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一歩前進、そして暗雲

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暫くはゆっくり動いていたアウロンだったが、スムーズに出し入れが出来るようになったら腰を打ち付けるように動き出した。

「はぁ…望、分かる?……ここ、ここだよ。ね?一番奥……はぁ……気持ちいい?」

朦朧としている望は体が揺すられるがまま突かれる度に声が漏れ出る。

「誰も寄せつけないように俺の精と一緒に魔力も体の奥から馴染ませて染み渡らせるから」

段々と加速していくしていく腰の動きとアウロンの想い。

「望……望……望……うっ……出すよ」

いっそう奥に叩きつけ、ほとばしるアウロンの精と魔力。望は完全に気を失ってしまった。一度己自身を出したアウロンは荒い息をつきながら望の頭を撫でる。蕩けるような甘い微笑みで望を見つめるがその姿を見る者は誰もいない。
優しく望の額にキスをして囁く。

「望…もう1回いい?」

意識のない望に話しかけ、当然返事はかえってこないが最初から独り言だったようで流れる仕草で濃密な愛の行為は続けられた。




++ ┉ ++ ┉ ++ ┉ 


[おい、お前…麗しの騎士に呪われてるぞ]


望は真っ白な空間にいた。


(え?)


[お前だ、お前。すげぇ奴にツバつけられてるぞ]


(麗しの騎士……アウロンさん?………………え!?俺、アウロンさんに呪われてんの!?)


[お前、よく平気だな。あんなのが近くにいて]


(アウロンさんは、優しいよ…え?てか誰?)


[分かってんだろ、俺が濁った魔の力だよ。黒い靄そのもの。見ただろ]


目の前に人型の靄がボンヤリと現れる。声はその靄から聞こえているようだ。


(見た……助けられなくて、ごめん)


[無理に決まってんじゃねぇか、過去だぞ。文句ばっか言ってるくせにお人好しのバカだな]


(そ、そんな…こと…)


[あるんだよ。俺とお前は違った、それだけだ。後付けみたいに魔力が出てきた俺らは、その人物の本質みたいなもんが魔力に変わるんだろうな…だから俺は最初から邪悪で、お前はお人好し]


(でも、あんたは…あんなことが無ければ)


望のその言葉を遮るように話し出す。


[千年くらい色んな奴を苦しめてきたし…ここいらが潮時かもな…。お前みたいな奴も現れたし、やべぇ奴もいるし]


(え?)


目の前の靄は一瞬揺れてから。


[浄化されてやるよ。消えてやるっつってんの]


(え…消え…ちゃうの?)


[何言ってんだ?当たり前だろ。本当にバカだな]


(でもさ、何かさ…何か……他に方法は無いの?)


[無い]


(そんな……それじゃあ…あんまりだよ)


[人はいつか絶対死ぬ。俺はそれを抗ったんだよ、千年近くネチネチとな]


(………………)


[何か最後にお前みたいなのと関われて…良かったのかも…。愛のパワーとか言いたくないけど…お前の中で一緒に勘違いしたのかも。俺も大事にされて…愛されたとか…]


望は我慢出来なくなってボロボロ泣き出した。


[お前が泣くのかよ。お人好しだな]


(俺ん中に居たから…気持ちが分かっちゃうだよ)


目の前には黒い靄、夢に見たはずなのにあの人の顔が思い出せない。


[俺とあの森は繋がってんだよ。だからここはもう…平気なんじゃねえの?あの城のことは知らねぇけど]


(え"……)


[だいたい、元の世界の奴らにだいぶ迷惑掛けたのは事実だし、俺は消える存在だよ。知ってるか?黒い靄が発生する前は、こんなに頻繁に召喚とかして無かったんだぜ]


(そうなの!?)


[時間の流れが違うから、こっちとあっちじゃ。元の世界だと毎年誰か召喚されてたんじゃねぇのかな…俺だって携帯使ってたし]


(マジで!?最近じゃん)


[元の世界でもクソみたいな人生で、こっちでもクソみたいだったけど、長い間暴れまくったから…もういいよ。こうやって、誰かと話がしたかっただけなのかもしれないし…]


(本当に、もう消えちゃうの?)


[バーカ……]


少しづつ黒い靄が薄くなっていくみたいだ。


[最後に話せて良かったよ。あ、アイツには気を付けろよ]


(アイツ?)


[麗しの騎士に決まってんだろ。奴はイカれてんよ。まぁ後は城の本の方頑張って、あれは純粋な恨みの塊だけだから]


(え、おい……嘘だろ)


ぱっと目の前から黒い靄が四散して消えた。嫌な言葉を残して。
望は何も無くなった目の前を見つめる。なんの欠片も無く消えてしまった。物悲しい気持ちだけが残ったようだ。邪魔者が悪いことをしました。だから退治しました、だけじゃ無い気持ち。どうすることも出来なかったが、もう少しどうにか出来たのではないかと後悔する。消えてしまったあの人の気持ちは誰にも知られない。悔しささえ感じた。
落ち込んでいると全身がポカポカして来る。


(あぁこれはアウロンの腕の中だ…)



++  ┉ ++ ┉ ++ ┉ 



 ゆっくり目を開ける。やっぱりポカポカと暖かいもので包まれている。この匂いはアウロンのものだ。匂いまで分かるなんて、どれだけずっと近くにいたことか。
喉が乾いた。何だか違和感を感じ咳払いをしてみる。

「んんっ……けほっ……」

「望!」

目の前にアウロンの顔が現れた。

「望…起きた?意識は?大丈夫か?」

「アウロンさん……んんっ……大丈夫……何だけど……何か……んっけほっ…」

「ゆっくり起きて、今水をあげるね」

「ありがっ…………」

体に力を入れて起き上がろうとしたが出来なかった。

「……何これ……痛い……え、痛い……え……後ろが痛い……え……え……」

無言で微笑んでくるアウロンの顔を見て望は悟った。

「え!?アウロンさんとやっちゃった!?」
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