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上官命令

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軍国歴191年。軍国はとある国を侵略していた。
侵略の理由は言いがかりの様なものであったが、かの国からしたら日常茶飯事。
この様なやり方で無理矢理他国の領土を削り取っていった。
これは、そんな軍国ととある国の戦場で起こった時のお話。



鬱蒼とした森の中を二人の兵士が歩いている。
一人は若年兵、もう一人は妙齢の女性兵士だ。
ティティス:「完全にはぐれたな…」
リン:「お前があっちだって言うからだ」
ティティス:「まあそういう事もあるさ」
女性兵士のリンは呆れ顔で溜息をついた。ティティスと呼ばれた少年は苦笑いを浮かべている。
リン:(こいつ……)
二人は先程まで小隊の仲間達と一緒にいたのだが、戦闘中に離れ離れになってしまったのだ。
そしてそのまま今に至るという訳である。
ティティス:「それにしてもここはどこなんだ?」
ティティス達は周りを見渡した。そこは深い森だった。木々は高く空を隠して太陽の光も届かない。
リン:「敵領内だってのは分かるけどな…」
ティティス:「そろそろ日が落ちるな…ここは無理せず野営しようか」
ティティスの提案にリンは仕方ないといった表情で同意する。
リン:「あそこにボロい小屋がある、敵がいないか確認してみよう」
ティティス:「分かった」
二人は警戒しながら小屋へと近付く。その建物は人が住んでいないのか酷く老朽化しており、壁には蔦や草木が伸びていた。
中を確認する為に扉に手をかけると、ギィッっと軋む音を立てて扉が開かれた。
リン:「敵影無し、オールクリア」
ティティス:「ふう……」
リン:「とにかく入ろう」
二人は小屋の中へ足を踏み入れる。
室内には机と椅子があり、壁際にはベッドが置かれていた。部屋の隅には薪が積まれているが、もう何年も使われた形跡がない。
ティティス:「よし、今日はここで休もう」
リン:「ああ、そうだな」

誰もいない小屋とは言えここは敵地だ、リンは小屋の入り口2か所に簡易的な鳴子を仕掛けた。
ティティス:「しかし……まさかこんな所で二人っきりになるとはね」
リン:「お前が撤退中にすっ転ぶからこんな事になったんだ…」
ティティス:「いやぁ、あの時は焦ったよ、あのまま置いて行かれたらどうしようって思った」
彼が無様に地面に転がったのを見かけたリンは、敵弾飛び交う中、上官を助けに戻ったのだった。
リン:「全く、お前はいつもドジばっかりしやがる」
そう言いつつリンはボロボロのベッドの具合を手で確かめ腰を下ろした。
そして懐を探り、煙草を一本出して火を付ける。
リン:「おい、お前も銃器の点検をしろ、整備不良があったら腕立て100回だぞ」
ティティス:「おいおい、今は俺が上官だ、いつまで教官気分でいやがる」
そう言いつつティティスはリンの横に座る。そして面倒くさそうに銃器の点検を始めた。
リン:「おい、ちゃんとやれよ、いざとなった時に撃てませんじゃ話にならんぞ」
ティティス:「分かってますよ~教官殿」
そう言ってティティスは短銃の薬室部分をガシャリと開けて確認している。
リン:「お前は一番出来の悪い生徒だったからな、私の配属先がお前の指揮下と知った日はヤケ酒をしたさ」
ティティス:「それが今や前線で一番功績を上げてる隊なんだから文句言うなよ」
リン:「ふん、まあ実戦の戦術眼は認めるがね…ただ射撃が致命的に下手だ、もうちょい当ててくれないと戦力にはならんな」
ティティス:「それは悪かったな」
ティティスはそう言うと銃器をしまい仰向けにベッドに倒れた。



しばらく時間が経ち、日が完全に落ち辺りは真っ暗闇となった。
ここは敵地だ、下手に明かりを灯せば敵に見つかる恐れがある。
窓から差し込む月明りだけを頼りに二人は時を過ごしていた。
リン:「寒いのか?」
夏過ぎとはいえ夜は徐々に冷える様になってきた時期だ。ティティスがかすかに震えているのが分かる。
ティティス:「いや、大丈夫だ」
リン:「嘘をつけ、ほらこっち来い」
リンは荷物から薄手に金属布を取り出し、自分とティティスの体を包む。
ティティス:「あたたかいな、こんなの持ってるなんて歴戦の兵士の知恵か?」
リン:「馬鹿言うな、教本に載ってただろう」
そう言ってやれやれと頭を振った。
ティティス:「教練中の記憶なんて同期とこんな感じでバカ話してた思い出がほとんどだよ」
ティティスがポツリと呟く。
リン:「どんな話をしていたんだ?」
ティティス:「そうだな……例えばどの女性教官が好みだとかかな?」
リン:「男ってやつは全く……」
歴戦の軍曹は深いため息をついた。
ティティス:「お前も結構人気あったんだぞ?胸は小さいが顔が綺麗だってな」
リン:「くだらないな…もう寝ろ、明日は隊と合流しなきゃならん」
そう言って軍曹は反対側を向いて寝てしまった。
本来ならどちらか片方が起きて見張りをすべきだが、山奥である事と疲労が激しかったため、周囲に色々仕掛けて寝る事にしたのだった。

30分ほどしただろうか、ティティスは眠れずにいた。この小屋は静か過ぎる。聞こえてくるのは自分と軍曹の呼吸の音だけだ。
彼はふと自分の横にいるリンを見た。反対側を向いているがしっかり寝ている様だった。
初陣で遭難中という緊張感と、背中越しに伝わるリン体温が気になって目が冴えてしまっていた。
同期とミス上官投票をした時には、ティティスはしっかりとリンに投票していた。
艶やかな黒髪で切れ長の一重瞼、一般的に見てもリンは美女の部類で、ティティスの好みにドンピシャだった。
戦場とはいえ、その彼女が同じベッドで背中合わせで寝ているのだ、思春期の若者には刺激が強すぎた。
リン:「眠れないのか?」
唐突に声を掛けられたティティスはビクッと肩を震わせた。
ティティス:「ああ…敵地で遭難なんて初めての経験だからな」
リン:「この軍国で軍人やってりゃたまにはある事だ、とっと寝ないと明日に響くぞ」
リンはそう言いながらティティスの方へ寝返りを打った。
少し震えているティティスを見て溜息をつきながら頭を抱きしめた。
リン:「まったく…私はお前のママじゃないんだぞ…」
元女性教官の唐突の行動に驚いたものの、そのまま胸に顔を埋めた。
ボリューム感が少し足りない気がしたが、心地良い柔らかさだった。
若さゆえの行動が、ティティスは何気なく手をのばし、リンの胸を触った。
リン:「おい、こら!」
とっさにリンがたしなめたが、ここぞとばかりにティティスが口を開く。
ティティス:「隊の存続のためには私の精神安定が重要だ、軍曹の胸は良い安定剤となると判断した」
そう言ってティティスはリンの乳房に顔をうずめた。
リン:「馬鹿、こんな敵地で何盛ってやがる、何を考えてるんだ」
しかしティティスはその言葉を無視し胸を揉み続けた。そして一言。
ティティス:「上官命令である」
そう言うとティティスは更に胸を揉んだ。
リン:「くそ…覚えておけよ」
リンは羞恥からか自分の胸を弄ぶティティスの頭をより強く抱きしめた。
ティティス:(お、怒られると思ったが意外に大丈夫だ)
ティティスは思わず感動の声を上げそうになった。
しばらくなすがままだったリンだが、ふとした疑問を口にした。
リン:「上官殿?そんなに盛っちまって眠れるのか?」
ティティス:「貴様の意見はもっともである、よって貴様に私の手淫を命じる」
顔を赤らめながら手淫を命じる上官にリンは呆れ返ったが、股間をモジモジさせた少年を放置するのも良くない気がしていた。
元々奥手で男性経験の少ないリンだが、依然の彼氏から男について多少は教わっていたのだ。
リン:(まあ一発抜けば大人しくなるか…)
そう思いつつリンはティティスの股間を何気なく触った。
触られたティティスはビクッとしたものの、リンの手を受け入れた。
リン:「こんなにデカくして、よほど溜まっていたのか?」
ティティス:「まあな…部下たちが余暇に娼館に行っているのは知ってたが、俺はまだ行く勇気がなかった」
リンはそっとティティスのズボンのベルトに手をかけた。
ティティス:「ちょちょ!何を!?」
軍曹の手を制止しようとしたが、彼女からたしなめられた。
リン:「上官殿、このままパンツに出すのでありますか?それでは明日から精子少尉というあだ名になるかもしれません」



ティティスは慌ててズボンを脱ぎ、パンツの中のイチモツを露出させた。
リン:(こいつ元カレより良いモノもってるな…)
ちょっと関心しつつティティスの体を起こし、後ろから抱きかかえる様にしてティティスのモノをしごき始めた。
リンがティティスを優しく愛撫していると、ティティスの身体がビクビクと痙攣し始めた。
ティティス:「軍曹…もう…出るッ!」
それを聞いたリンがティティスのイチモツに手近な布を当て耳元で囁いた。
リン:「上官殿、吐精してください❤」
ティティス:「あっ……」
ティティスは小さく呻き、白濁液を布に撒き散らした。
ティティスの荒い呼吸が収まるまで、リンは背中を抱いていた。
リン:「落ち着いたか?さあもう寝るぞ」
ティティスのペニスの精子を拭きとり、リンは金属布を整え始めた。
寝床を整えているリンの後ろからティティスが抱きついてきた。
リン:「何をしている?ここは敵地だぞ、これ以上はダメだ」
諭すようにティティスに話すリンだったが、ティティスの手は緩まなかった。
ティティス:「軍曹、俺は候補生時代から軍曹が好きだった…」
リンの背中に頭をくっつけたティティスが話始める。
ティティス:「戦場じゃいつ死ぬか分からない、そんな場面をたくさん見て来た」
ティティス:「馬鹿な事だとは分かっているが、自分の気持ちを隠すのはもう無理だ、後悔したくないんだ」
自分の胸の前で組まれたティティスの手に自分の手を添えた。
リン:「お前のその気持ちは嬉しいが、この状況では…」
言い淀むリンの服の下から手を入れて来たティティスが囁きながらも若干強い口調で言った。
ティティス:「リン、私と付き合え、そしてここで愛し合うんだ。これは上官命令だ」
ティティスの言葉にリンは無言になったが、抵抗する力は無くなっていた。
リン:「もう何日も風呂に入ってないんだ…臭うぞ」
そう言ってリンは振り返り、ティティスと唇を重ねた。
お互いの舌を絡め合い、唾液を交換し合った。
ティティスがリンを押し倒したが、リンはされるがままになっていた。
ティティス:「リン……綺麗だよ」
そう言うとティティスはリンの首筋に吸い付いた。
首から胸へとキスを落としながらリンの上着を捲った。
リンは恥ずかしさから顔を背けたが、胸が露わになると顔を赤らめた。
ティティス:「リン……好きだ……」
リンはティティスに乳房を揉まれ、乳首を舐められると少し声を上げた。
そしてティティスはリンの股間へ手を伸ばし、秘所に触れた。



リン:「あ……」
リンの声にティティスが反応した。
ティティス:「リン、感じてるのか?」
リンは答えなかったが、ティティスは満足げに微笑み、更に指を動かし続けた。
ティティス:「リン……愛してる」
そう言ってティティスはリンの膣内に挿入しようとしたとき、リンが慌てて声をかけた。
リン:「まって、ゴムがあるからそれ着けて、さすがに今妊娠したらまずい」
まさか使うとは思っていなかった軍給支給のコンドームを取り出す。
ティティス:「わかった…」
そう言うとティティスはリンから手渡されたゴムを装着しようとするが上手くはめられない。
リンはティティスからコンドームをとり優しくそれを被せた。
ティティス:「リン……入れるよ……」
リン:「ああ」
ティティスはゆっくりと腰を進め、リンは痛みに顔を歪ませた。
リン:「そっちは違う穴…」
ティティス:「あ、ごめん」
リンの穴の位置を確認し、ティティスは改めてペニスを挿入した。
ティティス:(やばい…これは気持ち良すぎる)
ゆっくり動いていたティティスだったが、我慢できなくなり徐々にペースを上げていった。
ティティス:「リン……リン……好き……だ……」
囁きながらリンに抱き着き、ティティスはそのまま果てた。



しばらく抱き合った後、ティティスが顔を上げてリンに尋ねた。
ティティス:「リン、俺ちゃんと出来たかな?」
心配そうな顔でティティスが話しかけた。
リン:「ああ、なんとかな……」
リンがティティスを抱きしめた。
ティティス:「よかったぁ……ところでもう一回良い?」
真顔で迫るティティスに顔を真っ赤にしたリンが答えた。
リン:「もう好きにしてくれ……」
結局、ティティスとリンはあと2回戦して眠りについた。

翌朝、リンが目を覚ますと既にティティスが装備を整えて朝食を作っていた。
身体を起こし、昨晩の情事を思い出したリンは恥ずかしさに悶絶した。
ティティス:「おはようリン、よく眠れたか?朝飯作ったから食べよう」
リン:「り、了解」
恥ずかしさでまともにティティスの顔を見れないまま朝食を済ませた。
朝食を食べ終わった頃、森の向こうからかすかに鳥の鳴き声の様な音が聞こえた。
その音を聞いたリンが小屋を出て、指笛で同じような音を返した。
しばらくすると、遠目にティティスの小隊メンバーが見えた。
ティティス:「はー、助かった」
ホッとした表情を浮かべるティティスにリンはニヤリと笑いかけキスをした。
リン:「こうなった以上は浮気したら許さんぞ」
そう言ってリンは股間をハサミで切る仕草をした。
ティティス:「了解しました、教官殿!」
直立不動で敬礼したティティスを到着した隊員達で囲み無事を喜んだ。

一連の作戦を終え、休暇のため一時帰国する事になったティティスの小隊は汽車に揺られていた。
男性隊員「まさか小隊長に軍曹を奪われるとはなー、俺狙ってたのに…」
これ見よがしにぼやく隊員にティティスが苦笑いした。
女性隊員「軍曹!遭難した日に小隊長とヤッたでしょ?」
リン:「えっ…それは…」
女性隊員「やっぱり!合流した時の小隊長がなんだか男の顔になってたからもしやと思ってたんだ~」
リンが顔を真っ赤にして俯いてしまった。
ティティスが照れくさそうに頭を掻くと、周りの隊員がヒューと口笛を吹いた。
男性隊員「街に着いたらガッツリ娼館にでもしけこむか…今度は小隊長殿もどうです?結構いい店あるんですよ♪」
リン:「お、お前ら!小隊長殿を変な店に誘うなよ!これは命令だ!!」
顔を赤らめながら叫ぶリンを見て皆が笑った。



青空の下、隊を乗せた列車は街に向かって揺られて行った…

- 了 -

〇あとがき
セリフの書き方を変えてみた
元々好意を持っていた同士のお話です。
一方的だと大問題になるので良い子はマネしないでね。
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