【完結】全ては王子の手のひらの上

天冨 七緒

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本題

スカーレット・ファルビアンクス

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 私の名前はスカーレッド・ファルビアンクス十七歳。
 この国はガランディオール王国という。
 貴族制度を取り入れていて階級は上から公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵とあり我が家は数少ない公爵の一つらしい。
 家族構成は父と母と私の三人家族で、先ほど私を抱き締めたのが父であるシリンスリー・ファルビアンクス。
 彼は赤い髪で空色の瞳をしかなり派手な印象を受ける。
 特別に髪を染めていたりカラーコンタクトのようなものを使用しているのではなく本人の特徴だ。
 父と共に現れ控えめの美しい女性の母はティメアノール・ファルビアンクスといい、髪の色は空色瞳は緑とこちらも日本では珍しい組み合わせ。
 そんな二人の子供の私は髪は赤く、瞳は緑。誰がどうみても娘と分かる程、二人の特徴を色濃く受け継いだので両親は娘をかなり溺愛しているよう。
 
 そして私は王都にあるセントルクレチア学園に通い、最高学年となり三ヶ月が経とうとしている。
 病気や怪我などの理由がない限り大抵の貴族は十五歳で入学し、三年間通うことになっている。
 セントルクレチア学園は王都一といって良い程有名な学園。
 貴族であれば誰もが通う学園でありガランディオール国にいながら学園に通わない者は異端児となり貴族社会では奇異の目で見られてしまう。
 なので、突然スカーレットになってしまった私も卒業しないわけにはいかない。
 運が良いのか今は連休中。
 いつ記憶が戻るのか分からないので、万が一を考え無事に乗り切り卒業出来るよう一日でも早くこの国の仕来たりや常識を頭に叩き込むことになった。
 私を置き去りに話が進むので着いていくのに必死…いや、心の中では元の身体に戻るので必要ないと考えている部分もあるので集中できないでいた。

「今月のレオナルド王子とのお茶会は大事をとってお断りの連絡しておくわね」

 王子主催のお茶会をこちらの都合で断って良いものか不安に思うも、断らずに参加したとしてもボロが出て別人だと気付かれてしまう可能性もある。
 王子とスカーレットの関係性については分からないが、お茶会に参加するべきなのか何が正しいのか私にはもう判断できないでいた。

「…はい」

 私の頭では答えを導き出せなかったので、母の提案に頷くしかなかった。

「あっそうね。そこも忘れてしまったのよね?スカーレットとレオナルド王子は婚約しているのよ」

 手を組み美しく微笑む母に見惚れてしまうが、放った言葉の衝撃が大きかった。

「婚…約?」

 婚約って…結婚するのが決まっている人達の事…だよね?まだ十七歳にも拘わらずスカーレットは既に婚約しているらしい…

「そうよ、第一王子であるレオナルド様と婚約しているの。貴方は未来の王妃様よ」

「…未…来の王妃…様…」

「そうよ」

 母は幸せそうに語るも私は不安でしかない。
 王族の婚約者であるスカーレットが記憶喪失と知られればどうなるの?
 正確には他人が乗り移っている状態となれば…よくて、婚約解消・破棄…悪いと…悪魔が乗り移ったとか言われて火炙りとかされたりするんじゃ?

「ぁ…あっあのっ」

「どうしたの?気分でも悪くなった?」

「いっえ…あの…記憶…戻らなかったら…」

「心配しないで大丈夫よ。いつか戻るわ、きっと」

 楽観的なのか能天気なのか、私の恐怖は母には一切伝わらない。

「私の事が王族に知れ渡ったら…どうなりますか?」

「…んふ、スカーレットなら大丈夫よ」

 大丈夫?何が?それって丸投げじゃないですか?
 私達が補佐するから心配ないわよ…とか言ってくれないんですか?
 私は王族に対してこれから嘘を吐く、もしくは隠し事をするんですよね?
 そんなの…なんて言うか分からないけど、謀反と疑われる可能性ありますよね?
 「そうだったのか、それは大変だったな。よく話してくれた」…なんて言われて終りなわけないですよね?
 絶対何かしらの罰が有りますよね?無罪放免、お咎めなし……なんて事は無いはず。
 もしかして、真実がバレたら私に全てを押し付けて逃げたりしないよね?

「私これからどうなるの?」

「心配することないわよ。スカーレットはレオナルド王子の事が大好きだったんだもの、逢えばきっと愛の力で思い出すわ」

 母の根拠のない自信は、私の思考を停止させる。
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