【完結】ホラー乙女ゲームに転生しちゃった…

天冨 七緒

文字の大きさ
7 / 52

今のところゲーム通り

しおりを挟む
私は席に着き、大人しくゲームを振り返っていた。

同じクラスである騎士のフィルデガードとの出会いを思い返していたが、彼の攻略は簡単すぎて出会いや選択肢をそれほど気にしていなかった。普通の恋愛ゲームなら、プレイヤーが積極的に動かなければ攻略対象との出会いも好感度も上がらないがフィルデガードルートは、イベント毎に護られ御礼を伝えていたら好感度が上がった。その程度で攻略できるのは乙女ゲームとしてどうなんだろうか?とは思うが、初心者には有難いキャラではある。
そんな彼にも婚約者はいる。
こんな簡単に攻略される男が婚約者なんて可哀想に思うが、忠告したり婚約者に案に距離を縮め攻略対象と接点などが生まれると…ごちゃごちゃしちゃいそうな予感がした。
私の立場で貴族の揉め事に巻き込まれたくないので、ゲームのように彼に守られなければならない事態は避けたい。

主人公が事件に巻き込まれるのはストーリー上仕方がないが、何か起こるか知っている私には回避できるはず。
学園に足を踏み入れる前までは深く考えなくても私から攻略対象達に近付かなければ問題ないと思っていたが、先ほどのように私の意図とは関係なく不意に出会ってしまうこともある。
恋愛ゲームをする気の無い私は、これからは意識的に行動には気を付けようと改めて思う。

学園初日は、規則や今後の授業についての説明を受け、そして今から始業式が始まる。
始業式は日本のものと同じだが、唯一最後に魔力検査がある。
私がプレイした「本当は怖い乙女ゲームの世界」、略して本怖乙女は魔法が存在する世界で、更には平和の象徴として聖女も実在する。

魔法がある世界とはいえ誰もが魔力を持って生まれるわけではなく、多くの貴族とごく一部の平民だけ。平民同士の魔力なし両親から魔力持ちが生まれると大抵貴族との浮気を疑われ周囲からも白い目で見られる。別れたり、貴族に売られたりと様々だ。最近は魔力なしからも魔力ありの子供が生まれる事があると知られるようになったが、王都から離れると昔の考えのが根強かったりもする。

理解ある両親であれば幸運というのは、平民だけでなく貴族も同じだった。
貴族が魔力なしで生まれると「欠陥品」扱いとなる。
魔力第一主義の貴族達にとっては後継者も当然魔力の有無で決まり、無い者は存在を消されるか惨めな思いをする。高位貴族であっても魔力無しと判定されれば肩身の狭い思いをする。
そうなると欠陥品を排出したくない貴族達は、婚約条件を「魔力を有している者」が大前提となる。

そして一発逆転できる魔力持ちの平民は貴族の愛人、運が良ければ本妻になることもある。

忘れてはいけないのが、ここはゲームの世界であり私はヒロイン。
ゲーム中のエレナはこの始業式で、魔力があるだけでなくかなり珍しい光属性であることが判明する。
平民から貴族になったエレナは下位貴族の間では噂になるも、誰もが知る存在ではなく曖昧な立場だったが、魔力検査後は生徒…特に貴族に囲まれることが多くなる。そこまで注目されるとエレナから接近しなくても、攻略対象からの接触が起こってしまう。
何故なら攻略対象の中には、生徒だけでなく教師も存在している。
今の学園に光属性はヒロインだけであり、授業を担当している攻略対象の教師も光属性を特別扱いしないように心掛けているも目で追ってしまうシーンが人気だった。

大人で教師の先生がヒロインに対して邪な感情を抱いてはいけないと葛藤する姿がエロさがあり人気だった。ただそれは主人公目線だからというだけで、ゲームの奥では他の生徒にも平等で特別なものではないのかもしれない。
接点といっても授業の準備だったり、聖女についてを教えてくれる重要な存在だ。
攻略対象の中で婚約者がいない大人の男性で、教師と生徒という禁断さが堪らないとファンが多かった。
もし攻略対象の中で恋愛をするなら先生を選ぶと思う。

「エレナ・ワンダーソン」

忘れていたが、今は始業式が終わり魔力測定中。
教師に名前を呼ばれ壇上へ上がり、遂に私の魔力検査の順番になった。
手のひらサイズの水晶に手をかざし、しばらくすると次第に水晶の中心が揺らめき目映い光が生まれた。

「…おぉー」

会場内がざわめきだす。
魔力持ちの人間が手をかざせば水晶は様々な反応を見せる。
属性ごとに水、火、風、土、光、闇が現れ、その中でも光と闇は珍しく何年かに一人と伝わっている。

なので今の私は注目の的だった。
しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている

潮海璃月
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。

召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。

SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない? その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。 ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。 せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。 こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。

番に見つからない街で、子供を育てている

はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。 異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。 現世の記憶は失われているが、 この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。 街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、 ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。 だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。 再会は望まない。 今はただ、この子との生活を守りたい。 これは、番から逃げたオメガが、 選び直すまでの物語。 *不定期連載です。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

聖女の、その後

六つ花えいこ
ファンタジー
私は五年前、この世界に“召喚”された。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

私、魅了魔法なんて使ってません! なのに冷徹魔道士様の視線が熱すぎるんですけど

紗幸
恋愛
社畜女子だったユイは、気づけば異世界に召喚されていた。 慣れない魔法の世界と貴族社会の中で右往左往しながらも、なんとか穏やかに暮らし始めたある日。 なぜか王立魔道士団の団長カイルが、やたらと家に顔を出すようになる。 氷のように冷静で、美しく、周囲の誰もが一目置く男。 そんな彼が、ある日突然ユイの前で言い放った。 「……俺にかけた魅了魔法を解け」 私、そんな魔法かけてないんですけど!? 穏やかなはずの日々に彼の存在が、ユイの心を少しずつ波立たせていく。 まったりとした日常の中に、時折起こる小さな事件。 人との絆、魔法の力、そして胸の奥に芽生え始めた“想い” 異世界で、ユイは少しずつ——この世界で生きる力と、誰かを想う心を知っていく。 ※タイトルのシーンは7話辺りからになります。 ゆったりと話が進みますが、よろしければお付き合いください。 ※カクヨム様にも投稿しています。

処理中です...