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オマケの続き
立食パーティー 直前
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急遽三日後に開催と連絡したが、ほぼ全ての人達が出席すると返事が届く。
ランクーベ公爵家の執事や使用人にパーティーの事を伝えると、皆さん興奮した様子。
話を聞くと、この何年もパーティーどころか貴族の訪問客もないんだとか。
それから使用人達は慌ただしく打ち合わせをして計画を練り準備を進めていく。私が率先しなければならないのに、彼らの気合いの入りように圧倒され確認される度に「それでお願い」としか言えなかった。
ジャネットからは、「彼らに任せすぎです。奥様主催なんですから少しは積極的に指示してください」と忠告を受ける…だけどね、ジャネット…言い訳ではないけど、公爵家の使用人が優秀過ぎて口を挟む隙がないのよ。
そして立食パーティー当日。
北部のファイン男爵と南部のトリルム伯爵が到着したと使用人から報告された事に驚いた。何故ならまだ、パーティーの三十分前だからだ。
やはり、彼らの領地からだと遠いので遅れてはいけないと早めに到着してしまったのだろう。
「応接室で待ってもらって」
パーティーの準備も私自身の準備も整っていたので彼らと最終打合せすることにする。
「今回パーティーにお呼びいただき感謝いたします」
「…私はよろしかったのでしょうか?」
伯爵はこの後のパーティーに気合いが入っていたが、男爵の方は高位貴族のパーティーに参加するのに慣れていないのか戸惑っていた。
「勿論です。今回のパーティーは南部のお祭りの宣伝ですが、一番は「かき氷」を知ってもらう為ですから。夏本番になった時、北部でも販売するんですから宣伝しないと」
「そっそうですね」
男爵は初めは不安を抱えつつも、次第に伯爵に引っ張られ自信を持ち始めた…というより不安を忘れ始めた。
私以上の緊張を見せるには理由があった。二人は今日、冷蔵庫と特産であるジャムの果物を持参している。二人から「ぜひ紹介させてほしい」と懇願され「えぇ、構いませんわ」と懐の大きさを見せつけるも内心は、おもてなしの会話ネタがなかったので「助かった」と喜んでいた。
そして、時間が近付くと招待客が続々と到着する。
彼らを出迎えるべく会場へと移動し始めようとした時、ランクーベ公爵が現れた。
彼の姿を目撃しただけで伯爵と男爵が緊張した面持ちになったのが分かる。これは、相手が公爵だから?それとも「呪われた人」だから?
その部分も男性貴族達はどう思っているのか、参考として聞いておけばよかった。
「公爵様?」
「…私はパーティーには参加しないが、これを…」
公爵の手には美しいネックレスがあった。
それは、公爵の紺碧の瞳や髪と同じ色の宝石。
「素敵ですね…」
「…奥様っ」
「えぇそうね、お願い」
私がうっとりと宝石を観ていたのを見かねてジャネットが声をかけ、現在身に付けているネックレスを外す。
「どうぞ」
そのままジャネットが着けてくれるのかと思ったが一歩距離を取り、公爵に声をかけた。
「わ、私が?」
公爵もまさかお願いされるとは思っていなかったのか、驚いていた。
「お願いします、旦那様」
公爵にネックレスを着けてもらうと想像すると緊張してしまうも、私は有ることに引っ掛かっていた。
ジャネットは公爵の事を「旦那様」と呼んでいた。私なんて、未だになんて呼べば良いのか分からず「公爵様」なのに…私も「(私の)旦那様」や「あなた…」とか、許されるのなら「オルフレッド様」と呼びたいのに…
呼び方の事を考えていたが、首に彼の体温を感じた瞬間全てを忘れてドキドキする。
「着けました」
「あ…ありがとうございます…どう…ですか?」
「綺麗です」
言わせてしまった感はあるが、美しい人に「綺麗」と言われて照れてしまった。
「ぁ…ぃがとう…ございましゅ」
ヤバい。
照れと噛んでしまった事のダブルで顔だけでなく耳まで熱くなった。
今の私はきっと真っ赤に違いないと思うと余計顔が熱く恥ずかしい。
「では、旦那様、奥様のエスコートお願いします」
ジャネットさん、どさくさに紛れて貴方なんて事を言っているの?
「私が参加しては…」
「女性に恥をかかせないでください」
ジャネットさ~ん、その言い方してしまえば大抵の人は断れませんって。
「…わ…私が、エスコートしても?」
「ぉ…お願いします」
私は公爵の顔を見ることは出来なかったが、何度も頷き公爵の手を取った。
ランクーベ公爵家の執事や使用人にパーティーの事を伝えると、皆さん興奮した様子。
話を聞くと、この何年もパーティーどころか貴族の訪問客もないんだとか。
それから使用人達は慌ただしく打ち合わせをして計画を練り準備を進めていく。私が率先しなければならないのに、彼らの気合いの入りように圧倒され確認される度に「それでお願い」としか言えなかった。
ジャネットからは、「彼らに任せすぎです。奥様主催なんですから少しは積極的に指示してください」と忠告を受ける…だけどね、ジャネット…言い訳ではないけど、公爵家の使用人が優秀過ぎて口を挟む隙がないのよ。
そして立食パーティー当日。
北部のファイン男爵と南部のトリルム伯爵が到着したと使用人から報告された事に驚いた。何故ならまだ、パーティーの三十分前だからだ。
やはり、彼らの領地からだと遠いので遅れてはいけないと早めに到着してしまったのだろう。
「応接室で待ってもらって」
パーティーの準備も私自身の準備も整っていたので彼らと最終打合せすることにする。
「今回パーティーにお呼びいただき感謝いたします」
「…私はよろしかったのでしょうか?」
伯爵はこの後のパーティーに気合いが入っていたが、男爵の方は高位貴族のパーティーに参加するのに慣れていないのか戸惑っていた。
「勿論です。今回のパーティーは南部のお祭りの宣伝ですが、一番は「かき氷」を知ってもらう為ですから。夏本番になった時、北部でも販売するんですから宣伝しないと」
「そっそうですね」
男爵は初めは不安を抱えつつも、次第に伯爵に引っ張られ自信を持ち始めた…というより不安を忘れ始めた。
私以上の緊張を見せるには理由があった。二人は今日、冷蔵庫と特産であるジャムの果物を持参している。二人から「ぜひ紹介させてほしい」と懇願され「えぇ、構いませんわ」と懐の大きさを見せつけるも内心は、おもてなしの会話ネタがなかったので「助かった」と喜んでいた。
そして、時間が近付くと招待客が続々と到着する。
彼らを出迎えるべく会場へと移動し始めようとした時、ランクーベ公爵が現れた。
彼の姿を目撃しただけで伯爵と男爵が緊張した面持ちになったのが分かる。これは、相手が公爵だから?それとも「呪われた人」だから?
その部分も男性貴族達はどう思っているのか、参考として聞いておけばよかった。
「公爵様?」
「…私はパーティーには参加しないが、これを…」
公爵の手には美しいネックレスがあった。
それは、公爵の紺碧の瞳や髪と同じ色の宝石。
「素敵ですね…」
「…奥様っ」
「えぇそうね、お願い」
私がうっとりと宝石を観ていたのを見かねてジャネットが声をかけ、現在身に付けているネックレスを外す。
「どうぞ」
そのままジャネットが着けてくれるのかと思ったが一歩距離を取り、公爵に声をかけた。
「わ、私が?」
公爵もまさかお願いされるとは思っていなかったのか、驚いていた。
「お願いします、旦那様」
公爵にネックレスを着けてもらうと想像すると緊張してしまうも、私は有ることに引っ掛かっていた。
ジャネットは公爵の事を「旦那様」と呼んでいた。私なんて、未だになんて呼べば良いのか分からず「公爵様」なのに…私も「(私の)旦那様」や「あなた…」とか、許されるのなら「オルフレッド様」と呼びたいのに…
呼び方の事を考えていたが、首に彼の体温を感じた瞬間全てを忘れてドキドキする。
「着けました」
「あ…ありがとうございます…どう…ですか?」
「綺麗です」
言わせてしまった感はあるが、美しい人に「綺麗」と言われて照れてしまった。
「ぁ…ぃがとう…ございましゅ」
ヤバい。
照れと噛んでしまった事のダブルで顔だけでなく耳まで熱くなった。
今の私はきっと真っ赤に違いないと思うと余計顔が熱く恥ずかしい。
「では、旦那様、奥様のエスコートお願いします」
ジャネットさん、どさくさに紛れて貴方なんて事を言っているの?
「私が参加しては…」
「女性に恥をかかせないでください」
ジャネットさ~ん、その言い方してしまえば大抵の人は断れませんって。
「…わ…私が、エスコートしても?」
「ぉ…お願いします」
私は公爵の顔を見ることは出来なかったが、何度も頷き公爵の手を取った。
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