き合い始めのカップルのようだ。そんなことは全然無いのだけれど。
「おはよ、ロックウィーナ。何かイイことでも有ったん?」
馬車へ乗り込んだ私へ開口一番、マキアがよく解らない挨拶を投げかけてきた。
「へ? 何で?」
「顔、めっちゃニヤけてるよ」
「!」
私は思わず両手で頬を押さえた。……ニヤけてた? 自覚が無かったけど私は笑っていたの? ずっと? ルパートの前でも!?
「違────う!!!!」
「うおっ!」
「きゃあ!?」
うっかり大声を出してしまい、マキアとリリアナが身構えた。エンと執事のアスリーは普段通りだ。殺気を感知しない限りは動揺しなさそうな二人だ。
「……驚かせてゴメン。でも特にイイことは無かったから。断じて違うから」
「そ、そう?」
明らかに引いているマキアを横目に、私も馬車の座席に腰かけた。
ふう。なんてこったよ。気が緩み過ぎだ。ルパートと距離が縮まったことを喜んでいるみたいじゃないの。
そんなことは有り得ない。昔と違って今の私は彼に恋をしていない。
(でもルパート……、私とキスできて嬉しかったって)
「うっきゃああぁぁ!!!!」
「何だぁ!?」
また大声を、と言うより派手に叫んでしまった。ルパートと交わしたキスを鮮明に思い出してしまったよ。顔から火がでるほどに恥ずかしいぃ。
リリアナが私の顔をじっと見つめた。
「お姉様……何か有りましたね?」
「ひぇ!? な、何も無いよ?」
「嘘。私の目をちゃんと見て下さい」
逆に視線を逸らしてしまった私。リリアナは形良く整えた眉を跳ね上げて舌打ちをした。
「誰かが抜け駆けをして、お姉様にアプローチしたのね!」
ギクッ。
「誰が!? まさかお子様のアナタ達じゃないですよねぇ?」
不機嫌になった受付嬢はマキアとエンを睨みつけた。
「お子様って……。キミの方が年下じゃん」
マキアはリリアナの迫力にタジタジだったが、
「アプローチの機会が有るとすると、昨日の夕食後からさっき馬車に乗り込むまでの間だな」
エンはしれっと推理モードに入っていた。そう言えば彼は犯人捜しが得意だったな。彼が今日も本を開いているので私は尋ねた。
「エン……。よく読書しているけど、好きなジャンルは?」
「推理小説だ」
やっぱり。
リリアナが腕組みをした。大きなおっぱい(詰め物)が腕に挟まれて強調された。
「夕食後か……。けっこう皆さん、テントを出たり入ったりしてましたよねぇ」
「全員の退出時間を表にしてみよう。行動目的と照らし合わせて、空白期間が多かった者が第一の容疑者だ」
嫌ぁ。忍者が本格的に犯人捜しをしているよ! ルパートが犯人だと特定されたらリリアナに撃たれるかも!
「いいじゃんよ、誰でも」
しかしここでマキアのストップが入った。
「ロックウィーナはもう立派な大人なんだ。誰とデートしたっていいじゃんか。外野が騒ぎ立てることじゃないよ」
ま、マキア~~~~!!
「そ、それはそうですけどぉ……」
「……その通りだな。興味本位で騒いですまなかった、ロックウィーナ」
追及者二名は確実にトーンダウンした。良かったぁ。
救いの主となったマキアをチラリと窺うと、彼はリリアナやエンから見えないように私へウィンクした。意識して助けてくれたんだね、ありがとう。
「ほっほっほ、青春ですなぁ」
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