【完結】全ては王子の手のひらの上

天冨 七緒

文字の大きさ
2 / 65
本題

しおりを挟む
 須藤花蓮すどうかれん

 日本の高校に通う十五歳の女の子。
 彼氏はいない、部活は帰宅部。家族構成は父と母と姉の四人家族。
 人生設計はまだ考え中だが、漠然とはある。
 それは大学行って就職して結婚、子供は二人で幸せな老後を送る……だ。
 大それた夢はなく、世間でいう平均的な幸せを希望している。
 私は至って普通で特別なことはないので、お金持ちになる、芸能人と結婚する、映画のような人生を送る…なんて事は私に起こらないことを理解している。

 今日はお盆に入り家族と涼を取るために山にバーベキューにやって来た。
 ズボンの裾を捲り川に入れば冷たく気持ちよく、いつまでも川遊びに夢中になってしまったのは山とはいえ気温が上昇しているせいだ。
 バーベキューの準備が整い食事をする。
 何時間が涼んだあと私達は泊まることなく家に帰る事にした。世の中が長期休暇の為に高速道路は混雑すると予想し早めに出たが、考えは甘く長いこと渋滞にはまり外は暗くなり始めた。
 一度サービスエリアで食事と休憩しこの後は極力どこも寄ることはなく家を目指す事にする。
 帰りの車中では母親が撮っていた写真を姉と二人で確認していると一枚の写真に気が付いた。

「何これ心霊写真?」

「えっ?」

 写っていたのは私と姉が川に入っている姿だが、私の後ろにもう一人誰かいるように見えた。
 あの川は私達の貸しきりではなかったが、近くには家族しかいなかった。

「これ、なんか花蓮に似てるね」

「えっ?」

 姉がふざけて言っているのかと写真を確認すると、確かに私に似ているように見えた…

「心霊写真って言うより残像っぽいね」

「残像…」

 確かに言われると残像のようにも見えなくもない。
 川を眺めている私と遠くを眺めている私。
 きっと写真を撮るときに勢いよく起き上がったりしたのだろう…姉は気にすることなく別の写真を確認し始める。
 私も深刻には考えず忘れることにした。
 早朝から移動し川で遊び食事も終え程よく揺れる車に次第に眠くなり私は眠ってしまった…

 キキーッ…ドォーン…ガシャン…ドン…ガシャーン…
 
 私は今、空を飛んでいる…体が浮き上がり重力を感じず自由に進みたい方向に進む。
 飛んでいることを疑問にも思わず、私は飛べることを楽しんでいた。
 自分が生まれ育った町を空から眺め観光気分で楽しむ。普段知っている町並みも空から見ると雰囲気が変わる。
 山の上の中学校も飛んで行けばあっという間で、風に乗って更に上昇する。
 どこまでも飛んでいき次第に私の住んでいた町とは別の、見知らぬ光景になっていく。
 いつの間にか外国に来たようで、日本とは全く違う町並みに興奮する。活気に満ち待ち行く人々の顔立ちも、堀が深く目鼻立ちがハッキリしている。
 更に飛んで移動すると一際目立つ教会のような建物が見え、躊躇うことなく私は教会を目指していく。

「レオ……ドさま…近…くオマエ…許さな…」

 声が聞こえ振り返ると、光輝く何かに気付いた。
 その物体が次第に近付き、私は避けているのに向こうは近付いてくる。
 逃げているのに同じ方向に勢いをましやってくる…パニックになり方向を変えようにも真っ直ぐにしか飛べなくなる。
 後方を確認すればすぐそこにいた…私は避けきれずにぶつかる覚悟を決め、両手を顔の前で交差して防御姿勢を取った。

「…ひゃっ」

「きゃっ…」

 私達は勢いよくぶつかり痛みは感じなかったが、回転しながら落下していく感覚があった。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

「君は悪役令嬢だ」と離婚されたけど、追放先で伝説の力をゲット!最強の女王になって国を建てたら、後悔した元夫が求婚してきました

黒崎隼人
ファンタジー
「君は悪役令嬢だ」――冷酷な皇太子だった夫から一方的に離婚を告げられ、すべての地位と財産を奪われたアリシア。悪役の汚名を着せられ、魔物がはびこる辺境の地へ追放された彼女が見つけたのは、古代文明の遺跡と自らが「失われた王家の末裔」であるという衝撃の真実だった。 古代魔法の力に覚醒し、心優しき領民たちと共に荒れ地を切り拓くアリシア。 一方、彼女を陥れた偽りの聖女の陰謀に気づき始めた元夫は、後悔と焦燥に駆られていく。 追放された令嬢が運命に抗い、最強の女王へと成り上がる。 愛と裏切り、そして再生の痛快逆転ファンタジー、ここに開幕!

目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです

MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。 しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。 フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。 クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。 ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。 番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。 ご感想ありがとうございます!! 誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。 小説家になろう様に掲載済みです。

冷徹宰相様の嫁探し

菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。 その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。 マレーヌは思う。 いやいやいやっ。 私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!? 実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。 (「小説家になろう」でも公開しています)

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

厄災烙印の令嬢は貧乏辺境伯領に嫁がされるようです

あおまる三行
恋愛
王都の洗礼式で「厄災をもたらす」という烙印を持っていることを公表された令嬢・ルーチェ。 社交界では腫れ物扱い、家族からも厄介者として距離を置かれ、心がすり減るような日々を送ってきた彼女は、家の事情で辺境伯ダリウスのもとへ嫁ぐことになる。 辺境伯領は「貧乏」で知られている、魔獣のせいで荒廃しきった領地。 冷たい仕打ちには慣れてしまっていたルーチェは抵抗することなくそこへ向かい、辺境の生活にも身を縮める覚悟をしていた。 けれど、実際に待っていたのは──想像とはまるで違う、温かくて優しい人々と、穏やかで心が満たされていくような暮らし。 そして、誰より誠実なダリウスの隣で、ルーチェは少しずつ“自分の居場所”を取り戻していく。 静かな辺境から始まる、甘く優しい逆転マリッジラブ物語。

裏切られた令嬢は、30歳も年上の伯爵さまに嫁ぎましたが、白い結婚ですわ。

夏生 羽都
恋愛
王太子の婚約者で公爵令嬢でもあったローゼリアは敵対派閥の策略によって生家が没落してしまい、婚約も破棄されてしまう。家は子爵にまで落とされてしまうが、それは名ばかりの爵位で、実際には平民と変わらない生活を強いられていた。 辛い生活の中で母親のナタリーは体調を崩してしまい、ナタリーの実家がある隣国のエルランドへ行き、一家で亡命をしようと考えるのだが、安全に国を出るには貴族の身分を捨てなければいけない。しかし、ローゼリアを王太子の側妃にしたい国王が爵位を返す事を許さなかった。 側妃にはなりたくないが、自分がいては家族が国を出る事が出来ないと思ったローゼリアは、家族を出国させる為に30歳も年上である伯爵の元へ後妻として一人で嫁ぐ事を自分の意思で決めるのだった。 ※作者独自の世界観によって創作された物語です。細かな設定やストーリー展開等が気になってしまうという方はブラウザバッグをお願い致します。

処理中です...