【完結】ホラー乙女ゲームに転生しちゃった…

天冨 七緒

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再び逃げ場を求めて

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料理が終わるまで、再び空き時間が出来てしまった。
今は先ほどとは違い、男性が戻ってきたので甘い雰囲気が至るところで溢れている。
テントに逃げることも考えたが、先ほどのように質問責めにされるのも嫌で誰もいないであろう場所を探して彷徨う。
獲物の調理が始まっているため、先ほど王子と出会ってしまった場所は獲物の血抜きの場所となっていた。
大量の血は川のように流れている。
このままでは血の匂いで獣が寄ってくるのではないかと心配になったが、ちゃんと土を被せる担当の者がいた。

「わざわざ私達が食べなくても、平民に分けたら良いのに…」

そうしたら早く帰れるのにとつい不満を口にしていた。

「捕らえた獲物を食すことで獲物の命と能力を受け継ぐと言われている。男は本物のハンターと認められ、女性は健康に恵まれる…昔からそう言われているんだ」

「ひゃっ」

いつの間にか隣には王子がいた。

なにっ?この人忍者なの?

「また、一人なのか?相談する相手がいないのなら信頼の出来る者を紹介しようか?」

それってきっと、婚約者のジョバルディー公爵令嬢ですよね?

「いえっ王子様にそこまでして頂くわけにはいきませんので大丈夫です」

「そうか?相談なら私でも構わないよ?」

優しい笑顔で微笑まれるも、その提案は尚更遠慮したかった。

「えっと…一人で…解決できそうになければ…」

「あぁ、遠慮なく言ってくれ」

お互い笑顔で頷くも、私は王子にだけは相談はしないと思います。

「あっそうだ、これ…」

私は先ほど渡された匂袋を差し出した。

「…いや、まだ持っていてくれ。料理の香りにつられて獣が寄ってくる場合もある。危険なので女性には今日が終わるまで持っていてほしい。返すのは約束通り明日の学園で…では」

「…はぃ」

またしても王子に押しきられてしまった。
乙女ゲームでは、大抵ヒロインの方が強引に約束を取り付けたりするものなのになんだか逆ね。

ゆっくり深呼吸をすれば手際よく調理されているのを香りが教えてくれている。

「お腹空いてきちゃった…」

テント内に戻るとまだ早かったのか、空席が目立っている。
貴婦人達の派閥が令嬢達にも影響しているのか、いくつかの集団が生まれていた。
私には男爵が何処の派閥に所属しているのか全く分からなかったので、どこの集団にも所属せず、一人時間まで目を閉じ存在を消した。
目を閉じることで他の感覚が研ぎ澄まされるのか、噂話が耳に入ってくる。
正確には聞き取れないが…

「…見極める」
「では…今後距離を置いた方が…」
「結果次第では…に選ばれたいですね」
「えぇ」

私にはなんの事かわからない会話。

自分とは関係ない噂だと分かると安心し時間が立つのを待っていると、次第に席が埋まりだした。
男性女性でテントが別れているので、ここには女性しかいない。席が完全に埋まると、この場で爵位の高い公爵夫人の合図で暖かなスープが振る舞われる。
どの階級の貴族も特別扱いなく、皆が同じものを食す。この瞬間だけは王子が言っていた爵位関係の無い無礼講だった。

初めて食べるジビエ料理に対して多少の抵抗はあったものの、食べると意外に美味しかった。独特な臭みがあるものの美味しさが上回り、貴族の食事として用意されるお肉はとても柔らかいものが多く、噛み応えのある今回のお肉が新鮮に感じた。
食事が始まる前の不安な感情は消え去り、後は帰るだけだと思うと安心する。
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