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オマケの続き
街の様子
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街を案内された後は無事に公爵家に戻り、お父様への手紙を書き終え送る。
人にあまり頼りたくないオルフレッドには事後報告になってしまうが、農家の方の不安を一日でも早く取り除きたく勝手に動いてしまったのを反省しつつ後悔はない。
食料は一日で用意できるものではないので、要請は早い方が…と、私はオルフレッドにする言い訳の候補を頭の中であげている。
約束通り、オルフレッドは昨日よりも早い時間に帰って来た。
久しぶりの彼は危うさが増し魅力的…なんて言える様子ではない雰囲気を醸し出している。私が東部へ行くことに反対だったイーサンさえ許可を下したのは、東部の使用人を統括しているマークからの切羽詰まった手紙でオルフレッドを案じたのだろう。
私が東部に来たのは彼を休ませること…イーサンとマークの期待に応えるたいが出来るのかは不安だ。責任感の強い彼は東部の問題を解決する為に身を削っている…こんなに必死で頑張ってるのに、何も知らない人は「呪われた公爵」と噂するなんて…許せないっ…
少しくらい休んでも彼は決して悪くないっ、私をワガママ女と言うならなってやろうじゃないっ誰になんと言われようとしたいようにする、それがワガママ女の私よっ。
「オルフレッド様、食事を取りながらお話があります」
「はい」
マークの話では夜の食事を取らず執務室に籠り、日付が変わる頃に眠る事が多いと聞いたので一緒に食事することを提案する。優しい彼は、私がまだ食事を取っていない事を知り、更に私から「一緒にどうですか?」と誘えば付き合ってくれると見越して言った。今の私は目的の為なら、相手の優しさを利用する悪い女にもなれる。
食事の間、お父様に食糧支援の手紙を勝手に送ってしまったことを報告する。彼が怒るとは思っていないが、妻の実家に頼る事に抵抗があるのはなんとなくだが感じた。災害なのだから支援を求めても良いのでは?と安易に考えてしまうのは、良くないことなんだろうか?彼の反応を見て、領地経営の基本も知らない私が口を出すことではなかったのかもしれない…私は彼の役に立ちたかっただけだが、それは領主の彼の自尊心を傷付けてしまったのかもしれない…来て早々、失敗してしまった。
「すまない」
「…へ?」
何故か彼に謝罪されてしまった。
「不甲斐ない私のせいで、ヴァレリア嬢だけでなくルルーシアン公爵にまで迷惑を掛けてしまった」
「いぇっ迷惑だなんてっ」
「いやっ妻の実家に頼るなんて…」
「妻だからこそ頼るべきなんじゃないですか?妻以外の誰に頼るんですか?」
「…私は…誰にも頼っては…」
「また「呪い」ですか?いい加減にしてください。オルフレッド様は呪われてなんかいません。何度言ったら分かってもらえるんですか?なら、何故私には何も起こらないんですか?」
もう「呪い」という言葉にはウンザリだ。
オルフレッドでも許しはしない。
「今は…」
「人は生きていれば良いことも悪いこともあります。病気や怪我をすることだって、それを他人のせいにするのは間違ってる」
「…そうかもしれない…だが、去年起きた領民の死は呪いとしか言えない。いくら調べても原因が分からないんだ…」
「それは、まだ原因が分からないだけでオルフレッド様が呪われている証拠にはなりません」
「…そう思いたいが…分からないんだ…原因が…」
「では、これからは私が常にオルフレッド様の傍に居ます。誰よりも近くにいて、私に何も起きなければ呪いなんか無いと信じてもらえますね?」
「ダメだっ」
「どうしてですか?もしかして、オルフレッド様はこの領地で浮気でもなさっているんですか?」
「そんなことはしていないっ」
必死に訴える姿の彼を見て、私も本気で浮気しているなんて考えてない。
「では、私が一緒にいても構いませんね?明後日から私も同行します。オルフレッド様がなんと言おうと着いていきます」
「…わ…かった」
私が押しきりました、ワガママ令嬢ですから相手の事を気にせず自分を通しました。
「明日は私にこちらの屋敷を案内してくださいね?」
「それはマー…」
「私がこちらの屋敷に来たのは今回が始めてなんです。マークに案内されても妻という実感が湧きません。私の夫であるオルフレッド様に案内されたいんです」
「…わかった」
領地復興を急がなければという彼の考えは伝わるし、謎の疫病も解決したいのは重々承知している。それでも私は少しでいいから彼に休んでほしかった。そうでもしないと彼は倒れるまで駆け回りそうで怖い…もしかしたら、眠っているのではなく気絶・倒れているのかもしれない。
彼は渋々ではあったが、明日は私に合わせて行動してくれる約束をした。
これが正解かは分からないが、側に控えていたマークが微かに微笑み頷いてくれたので私はちゃんとワガママ令嬢という役を演じる事が出来たんだと思う。だが本番はこれから、オルフレッドを確り休ませるという難問が待ち構えている。
人にあまり頼りたくないオルフレッドには事後報告になってしまうが、農家の方の不安を一日でも早く取り除きたく勝手に動いてしまったのを反省しつつ後悔はない。
食料は一日で用意できるものではないので、要請は早い方が…と、私はオルフレッドにする言い訳の候補を頭の中であげている。
約束通り、オルフレッドは昨日よりも早い時間に帰って来た。
久しぶりの彼は危うさが増し魅力的…なんて言える様子ではない雰囲気を醸し出している。私が東部へ行くことに反対だったイーサンさえ許可を下したのは、東部の使用人を統括しているマークからの切羽詰まった手紙でオルフレッドを案じたのだろう。
私が東部に来たのは彼を休ませること…イーサンとマークの期待に応えるたいが出来るのかは不安だ。責任感の強い彼は東部の問題を解決する為に身を削っている…こんなに必死で頑張ってるのに、何も知らない人は「呪われた公爵」と噂するなんて…許せないっ…
少しくらい休んでも彼は決して悪くないっ、私をワガママ女と言うならなってやろうじゃないっ誰になんと言われようとしたいようにする、それがワガママ女の私よっ。
「オルフレッド様、食事を取りながらお話があります」
「はい」
マークの話では夜の食事を取らず執務室に籠り、日付が変わる頃に眠る事が多いと聞いたので一緒に食事することを提案する。優しい彼は、私がまだ食事を取っていない事を知り、更に私から「一緒にどうですか?」と誘えば付き合ってくれると見越して言った。今の私は目的の為なら、相手の優しさを利用する悪い女にもなれる。
食事の間、お父様に食糧支援の手紙を勝手に送ってしまったことを報告する。彼が怒るとは思っていないが、妻の実家に頼る事に抵抗があるのはなんとなくだが感じた。災害なのだから支援を求めても良いのでは?と安易に考えてしまうのは、良くないことなんだろうか?彼の反応を見て、領地経営の基本も知らない私が口を出すことではなかったのかもしれない…私は彼の役に立ちたかっただけだが、それは領主の彼の自尊心を傷付けてしまったのかもしれない…来て早々、失敗してしまった。
「すまない」
「…へ?」
何故か彼に謝罪されてしまった。
「不甲斐ない私のせいで、ヴァレリア嬢だけでなくルルーシアン公爵にまで迷惑を掛けてしまった」
「いぇっ迷惑だなんてっ」
「いやっ妻の実家に頼るなんて…」
「妻だからこそ頼るべきなんじゃないですか?妻以外の誰に頼るんですか?」
「…私は…誰にも頼っては…」
「また「呪い」ですか?いい加減にしてください。オルフレッド様は呪われてなんかいません。何度言ったら分かってもらえるんですか?なら、何故私には何も起こらないんですか?」
もう「呪い」という言葉にはウンザリだ。
オルフレッドでも許しはしない。
「今は…」
「人は生きていれば良いことも悪いこともあります。病気や怪我をすることだって、それを他人のせいにするのは間違ってる」
「…そうかもしれない…だが、去年起きた領民の死は呪いとしか言えない。いくら調べても原因が分からないんだ…」
「それは、まだ原因が分からないだけでオルフレッド様が呪われている証拠にはなりません」
「…そう思いたいが…分からないんだ…原因が…」
「では、これからは私が常にオルフレッド様の傍に居ます。誰よりも近くにいて、私に何も起きなければ呪いなんか無いと信じてもらえますね?」
「ダメだっ」
「どうしてですか?もしかして、オルフレッド様はこの領地で浮気でもなさっているんですか?」
「そんなことはしていないっ」
必死に訴える姿の彼を見て、私も本気で浮気しているなんて考えてない。
「では、私が一緒にいても構いませんね?明後日から私も同行します。オルフレッド様がなんと言おうと着いていきます」
「…わ…かった」
私が押しきりました、ワガママ令嬢ですから相手の事を気にせず自分を通しました。
「明日は私にこちらの屋敷を案内してくださいね?」
「それはマー…」
「私がこちらの屋敷に来たのは今回が始めてなんです。マークに案内されても妻という実感が湧きません。私の夫であるオルフレッド様に案内されたいんです」
「…わかった」
領地復興を急がなければという彼の考えは伝わるし、謎の疫病も解決したいのは重々承知している。それでも私は少しでいいから彼に休んでほしかった。そうでもしないと彼は倒れるまで駆け回りそうで怖い…もしかしたら、眠っているのではなく気絶・倒れているのかもしれない。
彼は渋々ではあったが、明日は私に合わせて行動してくれる約束をした。
これが正解かは分からないが、側に控えていたマークが微かに微笑み頷いてくれたので私はちゃんとワガママ令嬢という役を演じる事が出来たんだと思う。だが本番はこれから、オルフレッドを確り休ませるという難問が待ち構えている。
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