【完結】ホラー乙女ゲームに転生しちゃった…

天冨 七緒

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予定どおり

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ある地域での獣被害が私の耳にも入るようになった。

毎年の狩猟祭の時期としてはかなり早いが、被害を考えるとそんなこと言っていられず連休を使い貴族であれば学生達も参加することになった。
といっても危険な獣は騎士達が事前に討伐し、安全の確保がされ命の危険がない獣…動物だけとなった、お膳立てされた森の中で狩猟祭が行われる。

だが、イベントには危険がつきもの。

ゲームでは男性達が狩りをしている間、女性達は準備された特設テントの中でお茶会を楽しむ。
誰が数多くの獲物を仕留めるのか、大きさは誰か一番なのか予想し、その贈り物を手にする幸運は誰なのかをお茶をしながら優雅に語り合う。
その場を仕切るのは貴夫人達で、多少の腹の探りあいはあるが現時点では可愛いものだ。
夫人達の婚約者探しの場であって、貴族を分裂させるものではない。
このシーンは後に分断した後の比較映像となる。

男性達が狩猟で盛り上がっている頃、追い詰められた一匹の獣が女性達のいるテントの方へ逃げ込んでくる。
警護のためにテントの周辺を囲っていた数名の騎士の声で異変に気付き、夫人や令嬢達は逃げるも、女性達の衣服や靴では死に物狂いで走る獣に簡単に追い付かれてしまう。
そんな中、転んでしまったヒロインの友人に狙いを定めた獣がやってくる。
持ち前の正義感でヒロインは友人を見捨てる事が出来ず、突進してくる獣の前に立ちはだかったときに、聖女としての力が覚醒する。
ヒロインの能力を目撃した貴族達は伝説の聖女だと囁かれ、次第に彼女こそ王子の隣にいるべきなのではないかと噂されるようになる。

それから貴族の間に亀裂が生じ始める。

ゲームなので都合よくヒロインの同級生に王子が存在し、障害があるほど恋愛は盛り上がるという言葉のように、王子は既に公爵令嬢と婚約している。
それにも拘わらず「王子は聖女と結婚するべきではないのか?」と口にする者が現れる。
そして、王子の婚約者とヒロインのバトルが始まる。
ヒロイン目線でゲームをするので、どうしても婚約者の公爵令嬢は悪役のような構図になってしまうが、実際は正しいことを言っていたりする。
幼い頃から王子の為、国の為にと努力していたのに、突然聖女などという者が現れ「婚約者こっちに変えます」なんて言われれば悔しいどころではない。
努力を無駄にされ、存在意義さえ奪われてしまえば嫌がらせしてしまうのは仕方ないと感じる。そういう感情になるのは予測できることなので、そこは周囲が気を掛けるべきではないのか?

なので狩猟大会はかなり重要なイベントとなる。

残念ながら欠席することはできず、お父様からも参加するようにとお達しが来ている。私が出来るのは静かに見守り、能力が覚醒しないように目立たないこと。
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