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本題
レオナルド・ヴァン・ガランディオール
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最近ファルビアンクスに避けられているのではと感じるのと対照的に、平民の彼女が私に纏わりつくようになり身体が不調を来すようになった。
この感覚には覚えがある。以前、ファルビアンクスに追いかけ回されていた時の事を思い出す。
「…あの平民はあんなだったか?」
入学当初はもっと大人しい印象で会話し、常に身分を気にかけ周囲に気を遣い妄りに相手の体に触れることはなかった。
だが最近は私が誰といても会話に加わり、次第に腕を絡め密着するようになってきた。
やんわり拒絶を示しす態度を取ると
「私の事、嫌いですか?」
眉を寄せ口許に手をやり震える仕草を見せる。
その光景を目撃した周囲からはまるで私を悪者のように映り、そうなると彼女を支持しているヘルマンルイスやリオネル、場合によってはジャンマルクが加勢し私が間違っているかのように諭す。
ジャンマルクはともかく、へルマンルイスとリオネルは私の側近でありながらどちらを優先しているんだ。
彼女は元からこのような性格だったのか?私には別人のように感じてならない。
「別人?まさか…」
恐ろしい考えが頭を過り、私は学園が休みの日に急いで教会へ出向いた。
「ベルナール司教に尋ねたい事がある」
「どうしましたか?」
「魂が…魂…」
「まさか、ファルビアンクス嬢の魂が本人に戻りましたか?」
「えっ?あっいやっ違うんだ。ファフビアンクスではなく…」
私が唯一相談できる司教に分かってほしいと願うあまり焦ってしまい頭が混乱する。
何から説明すれば良いのか……
私の推測が正しくあってほしくないという思いもあり、口にだすのを躊躇ってしまう。
「ゆっくりで大丈夫です」
私の様子から司教は緊急事態と受け取り、部屋に紅茶の準備をしていた者を下がらせる。
普段なら司教と二人きりになってから会話を始めるのだが、周囲の確認を怠る程私の頭は冷静ではなかった。
「もっ…もう一人…別人になった…人間がいます」
「…っ…」
「正確な時期などは分かりません。本人に確かめてもいません…ですが、別人としか思えない程、性格が変わったように感じる人間が居るんです…これは私の勘違いですか?」
「…それは…直接確認しなければ分かりません」
「…あれと二人になるのは断りたい」
女性に対して「あれ」は良くないと分かっているが、名前を口にするのも避けたい。
「確認ですが、その相手は女性ですか?」
「…はい、女生徒です」
「レオナルド王子に執着している様子ですか?」
「…以前は挨拶や多少の会話をする程度で執着は無かったと…」
「今は?」
「…執着…されています」
彼女を思い出すだけで不快な気分になる。
「以前の生徒と特別親しかったことは?」
「…一時はありました。入学当初に…最高学年になってからはその様なことは有りません」
「…もしかしたら一年の時は親しかったのに急に何故?と思ったのかもしれません」
「いやっ、距離を置くことについての理由は本人も口には出していませんが、気付いていたと」
「伺っても?」
「…ファルビアンクスです。本物の。令嬢があまりにも彼女にキツク当たるので、近付かないようにしました」
「…ファルビアンクス…もしかしたら…」
「…何ですか?」
「ファルビアンクス嬢は、その女生徒を恨んでいましたか?」
「…恨み?までは分かりませんが、良くは思っていませんでした」
…私がそうさせた。
婚約解消する為に明確な瑕疵が欲しく、次期王妃に相応しくないよう嫉妬心から淑女にあるまじき振る舞いを引き出す作戦。
ファルビアンクスの視界にはいるよう女生徒と親しいフリを演じ、令嬢の矜持をより刺激する為に相手は貴族令嬢ではなく平民を選んだ。
「もしかしたら、ファルビアンクスが体から抜け出した時、レオナルド王子ではなくその女性の方にいたのでは?」
「…そうなると、何かあるんですか?」
「ファルビアンクスの魂に引きずられ、そちらの女生徒の魂も肉体から抜けてしまったのでは?」
「…まさかっそんなこと…では…今の彼女は…」
「別人の魂が入っている可能性がありますね…」
問題の糸口が見えたというのに、ベルナールの言葉で更なる問題が浮かび上がる。
まさか、ファルビアンクスだけでなく彼女まで別人の魂となってしまうなんて…
「それなら、彼女の魂を元に戻せば…」
「彼女だけが戻れば良いですが魂が今もファルビアンクスと共にいた場合、令嬢の方も…」
「…元に…戻ってしまう…」
私の解釈が間違っていないのかを、再度確認した。
「はい、その可能性がありますね」
ベルナールの言葉に愕然とする。
長年の婚約者の呪いから解放されたというのに、今度は平民に纏わりつかれるとは…それだけなら我慢できても、私の側近を手懐けてしまっている。
平民の方を戻せばいいのだが、その場合魂に連れて婚約者まで戻ってしまう可能性がある…だがこのままの場合、婚約者は大人しいが平民が…
いや、平民は卒業してしまえば関わりないが側近が心配となってくる。
今の彼らの関係から、彼女の言葉を無条件に信じているのでいつ騙され国を揺るがす程の影響が出る可能性がある。
最悪彼らは彼女を王宮勤めにさせようと動くことも考えられる。
そうならない為に平民の魂を元に戻せば婚約者まで元に戻り、再び私は体調不良に悩まされる事になるだろう。
都合よくどちらかだけを元に戻すのは難しく、私はどちらかを選ばなければならない。
今の状態の婚約者を選び側近を警戒する日々を送るのか、二人を元に戻し婚約者に悩まされ続けるのか…
婚約者を棄てるのは簡単だが、今では良好な関係の公爵家の後ろ楯も失う事になる。
以前、ファルビアンクスを教会に連れ真実を伝え精神的負担から眠ってしまった令嬢を抱き抱え運んだことがある。その事で公爵は私達の関係を良好と判断し王族に対して更なる忠誠を示すべく隣国への通行税引き下げ貿易を盛んにし隣国との架け橋となってくれた。
今では婚約破棄するには大きな代償となってしまう。
今の状態を選んだとなると、私の片腕となる側近に不安要素が生まれる。
あの平民の彼女に心酔するあまりいつハニートラップに掛かるのか…もはや時間の問題とも思える。
「私はどちらかを選ばなければならないんですね」
「そうなります」
悩み事を解決するために来たのだが、新たな悩みが増えてしまった…
この感覚には覚えがある。以前、ファルビアンクスに追いかけ回されていた時の事を思い出す。
「…あの平民はあんなだったか?」
入学当初はもっと大人しい印象で会話し、常に身分を気にかけ周囲に気を遣い妄りに相手の体に触れることはなかった。
だが最近は私が誰といても会話に加わり、次第に腕を絡め密着するようになってきた。
やんわり拒絶を示しす態度を取ると
「私の事、嫌いですか?」
眉を寄せ口許に手をやり震える仕草を見せる。
その光景を目撃した周囲からはまるで私を悪者のように映り、そうなると彼女を支持しているヘルマンルイスやリオネル、場合によってはジャンマルクが加勢し私が間違っているかのように諭す。
ジャンマルクはともかく、へルマンルイスとリオネルは私の側近でありながらどちらを優先しているんだ。
彼女は元からこのような性格だったのか?私には別人のように感じてならない。
「別人?まさか…」
恐ろしい考えが頭を過り、私は学園が休みの日に急いで教会へ出向いた。
「ベルナール司教に尋ねたい事がある」
「どうしましたか?」
「魂が…魂…」
「まさか、ファルビアンクス嬢の魂が本人に戻りましたか?」
「えっ?あっいやっ違うんだ。ファフビアンクスではなく…」
私が唯一相談できる司教に分かってほしいと願うあまり焦ってしまい頭が混乱する。
何から説明すれば良いのか……
私の推測が正しくあってほしくないという思いもあり、口にだすのを躊躇ってしまう。
「ゆっくりで大丈夫です」
私の様子から司教は緊急事態と受け取り、部屋に紅茶の準備をしていた者を下がらせる。
普段なら司教と二人きりになってから会話を始めるのだが、周囲の確認を怠る程私の頭は冷静ではなかった。
「もっ…もう一人…別人になった…人間がいます」
「…っ…」
「正確な時期などは分かりません。本人に確かめてもいません…ですが、別人としか思えない程、性格が変わったように感じる人間が居るんです…これは私の勘違いですか?」
「…それは…直接確認しなければ分かりません」
「…あれと二人になるのは断りたい」
女性に対して「あれ」は良くないと分かっているが、名前を口にするのも避けたい。
「確認ですが、その相手は女性ですか?」
「…はい、女生徒です」
「レオナルド王子に執着している様子ですか?」
「…以前は挨拶や多少の会話をする程度で執着は無かったと…」
「今は?」
「…執着…されています」
彼女を思い出すだけで不快な気分になる。
「以前の生徒と特別親しかったことは?」
「…一時はありました。入学当初に…最高学年になってからはその様なことは有りません」
「…もしかしたら一年の時は親しかったのに急に何故?と思ったのかもしれません」
「いやっ、距離を置くことについての理由は本人も口には出していませんが、気付いていたと」
「伺っても?」
「…ファルビアンクスです。本物の。令嬢があまりにも彼女にキツク当たるので、近付かないようにしました」
「…ファルビアンクス…もしかしたら…」
「…何ですか?」
「ファルビアンクス嬢は、その女生徒を恨んでいましたか?」
「…恨み?までは分かりませんが、良くは思っていませんでした」
…私がそうさせた。
婚約解消する為に明確な瑕疵が欲しく、次期王妃に相応しくないよう嫉妬心から淑女にあるまじき振る舞いを引き出す作戦。
ファルビアンクスの視界にはいるよう女生徒と親しいフリを演じ、令嬢の矜持をより刺激する為に相手は貴族令嬢ではなく平民を選んだ。
「もしかしたら、ファルビアンクスが体から抜け出した時、レオナルド王子ではなくその女性の方にいたのでは?」
「…そうなると、何かあるんですか?」
「ファルビアンクスの魂に引きずられ、そちらの女生徒の魂も肉体から抜けてしまったのでは?」
「…まさかっそんなこと…では…今の彼女は…」
「別人の魂が入っている可能性がありますね…」
問題の糸口が見えたというのに、ベルナールの言葉で更なる問題が浮かび上がる。
まさか、ファルビアンクスだけでなく彼女まで別人の魂となってしまうなんて…
「それなら、彼女の魂を元に戻せば…」
「彼女だけが戻れば良いですが魂が今もファルビアンクスと共にいた場合、令嬢の方も…」
「…元に…戻ってしまう…」
私の解釈が間違っていないのかを、再度確認した。
「はい、その可能性がありますね」
ベルナールの言葉に愕然とする。
長年の婚約者の呪いから解放されたというのに、今度は平民に纏わりつかれるとは…それだけなら我慢できても、私の側近を手懐けてしまっている。
平民の方を戻せばいいのだが、その場合魂に連れて婚約者まで戻ってしまう可能性がある…だがこのままの場合、婚約者は大人しいが平民が…
いや、平民は卒業してしまえば関わりないが側近が心配となってくる。
今の彼らの関係から、彼女の言葉を無条件に信じているのでいつ騙され国を揺るがす程の影響が出る可能性がある。
最悪彼らは彼女を王宮勤めにさせようと動くことも考えられる。
そうならない為に平民の魂を元に戻せば婚約者まで元に戻り、再び私は体調不良に悩まされる事になるだろう。
都合よくどちらかだけを元に戻すのは難しく、私はどちらかを選ばなければならない。
今の状態の婚約者を選び側近を警戒する日々を送るのか、二人を元に戻し婚約者に悩まされ続けるのか…
婚約者を棄てるのは簡単だが、今では良好な関係の公爵家の後ろ楯も失う事になる。
以前、ファルビアンクスを教会に連れ真実を伝え精神的負担から眠ってしまった令嬢を抱き抱え運んだことがある。その事で公爵は私達の関係を良好と判断し王族に対して更なる忠誠を示すべく隣国への通行税引き下げ貿易を盛んにし隣国との架け橋となってくれた。
今では婚約破棄するには大きな代償となってしまう。
今の状態を選んだとなると、私の片腕となる側近に不安要素が生まれる。
あの平民の彼女に心酔するあまりいつハニートラップに掛かるのか…もはや時間の問題とも思える。
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悩み事を解決するために来たのだが、新たな悩みが増えてしまった…
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